フィアット パンダ内装|伊達セレクション
写真上は巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ先生の筆による初代フィアット パンダの内装。コスト削減のため平面ガラスを使っているが、しかしまったく貧乏くさくない「箱を超えた箱」に仕上がっている。写真下は初代ルノー トゥインゴの内装図版。これまたコスト削減のため室内の鉄板はむき出しなのだが、そこが逆に好ましかった。
ルノー トゥインゴ内装|伊達セレクション
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新型フィットハイブリッド、走りは最高なのだが……

過日、新型ホンダフィットハイブリッドに試乗する機会があった。巷間言われているとおり、走る・曲がる・止まるに関しては素晴らしい出来で、かなりの感銘を受けた。そして外観も何やら未来的で大変ステキである。しかし、筆者が個人的に気に食わなかったのは内装だ。すべてが妙にゴージャスなのである。

いや、本当のゴージャスに仕上がっているならば何も問題はない。しかし、新型フィットハイブリッドのそれは「4畳半に安手のシャンデリアを無理やり吊るした感じ」だったのだ。

無論、ホンダのエンジニアやデザイナーにも言い分はあろう。「170万円級の車に高い内装素材なんて使えないんだから、仕方ないじゃないか」と。それはもっともな話だが、しかし「そもそも4畳半にシャンデリアは必要なのか? ていうか似合うのか?」ということを議論すべきだろう。

答えは明らかで、4畳半の和室アパートにシャンデリアを吊るす行為とは完全に意味不明である。吊るすならばさほど高価ではない、しかしシンプルで美しい和風あるいはアジアン調の照明器具であるはずだ。それならば、もちろん決してゴージャスにはならないが、4畳半もなかなかおしゃれで快適な空間となるだろう。

輸入中古コンパクトは「おしゃれ4畳半」だ!?

あくまで一例として新型フィットハイブリッドを挙げたわけだが、このことは日本製コンパクトカーの多くに当てはまると筆者は考えている。すなわち、あえて「くせに」という言葉を使うが、コンパクトカーのくせに妙にゴージャス志向で、しかし本当のゴージャスには(素材などの都合で)なりきれていないため、結果として「貧乏くさい感じ」になってしまっているのだ。

しかしその点、輸入車の、とくに中古車には「おしゃれ4畳半CAR」の宝庫だ。室内の鉄板を安っぽい樹脂パーツで隠すのではなくあえてむき出しにすることでコストを下げ、しかし鉄板をボディやシートなどと同色にコーディネイトすることで、貧乏なのかもしれないが決して「貧乏くさい」感じではなく仕立てられたモデル。

あるいは、パーツ類に曲面や曲線を多用すると何かとお金がかかるため、あえて多くをスパッと直線基調にしてコストを下げ、でもその潔さがかえって洒落た感じにつながっているモデル。そういった車種が山ほど存在するのが中古輸入コンパクトの数ある美点のひとつである。

よく言われることだが、車を買ったあと、結局いちばん長い時間目にすることになるのは内装だ。その意味で、もしもコンパクトカーを買うならば「本当のゴージャス」に仕上がっているアウディA1やVWゴルフなどの輸入プレミアムコンパクトか、あるいは初代フィアットパンダやルノートゥインゴなどの「おしゃれ4畳半CAR」。いずれにせよ輸入車という選択肢しかないと筆者には思われるのだが、どうだろうか。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
シンプルビューティな内装を持つ往年の輸入コンパクトはいかが?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE