【オンリーワンを探せ】全長5m超の高級アメリカンクーペ、リンカーン マークVII
2013/11/05
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年10月29日に発見したのは「リンカーン マークVII」です。1983年にデビューし1992年まで生産され続けた、アメリカを代表する高級FRクーペ。ジャンニ・ベルサーチやビル・ブラスといった有名デザイナーが内装を手掛けたモデルもありましたが、今回見つけたのはハイパフォーマンスをウリにした「LSC」(Luxury Sport Coupeの略)です。
当時、BMW 6シリーズやM・ベンツ 500/560SECが高級クーペ市場をほぼ独占してたところに、リンカーンが対抗馬として約半額で投入。デビュー当初はBMW製の2.5Lエンジンも設定されていましたが、これは1年で廃止されました。基本は5LのV8エンジンで、同モデル中に4度も変更され、最高出力は140ps、150ps、200ps、225psとパワーアップ。当該中古車は1989年式なので225psで、同時期のマスタングGTと同じエンジンを積んでいます。
プラットホームは当時のフォード サンダーバード、マーキュリー クーガー、リンカーン コンチネンタルと一緒です。全長は5151mm、ホイールベースは2756mmとたっぷりとした古き良きアメリカンサイズ。それでいてクーペですから贅沢な空間です。リアシートも用意されていて、大人が5名乗車しても窮屈さを感じさせません。
かつては珍しかったパワーウインドウやパワーシートなどのほか、当時は高級車にしか採用されなかったトリップコンピューターも付いていました。また、レベライザー付きのエアサスによって乗り心地はフラットで快適。LSCはスポーティさをウリにしていましたから、他のモデルよりは足回りが引き締められています。
人間工学を無視した電動仕掛けのボタンの数々が個人的にはツボです(笑)。ガジェットっぽさ満点です。電気仕掛けであれば、技術的に進んでいるように思われる時代だったんですね。
24年落ちながら、当該車両、写真を見るかぎり、まずまずの程度の良さです。この車に関しては、25.9万円という車両価格が高いか安いかなんて考える必要はありません。「日本の道にはちょっと大きいなぁ」と考えるのも無意味です。こんな威風堂々としたクーペ、一部の高級車にしか用意されていませんし、これほどアメリカの豊かさを感じさせてくれる車もなかなかありませんよ!
Text/古賀貴司(自動車王国)