▲四輪ディスクブレーキ、“シュアトラック”と呼ばれるABSは全車に標準装備。約40年前の車に、ですよ! ▲四輪ディスクブレーキ、“シュアトラック”と呼ばれるABSは全車に標準装備。約40年前の車に、ですよ!

約40年前の車なのに装備内容は現在にも通じる“最先端”ぶり

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年9月3日に発見したのは「リンカーン コンチネンタルマークV」です。2ドアクーペでありながら全長5850mm、全幅2024mmという巨漢ぶりです。聞いて驚くなかれ、ホイールベースは3061mmもあるんです。それでいてマセラティ グランツーリスモほどの全高しかありません。

コンチネンタルマークVは1977年から1979年まで生産されたパーソナルクーペです。昔ながらの「デカかろう良かろう」の時代のアメ車ですから、その威風堂々ぶりは現代の高級車をも脅かすほどの存在感を放っています。

▲トランク内にタイヤが納められていることが分かるデザイン。長年、コンチネンタルのアイデンティティとなっていました ▲トランク内にタイヤが納められていることが分かるデザイン。長年、コンチネンタルのアイデンティティとなっていました
▲ドアミラーのステー部分に入るリンカーンのマーク、今もやればイイのに……。ちなみにドアミラー、曇り止めの熱線入りです ▲ドアミラーのステー部分に入るリンカーンのマーク、今もやればイイのに……。ちなみにドアミラー、曇り止めの熱線入りです

これでも燃費を気にし、先代に比べて軽量化され、かつて標準だった7.5L V8エンジンを6.6Lへとダウンサイジングしたんです(とはいえ7.5Lもオプションとして設定されていました)。最高出力は168ps/3800rpm、最大トルクは433N・m/1800rpmで3速ATが組合わされていました。

高級クーペでしたからエアコン、パワーウインドウ、パワーステアリング、パワーシートなどは標準装備です。最近の車からすれば当たり前のように思えますが、約40年も前の車では考えられないほど最先端でした。時代を感じさせるのは3速ATでしょうねぇ。

世界の有名デザイナーに内外装(専用色の組み合わせ)を手掛けさせた“デザイナーエディション”と呼ばれるものに「ビル・ブラス」、「カルティエ」、「ジバンシー」、「プッチ」がありました。いやはや、アメリカの購買力が強かったことを感じさせるゴージャスな顔ぶれです。ちなみに当該車両は、ビル・ブラスのものです。

▲メーターパネルはカクカクしていて、時代を感じさせます。ステレオをはじめ、操作が必要なものはすべてドライバーのまわりにあります ▲メーターパネルはカクカクしていて、時代を感じさせます。ステレオをはじめ、操作が必要なものはすべてドライバーの回りにあります

当該車両、何が凄いって……走行距離がたったの1000kmという点です。写真で内外装を見ても申し分ない、コンクールコンディション。1979年からタイムスリップしてきたかのような佇まいです。車両価格864万円と絶対金額こそ高いですが、これほどのオリジナルコンディションを保っている車と巡り合うことはほぼないでしょう。

日本の道路事情にはなかなか「合う」と断言できませんが、これほど差別化を図れるかつての高級車はありません。ダウンサイジングした大排気量のV8エンジンをドロドロ轟かせて高速道路を走れば、古き良きアメリカの高級感にどっぷり浸かることができます。

ぶっちゃけ1000万円の高級車とて、日本の都市部ではよく遭遇します。その点、コンチネンタルマークVでこれほどのコンディションの車は、フェラーリの限定車よりも注目度が高いでしょう。「注目度」「差別化」という点におけるコストパフォーマンスはメチャメチャ高いと思います。

■本体価格(税込):864.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:0.1万km ■年式:1979(S54)
■車検:無 ■整備:付 ■保証:無(有償保証あり):
■地域:愛知

text/古賀貴司(自動車王国)