'72 MERCEDES-BENZ 300SEL 6.3

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2014年11月7日、日本のモータージャーナリズムの巨匠、徳大寺有恒氏が他界されました。日本の自動車文化に多大な貢献をされた徳大寺さんを偲び、カーセンサーEDGEに約5年にわたり連載された「VINTAGE EDGE×徳大寺有恒」を美しい写真と巨匠の一言とともに振り返ります。今回は、「'72 MERCEDES-BENZ 300SEL 6.3」、「'71 CITROEN SM」、「'87 BMW 635CSi」、「'67 ASTON MARTIN DB6」です。実際に掲載された記事をPDFで公開しています。

【'72 MERCEDES-BENZ 300SEL 6.3】 「スポーツカー並みの加速力を誇る名サルーンだな」

'72 MERCEDES-BENZ 300SEL 6.3

1968年に登場した超高性能サルーン。65年から67年の間製造された300SELのボディに「M100」と呼ばれるV8 6.3Lエンジンを搭載。これは当時のメルセデス・ベンツが世界一を目指して作り上げたグロッサー・メルセデス600に積まれていたもので、それを比較的スタンダードなサイズであった300SELに積み、当時のスポーツカー以上の最高速度220km/h、0→100km/h加速6.5秒という圧倒的な数値を誇った。0→100km/h加速で言えば当時の911、フェラーリディーノよりも上だったという。



【'71 CITROEN SM】 「ボクも所有していた最高に格好いいシトロエン」

'71 CITROEN SM

当時としては画期的な200km/hオーバーという性能を前輪駆動方式で達成しようと開発されたシトロエンのスポーティモデル。発表されたのは1970年、ボディの構造はDSをベースにした2ドアボディとされた。DSで見せたシトロエンらしい個性的なデザインを採用しているが、当時提携していたマセラティ製の2.7Lエンジンを搭載しているというのも特徴的である。当然サスペンションはハイドロ・ニュー・マチック、ブレーキシステムも油圧だが、これはDSから引き継がれていた。製造は1975年まで。



【'87 BMW 635CSi】 「本当に美しいモデルは何十年経ったって変わらない」

'87 BMW 635CSi

1976年から89年まで製造された6シリーズ(E24型)は、その見事なスタイリングにより「世界で最も美しいクーペ」と賞賛を受ける。そして78年に追加されたハイパフォーマンスモデルが635CSi。専用の3.5Lエンジンやエクステリア、スムーズでパワフルなエンジンが与えられ、世界中から賞賛を浴びた。83年にはM1に搭載していたM88エンジンを積んだM635CSiも登場している。今回の車両はエンジンやミッションなどをオーバーホールし、タイヤまでオリジナルにこだわった1台。



【'67 ASTON MARTIN DB6】 「実用性も考慮して作られている、本物のGTカーだね」

'67 ASTON MARTIN DB6

DB4、DB5と続くシリーズの完成形とも言えるモデル。ホイールベース、全長を延ばして居住性の向上を図り、空力的アドバンテージが証明されていたテールデザインを採用するなど、様々な新技術を採用。スタンダードモデルはDB5と同じエンジンを搭載するが、ヴァンテージは325psにまで高めたユニットを搭載、差別化が図られた。またこのDB6からドロップヘッドクーペに「ボランテ」という名前が付けられており、その名前は今現在も継承されている。シリーズ累計での生産台数は約1300台。日本にも数えるほどしか存在しない希少車である。