相場高騰がまったく止まらない空冷911(特にタイプ964)、買うべきか買わざるべきか?
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/04/21
あきらめるか、もしくは「F355方式」を取り入れるか
空冷ポルシェ 911、特にタイプ964の相場高騰が止まらない。これに関連して筆者は「タイプ964という車については、もう考え方というか“とらえ方”を変えるしかない」と思うに至った。
数年前までのタイプ964は、筆者にとって「決して安くはないけど、まあまあ手頃な予算で狙えるステキな車」だった。事実そんな時期に200万円台前半のカレラ2を購入し、しばらく楽しませてもらった。
その後、ご存じのとおり空冷911の相場大高騰が始まった。で、直近の1~2年間はタイプ964について以下のように考えていた。「元どおりの相場まで下がることはないだろうが、それでも、そのうち若干は戻すだろう。株や為替でいう“半値戻し”ぐらいはあるんじゃないか?」と。
しかし、もうあきらめた。あくまでも「たぶん」だが、空冷911(特にタイプ964)の中古車相場はこのまま未来永劫、高値が続く。
もちろんこれは筆者個人の勝手な予想にすぎないため、外れる可能性も大いにある。しかし、筆者は何も根拠なしにテキトーなことを言っているわけではない。タイプ964の相場が未来永劫下がらないだろうと予想する根拠は、「とどまることのない外国勢の買い圧力」だ。
現在のタイプ964の高値は、国内需要ではなく外国勢、主にドイツ人バイヤーの強力な買い攻勢によって成り立っている。ドイツ国内のクラシック・ポルシェブームとユーロ高(というか円安)を背景に、彼らは日本国内の良質なタイプ964を強烈に買っているのだ。何でもかんでも買いあさるわけではなく「フルノーマルで、オリジナル塗装で」という部分にはかなりこだわっているようだが、とにかくガンガン買っている。
この攻勢もそのうちやむのではないかとウオッチしてきた筆者だが、独自取材によればドイツ勢の買い圧力は増しこそすれ、まったく減っていない模様。となれば国内に滞留している964の個体数はさらに減っていくわけだ。そうなると当然、全体の相場は下がるはずがない。
そして現在964に乗っているオーナーもなかなかそれを手放さず、手放す場合も(現在の相場状況をよくご存じなため)かなり強気なプライスで委託販売などを行う。例えばだが「ティプトロのカレラ2で650万円!」みたいな値付けだ。そうなるとさすがに国内の購入希望者は二の足を踏み、そしてそうこうしている間にドイツ勢がユーロの札束でもってそれを買っていく。で、国内の個体数はさらに減り、相場はさらに上昇し……という図式なのである。
今後タイプ964の平均価格がどこまで上がるかはわからないが、近い将来それが「カレラ2でも1000万円」の世界になったとしても、筆者は驚かない。要するにフェラーリ F355のような中古車価格だ。F355と比べると、タイプ964のカレラ2やカレラ4は結構な数が製造された「量産車」とも言えるわけだが、数多くの個体が海外に流れてしまった今、かつての「量産車」は今や「希少車」へと変化してきている。それゆえ、いかにも希少高級クラシックスポーツカーらしい価格になったとしても、まったく驚かないのだ。
ここで話は冒頭に戻る。タイプ964という車については、もう“とらえ方”を変えるしかないのだ。
これまでのタイプ964は「その気になれば庶民でも買える硬派スポーツカー」であり、そういった相場状況に戻ることを心待ちにしていたわけだが、もう待っても意味がない。タイプ964はもはや「富裕な自動車愛好家のためのクラシックカー」なのだ。“マチャアキ”こと堺正章氏がミッレミリアとかに乗ってくるクラシックカーみたいなものである。……そこまでは行かないかもしれないが、それに近い何かである。
これをお読みのあなたが「富裕な自動車愛好家」である場合はさておき、筆者と同じような「フツーの人」である場合、そしてそんなフツー人が今後タイプ964を欲しいと思った場合、どうすべきなのだろうか。
答えというか方向性は3つある。ひとつは、あきらめることだ。買うタイミングを逃した自分を軽く責めつつも、964についてはなるべく忘れるよう努力するしかない。もう一つの道は、何らかのビジネスを自分で興し、あなた自身が「富裕な自動車愛好家」になることだ。何年かかるか、そもそも実現可能かどうかもわからないが、それもまたひとつの道であろう。
もうひとつの道が「フェラーリ F355方式」である。ご承知の方も多いかと思うが、フェラーリ F355はサラリーマンオーナーが結構多い。彼らは別に地主の息子とかそういったものではなく、割と普通のサラリーマンだ。そんな彼らがなぜ1000万円級のフェラーリに乗れているかといえば、ズバリ超長期ローンである。
300万円ぐらいの頭金を入れたうえで月々7万円×96回などのローンを組み、彼らはフェラーリに乗っている。なぜそんなことができるのかといえば、そもそもは根底に強烈なフェラーリ愛があるわけだが、それに加えてF355という車の「資産価値」がある。
何らかの事情で経済的にコケて月々の支払いが困難になったとしても、フェラーリ F355というのは(状態さえ良ければ)おそろしいほどリセール額が高いので、売却してしまえばローン残債はほぼチャラになる。それゆえ、普通のサラリーマンが躊躇なく超長期ローンを組み、そして楽しくフェラーリに乗っているのだ。
今後のタイプ964の資産価値すなわちリセール額を考えると、この方式を流用して購入することも可能は可能だろう。もちろん、すすめるわけではないし、筆者自身もたぶんそれはやらないと思う。が、ひとつの手段であることだけは間違いない。
ということで、今回のわたくしからのオススメは(いや無理にオススメはしないが)、ポルシェ 911のタイプ964だ。
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