Part3：コストパフォーマンス対決 【BMW5シリーズ vs 世界のミドルセダン4番勝負】

走りへのこだわりを考えれば764万円も納得のいく価格か

コストパフォーマンス。それを言ったら本当は輸入車は不利である。同等以上の性能、品質で、いくらでも手頃な日本車があるから、だ。

けれど１本100円のBicのボールペンで済ます人もいれば、WATERMAN、LAMY、伊東屋オリジナルなど、自分の納得のいくペンでしか文字を書かない人もいる。デジカメでも、おそらく同等の性能・カタチなのに「色のチューニングが違うはずだ」と信じて、Panasonicではなくそれより数万円値づけが上でも赤バッジ付きのLeicaを選ぶみたいに。

ちなみにBMW530iを選ぶ根拠になるのは、内包するエンジニアリングに魅力があるから・・・ということになる。ファクターの筆頭は何といってもエンジン。BMW伝来の直列6気筒エンジンだが、最新のラインナップらしくVANOS（バリアブルカムシャフトコントロール）、バルブトロニックを搭載し、効率や低回転でのパワー、燃費を向上させている。またマグネシウム合金などを要所に採用することで軽量化も実現する。

ほかに、ハンドリングでは定評あるBMWがあえて採用に踏み切ったアクティブステアリングや、ロールと姿勢変化を抑制するダイナミックドライブなど、走りにかかわる機能、デバイスだけ見ても、その内容は実に濃い。

高性能と低燃費を実現し329万円は“買い”の一言

そんなテクノロジー自慢のBMWに対抗するかのように、その分野でここ最近、躍進の感があるのがVWだ。VWは一時期、フェートンをきっかけに高級化路線を歩もうとしたが傍目にもそれには無理があった。対してここ最近のVWのTSI技術は、意味不明にコストをかけるのではなく、知恵を使って合理的に車の効率、性能を上げるという点で、今度はVWらしいアプローチに思える。

そのTSIは、最新モデルではトップレンジのパサートにまで及ぶ。パサートでは他のモデルとは異なり、DSGではなくティプトロニック付き6速ATとの組み合わせが新しく、ベースは4気筒の1.8Lながら、160ps／25.5kg-mの性能をモノにしている。

かつてのW8は実験的な趣が強かったのに対し今回のTSIは、同システムを使うゴルフもそうだが、そのままで超実用的な性能を発揮してくれるのが特徴。もちろん動力性能は折り紙つきで、“クラスを超えた”と表現していい実力を発揮する。その意味では、きわめてコストパフォーマンスに優れた車だと言える。