フェラーリ550マラネロ
写真上はV12を搭載するフェラーリ 550マラネロ(純正マフラー)で、下が不肖伊達が所有するアルファGTV 3.0 V6 24V(フロントからリアまで社外マフラーに交換済み)。パワーなどは言うまでもなく550マラネロが上だが、エンジンフィールの甘美さにかけてはアルファV6も決して大負けはしておらず、こと音質に関しては社外マフラー付きのアルファV6が上!(※個人の感想です!)
アルファロメオ GTV
●伊達軍曹公式サイト「伊達軍曹.com」
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人はフェラーリのみにて生きるにあらず

凡庸ならざる車の極北といえば、「フェラーリ」で決まりだろう。それはもはや車であって車でない、何らかの美術品か、あるいは形而上の存在に近いとすら言えるのかもしれない。「いつかはフェラーリ!」そう心に誓っている者も多いだろう。

しかし、そんなフェラーリにも決定的な問題点は存在する。価格がやたらと高いこと? いやいや中古フェラーリであれば、いわゆるサラリーマンオーナーも多いものだ。

そうではなく「お腹いっぱい問題」である。

フェラーリという車はその存在感があまりにも強烈であるため、オーナーは乗らずとも基本的には「お腹いっぱい」になってしまう。家に置いてあるだけで、お腹いっぱい。眺めてるだけでも大満足。だから、平均的なフェラーリの走行距離は年間2000km程度だ。それは「大切にされている」という面もあるが、「乗りたくても(オーラが強烈すぎて)乗れない」というのが真実に近い。



旧世代アルファV6=フェラーリいらず?

そういった現実を踏まえて考えた場合、将来のフェラーリ購入を誓う者が今、買うべき車とは何か? 答えは様々だろうが、不肖わたしが思う正解は「中古のアルファロメオ」、それも、いわゆるアルファ純血時代のV6モデルで、可能であれば左ハンドルのMT仕様だ。ちなみに言えばFR世代の古典アルファもステキだが、FF化された以降のモデルで十分以上だとわたしは考える。

なぜか。まず第一に、いわゆるオーラに関してはフェラーリと比べるまでもないアルファロメオだが、旧世代V6のエンジンフィールはV8フェラーリにある程度近い。ほど良く旧世代な左ハンドル/MTのV6アルファであれば、きたるべきフェラーリ生活の良い「予行演習」になるだろう。ただ、ここでFRの古典アルファを選ぶとそのままディープなエンスー界に没入してしまい、結果としてフェラーリにたどり着かなくなる危険性もあるので注意が必要だ。

そして第二に、これは一部のフェラーリオーナーがよく言うことだが、「下手な純正フェラーリより、社外マフラー付きアルファV6のほうが音が良い」という驚愕の事実だ。わたし自身、社外マフラー付きV6アルファに乗っていて、実はそれを確信している。信じられないかもしれないが、一部の純正フェラーリよりもわたしのアルファのほうが音は良いのだ!(音だけだが)

そんなアルファの中古車は、フェラーリを買うまでの「つなぎ」として大いに役に立つと同時に、近い将来あなたがフェラーリを買った後も、売っ払わず手元に置いておくべき車だ。なぜならばフェラーリは、その強烈すぎるお腹いっぱい成分のせいで「普段も乗れるセカンドカー」が絶対的に必要なのだから。

ということで、今回の伊達セレクションはずばり・・・
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文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE
写真・池之平昌信、大子香山 photo/IKENOHIRA Masanobu, DAIGO Kazan