【試乗】新型 ランドローバー ディフェンダー オクタ|オフロードでもオンロードでも “究極のパフォーマンス”を発揮する635psのラリーベースモデル
カテゴリー: ランドローバーの試乗レポート
タグ: ランドローバー / SUV / クロカン / ハイブリッド / 4WD / ディフェンダー / EDGEが効いている / 藤野太一
2025/07/09
▲ランドローバーのアイコンとも言うべき本格オフローダー「ディフェンダー」の最もタフでラグジュアリーなフラッグシップモデル。マイルドハイブリッドを採用、BMW由来のV8ツインターボを搭載する出自はダカール・ラリー参戦車両のベースモデル
ジャガー・ランドローバーが、“オンロード&オフロードで究極のパフォーマンスを発揮する新たなヒーローモデル”とうたうディフェンダーのフラッグシップモデルが「OCTA(オクタ)」だ。
車名のオクタは地球上で最も硬く、特徴的な外観と耐久性を有する8面体(octahedron)形状のダイヤモンドに由来するもの。強靭さや弾力性、人目を引く魅力、希少性などの象徴だという。
ディフェンダーは2026年よりFIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)および、そのメインイベントであるダカール・ラリーへのワークス参戦を表明しており、オクタはその競技車両のベースとなるものだ。
W2RCの市販車を対象とした「Stock(ストック)」カテゴリーへ参戦にあたって、オクタの4.4L ツインターボV8パワートレインをはじめ、ボディアーキテクチャーなどはそのまま用いられることになる。ベースとなるオクタに究極的な強度や耐久性が求められることは想像に難くない。
▲車高はベーシックモデルより28mm高く、再設計したバンパーでアプローチアングルも向上している
▲エクステリアは大型ホイールアーチなどでより迫力のスタイルとされた。リアバンパーには4本出しのアクティブエキゾーストシステムが組み込まれたエクステリアは、車高が28mm高く、ホイールアーチを拡大し、スタンスは68mmワイドになりベースモデルを上回る最低地上高と安定性を確保。ボンネット下への空気の吸入量を増やすためにグリルやバンパーは再設計されている。
これによりアプローチアングルとデパーチャーアングルを拡大し、同時にアルミニウム合金製の強靭なアンダーボディプロテクションを備えた。渡河水深は最大1mにまで達している。
ハードなエクステリアのイメージに反して、インテリアはラグジュアリーなもの。上質なウィンザーレザーを用いたスポーツシートを採用。立体的なボルスターを備え、前席の乗員がサウンドを全身で感じることができる多次元オーディオ体験を提供するボディ&ソウルシートを標準装備する。
これは音楽のベース音に合わせてシート内部にあるトランスデューサーが振動するもので、それぞれの楽曲がもつ微妙なニュアンスまでを再現し、カーオーディオとしては未体験の没入感が味わえる。
▲ベーシックモデルと同様のデザインながら、ウルトラファブリックなどを用いることで現代的ラグジュアリーさを表現しているまるでオンロードかのようにダートを走る
パワーユニットは競技車両にも採用される4.4L V型8気筒ツインターボにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様。システム最高出力635ps、最大トルク750N・mを発揮する。このエンジンはなんとあのBMW M謹製のユニットで、8速ATを組み合わせる。車両重量は2610kg(車検証上)とやはりそれなりにヘビー級だ。
足回りには、ピッチ&ロールを抑制する「6Dダイナミクス」サスペンションをディフェンダーとして初採用。スタビライザーを廃して、4つのダンバーを油圧回路でつないで個別に減衰しエアサスペンションの組み合わせにより姿勢制御を行うというもの。
いわゆるアクティブサスペンションのようなもので急加速やハードブレーキング、コーナリング時でも、ほぼ水平な姿勢をキープ。それでいながらシステムとして軽量化を果たし、重量配分の最適化にも貢献している。
走行モードはコンフォートをはじめ、ランドローバーにはお馴染みの「草 / 砂利 / 雪」、「泥 / 轍」、「砂地」、「岩場」などが用意されているが、オクタにはステアリングのセンターパッド下にシグネチャーロゴを配したボタンが備わっている。ワンプッシュするとステアリングやアクセル、サスペンションのセッティングをオンロードでのパフォーマンス重視へと最適化する「ダイナミックモード」に変わる。さらに長押しすれば、オフロード走行時の性能を最大化する「OCTAモード」へと切り替わる。
▲シャシーなどの改良に加え、ピッチとロールを制御する6Dダイナミクスサスペンションを装着し走行性能をさらに向上させているまずは本格的なオフロードコースで試走した。通常こうした本格オフローダーの試乗といえば、急斜面や岩場、水たまりなどのハードなコースをゆっくりと走るのが定番のもの。しかし、今回はダートコースで、インストラクター先導のもと本格的に攻め込むことに。
ほんの短い直線でも635ps/750N・mは伊達ではなく、速度計は70km/hくらいを示していた。OCTAモードで感じるのは、とにかく姿勢が安定していること。アンダーステアやオーバーステアが出そうな場面でも、それがまったくなかった。普通車では底づきして走れなさそうなわだちの深いコースでも、ステアリングは道にとられることなく安定しているし、ブレーキングに意識を集中していれば、まるでオンロードを走っているかのようにしっかりとアクセルを踏んでコーナーを立ち上がることができる。
そしてオンロードでも「6Dダイナミクス」サスペンションの効果はてきめんで、ハイスピードでオフロードをこなす車とは思えないほどしなやかに走る。
試乗前に2099万円~というプライス表をみてちょっと高いかなと思っていたが、試乗後の印象は一変。競技車両のベースになるほどの高性能でありながら、これほどの快適性を備えているのだから、リーズナブルと言っていいだろう。
すでに導入記念限定車のオクタ「EDITION ONE」は完売しており、標準のオクタも数に限りがあるようなので、気になる方はお早めに。
▲フロントにはブレンボ製キャリパーを備えた400mm径のディスクブレーキを装備する
▲最高出力635ps/最大トルク750N・mの4.4L V8ツインターボエンジンは全地形走破能力に合わせてチューニングされているという
▲前席にはヘッドレスト一体型の新型パフォーマンスシートを装備する
▲ロングホイールベースの110がベースとなるため、後席のスペースも十分
ライター&エディター
藤野太一
カーセンサー、カーセンサーネットの編集デスクを経て、カーセンサーエッジの創刊デスクを務める。現在はフリーランスのライター&エディターとして、自動車誌をはじめビジネス誌、ライフスタイル誌などにも寄稿する。
ランドローバー ディフェンダー(3代目)の中古車市場は?

1948年に登場したシリーズIを始祖とするランドローバーを代表するクロスカントリーモデル。現行型は2019年に発表、ブランド史上で最も頑丈とうたわれるアルミモノコックボディを採用した。ショートホイールベースの90とロングホイールベースの110に加え、110のリアオーバーハングを340mm伸ばした3列8人乗りの130をラインナップする。
2025年6月下旬時点で、中古車市場には400台程度が流通。支払総額の価格帯は620万~1710万円となる。110が多いものの、ショートの90が80台程度、8人乗りの130も30台程度が流通している。
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