▲モデルライフ後半の落ち込みを回避するカンフル剤として、開放感あるオープン仕様の投入が計画されている。先代にも採用されている着脱式ルーフの採用が濃厚だが、電動格納式も検討中か ▲モデルライフ後半の落ち込みを回避するカンフル剤として、開放感あるオープン仕様の投入が計画されている。先代にも採用されている着脱式ルーフの採用が濃厚だが、電動格納式も検討中か

いよいよ2月25日に北米での販売を開始

新世代NSXが、2月25日に本拠地のアメリカで発売される。市販車第1号は、チャリティーオークションにかけられ、約1億4500万円で落札されたことで話題となったことは記憶に新しい。

品質確認に時間が費やされてやっと門出を迎える新生NSXだが、懸念材料がないわけでもない。ホンダ社内で取り沙汰されているのは、莫大な開発費を投入した同車の減価償却をどのように進めていくかだ。

この手のスーパースポーツは、発売直後にはオーダーを抱えるほど売れるものの、その後、尻すぼみになってしまう傾向が強い。現に、1990年にリリースされた初代NSXは、91年に2000台を超える販売実績を残したものの、右肩下がりで推移していった。

こうした事態を避けるためにも、社内ではモデルライフ途中の話題喚起策が検討されている。

▲初代NSXのデビューから4年半後に追加されたオープン仕様が、NSX-Tだ。ルーフもアルミで製作されて、重量は8.5kgに抑えられていた。価格はベース車より130万円高に設定されている ▲初代NSXのデビューから4年半後に追加されたオープン仕様が、NSX-Tだ。ルーフもアルミで製作されて、重量は8.5kgに抑えられていた。価格はベース車より130万円高に設定されている


話題喚起策のひとつが、オープントップ仕様の追加だ。初代では、発売から4年半が経過した1995年にNSX-Tが追加された。それと同じように、新生NSXにも開放感の味わえるモデルが追ってラインナップされる。初代と同じく、脱着式ルーフの採用が濃厚だが、一方で電動格納式トップの起用も検討されている。

仮に電動トップを採用すれば、優雅な印象を強めることができ、高額なライバル車と対等に戦うこともできるだろう。ただし、この場合にネックとなるのが開発費の増加だ。脱着式ルーフと比べて、電動トップは開発工数がかさみ、販売価格の上昇も避けられない。少なくとも160万円は、上がってしまうだろう。

投資額がさらに上積みされる可能性もあるので、やはり脱着式ルーフが採用される可能性が高い。販売価格は、固定ルーフ採用のクーペより70万円ほど上がる見通しだ。

このオープントップ仕様は、2022年ごろにデビューする予定。

▲北米で2月25日から注文の受付が始まる、新世代NSXのエントリー価格は、15万6000ドル(約1760万円)。3.5Lツインターボハイブリッドと9速DCTが搭載され、システム出力は573psをマーク ▲北米で2月25日から注文の受付が始まる、新世代NSXのエントリー価格は、15万6000ドル(約1760万円)。3.5Lツインターボハイブリッドと9速DCTが搭載され、システム出力は573psをマーク

ウリを否定する2WDモデルの追加は断念

実は、開発チームは自慢のハイブリッド機構を省いて、価格と重量を抑えた2WDモデルを追加投入する計画も練っていた。左右前輪からモーターを取り払って、後輪駆動に仕立て、スパルタンな印象を打ち出す狙いだったのだが、この計画が中止されたとの新情報を得た。

一番の理由は、先進技術をウリにして登場する新生NSXのスーパースポーツイメージと合わないからだ。確かにコーナリング時の旋回力に役立てるのが、SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)のセールスポイントなのに、それを省いてしまっては、いくら車重が軽くなるとはいえ、自らハンドリング性能の低下を認めてしまうようなもの。開発中止になっても仕方あるまい。

品質問題で傷ついたブランドを修復し、薄れてしまったホンダのスポーツイメージを再び訴求できるのか。新生NSXの売れ行きと反響に注目したい。

※2016年2月23日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2022年(オープンモデル)
■全長x全幅x全高:4470x1940x1215(mm)
■搭載エンジン:3.5L V6+モーター

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、ホンダ