▲小さくたっていろんなカスタムができる。これぞ日本ならではのセンス! ▲小さくたっていろんなカスタムができる。これぞ日本ならではのセンス!

軽リフトアップがジワジワきてます!

1990年のデビュー以来、日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパー。中古車マニアでもあるMC、Boseが『カーセンサーnet』を見て触手が動いたDEEPでUNDERGROUNDな中古車を実際にお店まで見に行く不定期連載!

編集部:Boseさん、今回お邪魔したのは軽自動車のカスタムショップですね。Boseさんはカスタムも好きなんですか?

Bose:カスタムカー系の雑誌が好きでね。結構パラパラ見ているのよ。とくに軽自動車のカスタムが面白くてさ。例えばアメリカならサイズ的な制約がないから、自由にいろいろな発想でカスタムしていたりするでしょう。でも日本、とくに軽自動車は限られたサイズの中で表現しなきゃいけない。だから発想力がすごいんだよ。バイクのホンダ モンキーやミニ四駆なんかも同じだけど、「枯山水」に通じるものを感じるんだよね。

▲ホンダ モンキーもいろいろなアプローチでカスタムを楽しむ人が多い。軽カスタムはこの流れに通じるものが ▲ホンダ モンキーもいろいろなアプローチでカスタムを楽しむ人が多い。軽カスタムはこの流れに通じるものが


編集部:枯山水、ですか。軽カスタムに面白さは感じるけれど、そこまで考えたことはなかったです。

Bose:ローダウンも、リフトアップも、軽カスタムは日本独特の文化だし、たぶん日本人じゃないと育てられなかった文化だと思うな。だから外国人が見てビビるんだよ。

▲Car House ATHLETEの稲葉さん。「うちは国内でもかなり早い段階から現在のアゲ系カスタムを手がけていました」 ▲Car House ATHLETEの稲葉さん。「うちは国内でもかなり早い段階から現在のアゲ系カスタムを手がけていました」


Car House ATHLETE 稲葉さん(以下、稲葉):Boseさん、いらっしゃいませ。軽カスタムを絶賛してもらって嬉しいです。

Bose:今日はよろしくお願いします。軽のリフトアップ、おもしろいと思って注目しているんですよ。

稲葉:うちがリフトアップを始めたのは6年ほど前です。そこからいろいろ試行錯誤して、今のスタイルにたどり着いたんですよね。狙っているのはL.A.などの西海岸や、マイアミなど東海岸のようなイメージです。

Bose:過去に日本でもリフトアップが流行ったときはオフロードのイメージが強かったよね。でも社長が狙っているのは都会のオンロードだ。

稲葉:そうです。オフロードは軽自動車だとジムニーのイメージが強くなりますが、僕はあっちはあまり好きじゃなくて。

Bose:一口に軽カスタムといっても、いろいろな方向性があるからね。せっかくなので、こちらのお店の車を見せてください!

リフトアップで雰囲気が激変! このノリ、絶対にアリだよ!

▲「ハスラーは素もかわいいけれど、いじることでより楽しい車になると思う」とBoseさん ▲「ハスラーは素もかわいいけれど、いじることでより楽しい車になると思う」とBoseさん


Bose:ハスラーは雰囲気がかわいいから老若男女、ファンが多いよね。こういうカスタムも似合うな。

稲葉:ハスラーが登場したのは2014年1月ですが、これを境にカスタム業界の雰囲気はガラッと変わりました。

Bose:どんなふうに変わったんですか?

稲葉:今はメーカーでも新車のカスタムパーツを出しているとはいえ、カスタムは限られた人たちの遊びでした。ところがハスラーが登場してから「ハスラーをカスタムしたい」と大勢やってくるようになりました。彼らから下取りする車は、ほとんどがノーマル車なんです。つまりこれまでカスタムには興味なかった人や、若い頃にカスタムをやっていてしばらく離れていた人がほとんどなんです。

Bose:ハスラーがカスタムの裾野を広げたんだ。

稲葉:そういう人たちと話をすると、ローダウンのカスタムはちょっと不良のイメージを感じているみたいなんです。一方、車高をアゲるカスタムにはそのイメージがなくてカッコいいと。お客様は40~50代の方が多いです。

Bose:確かに。まだ新しい文化だからイメージが定着してないのもありそう。僕もね、デビューしたときからかわいいと思っていて。でも爆発的に売れてこれだけ街中で見るようになると、そのまま乗るのはちょっと嫌だなってなる。こういうふうにカスタムしてあったら楽しく乗れそうだな。

▲ハスラーは後ろからカスタムの様子がばっちり見える。センターマフラーもカッコいい! ▲ハスラーは後ろからカスタムの様子がばっちり見える。センターマフラーもカッコいい!


稲葉:ところがうちのカスタムは女性受けがイマイチで……。「車高が高くなっているから乗り降りしづらい」と(笑)。

Bose:本来は乗り降りしやすい車なんだけどね。僕の奥さんはこういうノリ、好きだと思う。車高が高くなっている分見晴らしもいいし、ドライブが楽しくなるよ。

▲「見晴らしがいいから気持ちいい。奥さんも気に入ると思うな」とBoseさん ▲「見晴らしがいいから気持ちいい。奥さんも気に入ると思うな」とBoseさん


稲葉:そうですね。目線の感覚はハイエースとかに近いと思います。

▲リフトアップされたエブリイ。背が高くなったことで迫力もアップ ▲リフトアップされたエブリイ。背が高くなったことで迫力もアップ


Bose:このエブリイ、カッコいいなあ。オンロードを意識しつつもオフロード的な雰囲気もあるし、オリジナリティを感じるね。

稲葉:この現行型エブリイは、テールランプを社外品に替えてあります。リフトアップしたうえでバンパーを薄くしてあるので、リアのカスタムが見えてくる。これがポイントです。

▲バンパーを薄くすることで、カスタムの様子が後ろからわかる ▲バンパーを薄くすることで、カスタムの様子が後ろからわかる


Bose:ハスラーといい、エブリイといい、はみ出し感が半端じゃないよね。バハバグみたいな雰囲気がいい感じだよ。
※編集部注:バハバグとはフォルクスワーゲンタイプⅠ(ビートル)ベースのカスタムモデルで、リアのエンジンルームがむき出しになっている。

稲葉:今、うちではエブリイのカスタムが7割、ハスラーが2割、残りの1割がキャリイトラックです。エブリイはかなり注目されていますよ。

ボディリフトで10cmアップ!

Bose:ちなみにこれ、インチアップはどのくらいしてあるんですか?

稲葉:うちのインチアップは4インチ(約10cm)ですね。

Bose:4インチかあ。これだけ上がるとかなり雰囲気が変わるよなあ。乗り心地なんかもだいぶ違うのかな。

稲葉:先ほどもお話したように、インチアップの方法はいろいろ試行錯誤して、現在はボディリフトと呼ばれるやり方を取り入れています。これはスプリングやショックを長くして車高を上げるのではなく、足回りとボディを切り離して空いたスペースにブロックを入れる。そういうやり方です。

Bose:つまり車体ごと高くなっている。

▲スプリングの頭に付くリフトアップパーツのひとつ ▲スプリングの頭に付くリフトアップパーツのひとつ


稲葉:そうです。中を覗くとスプリングの頭に茶筒のようなものが付いているのがわかると思います。その大きさが上がっている量になります。ちなみにインチアップするにあたり、登録時には構造変更の申請を行っています。ここがポイントで、ボディリフトは構造変更するにあたり、難しい書類がなくても大丈夫なんです。足回りの構造変更だと強度計算などいろいろな書類が必要。このあたりも試行錯誤する中でいろいろ研究した部分です。

Bose:これだけ車高が上がると、乗り味もかなり変わってくるものですか?

稲葉:足回りはオリジナルなので、操作性や乗った感じはノーマルと変わりません。

Bose:車高が上がった分、ボディが振られたりということはないんですか?

稲葉:見た目からそういう印象を受けますよね。でも大丈夫です。確かにノーマルのタイヤだとマイナス要素が出てくるのですが、タイヤを替えることでそこをカバーしているんです。

Bose:なるほどね。試行錯誤でうまくバランスが取れた状態にたどり着いたんだ。ちなみにカスタム費用はどのくらいかかるものですか?

稲葉:うちでカスタムのファーストステージとしてオススメしている3つの案がリフトアップ、タイヤとホイール、そしてボディ加工やバンパー加工です。これでだいたい50万円くらいですね。リフトアップのパーツだけで20万円くらいかかってしまうんですよ。先ほど紹介してもらったハスラーは70万~80万円くらいかかりました。

Bose:そう考えると贅沢な遊びだなあ(笑)。

稲葉:車両本体の半分くらいカスタム費用がかかりますからね。

Bose:でも、人と違うのに乗りたい、カッコいい車が欲しいという人にとってはアリだと思うな。

稲葉:今、アゲのスタイルは盛り上がってきています。これまでカスタムに興味がなかった人たちの認知度も上がってきていますからね。2015年、2016年の東京オートサロンでは、スズキがハスラーでリフトアップを提案していましたから。

Bose:ハスラーって素で乗るのもアリだけど、いろいろいじりたくなる雰囲気もある。メーカー自体がそれを意識していると感じるもんね。ノーマルだとなんか物足りないなと思っている人は要注目だよ。次回はこのカスタムについて、さらに突っ込んだ話を聞いてみるのでお楽しみに!

▲2016年の東京オートサロンにスズキが参考出品した、ハスラー ラフロードスタイル。アゲ方向のカスタム車として話題になりました ▲2016年の東京オートサロンにスズキが参考出品した、ハスラー ラフロードスタイル。アゲ方向のカスタム車として話題になりました

年末恒例のワンマンライブ、今年も開催!

スチャダラパーが東京・恵比寿のリキッドルームで毎年開催しているワンマンライブが今年も決定! タイトルは「暮れの元気なごあいさⅢ(KGGⅢ)」!!! 年の瀬には欠かすことのできない、ファンとスチャダラパーの生存確認。カーセンサー読者もぜひ!

『暮れの元気なごあいさⅢ(KGGⅢ)』
出演:スチャダラパー
会場:恵比寿 LIQUIDROOM
公演日時:2017 年12 月10 日(日)
開場時間:16:00 /開演時間:17:00
料金:前売¥5,000(税込) オールスタンディング ※ドリンク代別
チケット発売日:9月9日(土)
INFO:HOT STUFF 03-5720-9999
www.red-hot.ne.jp

text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/篠原晃一、スズキ株式会社、本田技研工業