▲無理だと思っていた初代ロードスターでの釣行だが、試しにやってみると意外とスムーズで…… ▲無理だと思っていた初代ロードスターでの釣行だが、試しにやってみると意外とスムーズで……

確かに不便だが、これはこれで全然悪くない!

中古車評論家兼釣り人の伊達軍曹であります。釣り車である旧型ルノー カングーを修理に出しているため、ここ最近は代車の初代マツダ ロードスターに乗っています。「ロードスターだから、しばらく釣りに行くのは無理だなぁ……」と思っていたのですが、よく考えてみれば別に無理ではない可能性もあります。そもそもわたくしは大量のタックル(釣り道具)を使うタイプのアングラーではないのですから。

そしてもしもロードスター、ていうかオープン2シーターでも全然イケる! という結論が出れば、カングーやミニバンなどに共通する弱点である「横風問題」に、今後は悩まされることがなくなります。それって最高じゃないか! ということでさっそく試してみました。

▲筆者が代車としてお借りしている初代マツダ ロードスターと、自前のタックル一式 ▲筆者が代車としてお借りしている初代マツダ ロードスターと、自前のタックル一式

現在の代車はコレ。年式不明の初代マツダ ロードスターで、正確には「ユーノス ロードスター」です。古いですね。でも全然快調ですよ。それに、筆者のタックルをフルセット載っけて釣りに出かけてみます。タックルの詳細は以下のとおりです。

●10.6フィートのサーフ用ロッド+スピニングリール
●8.6フィートのシーバスロッド+スピニングリール
●7.3フィートのアジング用ロッド+スピニングリール
●ウェーダーバッグ(ウェーダーというのは腰まである長靴みたいなやつのこと)
●クーラーボックス
●ルアーなどの小物類を入れるショルダーバッグ
●麦わら帽子、偏光レンズのサングラス

この日は持っていくのを忘れてしまいましたが、他に「タモ網」もあります。釣り人によってはさらに「大量の冷凍エサ」「磯で着るウエットスーツ」「その他10本ぐらいのロッド」とかを車に積んでいたりしますが、筆者の場合はこの程度です。ロードスターであっても楽勝で収容できる予感がムンムンであります。ではさっそく積んでみます。

▲手始めにソフトトップを開けた状態で助手席にロッドを積んでみた ▲手始めにソフトトップを開けた状態で助手席にロッドを積んでみた

ロッドは8.6フィートおよび7.3フィートなのでさほど長くないですが、ソフトトップを開けてしまえば長いロッドも積めますね。筆者は昔2シーターオープンで大きなギターアンプを運搬したことがありますし、知人は「タンスを運んだ」と言ってました。オープンカーは屋根を開ければ意外と万能なのです。

ただし、雨が降ってくるとその万能性は一気に消滅しますので、基本的には「ソフトトップを閉めた状態でどれだけ積めるか?」を問うべきでしょう。

▲トランクはさすがにやや狭めで高さもなく、スペアタイヤにも結構なスペースを占領されている ▲トランクはさすがにやや狭めで高さもなく、スペアタイヤにも結構なスペースを占領されている

またトランクは、初代マツダ ロードスターの場合は対角線の長さが約127cm(※筆者独自計測)。となると7フィート台までの2ピースロッドは積めそうですが、8フィート以上のロッドや、短いタイプでも1ピースのバス用ロッドとかは厳しい。初代ロードスターの場合は、トランクにロッドを積むのは最初から諦めた方がいいかもしれません。

では、屋根を閉めた状態で助手席にロッドを置いてみましょう。まずは8.6フィートのシーバスロッドと7.3フィートのアジング用ロッド。……あえて邪魔なクーラーボックスを置いた上に立てかけてみましたが、楽勝です。巻き尺で測ってみると助手席の足元からリアウインドウのあたりまでは直線で155cmありましたので、9.6フィートぐらいまでの2ピースロッドなら(分割したうえで)助手席に置けるはず。

▲2分割した8.6フィートと7.3フィートのロッド。余裕であります ▲2分割した8.6フィートと7.3フィートのロッド。余裕であります

しかし10.6フィートのサーフ用ロッドになるといささか厳しい。ただ、やや斜めに立て掛けることでなんとかなりました。斜めの場合、助手席の足元からリアウインドウまでの距離は筆者計測で約170cm。

▲10.6フィートになるとさすがに真っ直ぐ立て掛けるのは無理。しかしやや斜めに置けば大丈夫 ▲10.6フィートになるとさすがに真っ直ぐ立て掛けるのは無理。しかしやや斜めに置けば大丈夫

で、麦わら帽子を含むフルセットを置いて終了です。

▲世の中なんとかなるもんです ▲世の中なんとかなるもんです

スペース的にはけっこう余裕ですが、走行中にロッドが耳の真横でカチャカチャとうるさい音をたて、そして左カーブのたびにドライバーの方にロッドが倒れてきますので、そのあたり(制音と固定)については再考の余地ありと感じました。

そしてウェーダーバッグはトランクに。……微妙に上方向にはみ出てるような気がしないでもありませんが、まぁ柔らかいものですので、トランクのフタをガシャンと押しこめばそれでノープロブレムです。

▲上にハミ出してるようないないような、微妙なあんばいのウェーダーバッグ ▲上にハミ出してるようないないような、微妙なあんばいのウェーダーバッグ

オープン2シーターで釣行に出てみての結論は、「微妙だけど、悪くない」です。

微妙というのは、やはり何だかんだいって釣り車は狭いと道具の出し入れが不便ですし、前述のカチャカチャ音やカーブでロッドが倒れてくるという問題もあります。また人によっては積めるタックル量が制限されることをかなりの問題と感じるかもしれません。さらに、当然ですが同行者と2人で楽しく釣りに行くのも不可能です。林道を走って渓流に行くのもたぶん無理でしょう。

でもね、意外と悪くないんですよ。そもそもタックル量が少ない都会のルアーマンだからというのもあるんですが、積むべきものは十分積めましたし、古い代車とはいえロードスターの走りはやっぱり快感そのものですから、道中の運転が楽しくて仕方ない。

特に、気が向いたタイミングで屋根を開け、太陽の光と風の流れを感じながら愛用のタックルとともに釣り場まで快走するのは、本当に気持ちいい、クセになりそうな快感だったのです。

▲気が向いたときにオープンにして走れば、気分はウエスト・コーストのセレブ釣り師!? ▲気が向いたときにオープンにして走れば、気分はウエスト・コーストのセレブ釣り師!?

わざわざ「釣り車として2シーターオープンを買う」というのは完全にナンセンスですが、「これから買う2シーターオープンを、釣り車としても使う」というのは大いにアリだと確信しました。人生が1粒で2倍にも3倍にも楽しめるといいますか。

ということで、気兼ねなく使える感じのちょっと古い、でもステキに走れるオープン2シーター。気になる方はぜひ探してみてください。よろしくです。

text&photo/伊達軍曹