▲釣行に伴う様々な走行条件を考えると、もしかしたらコレが最強なのかも? ▲釣行に伴う様々な走行条件を考えると、もしかしたらコレが最強なのかも?

旧型カングーはかなり素晴らしいが、強い横風にだけは弱かった

釣り車として、自らもこのコーナーの中で推奨していた旧型ルノー カングーを購入した。5MTの08年式で、走行距離は4.1万km。最近はそれに乗って各地への釣行を繰り返している。

筆者が再三ここで繰り返している「ビギナーのための釣り車の条件」とは、まずは「適度にボロいこと」、次に「手頃な価格であること」、そして「サイズもキャラも中庸であること」だ。それに加えて「どことなくオシャレ」であれば、もはや言うことはない。

で、このたび筆者が購入した旧型ルノー カングーというのは、実はそれら条件をほぼ完璧に満たす「究極の釣り車」なのではないかとにらんでいたのだ。そのため私費にて購入したわけだが、実際に納車され、そして釣行の伴として使ってみた旧型ルノー カングーはどうだったか?

▲筆者が過日購入した08年式ルノー カングー(5MT)。千葉県南房総市の某海岸近くにて ▲筆者が過日購入した08年式ルノー カングー(5MT)。千葉県南房総市の某海岸近くにて

素晴らしかった。中古車それ自体としては何の不具合もなく、しかし適度にボロいという最高の状態であり、そしてどんな道にも突進できる適度なサイズと、見た目からは想像できないほどしっかりしている走行性能、使いやすい荷室、まずまずな燃費性能(約800km走っての平均で13.1km/h)など、釣り車として最高レベルの1台であることは間違いないと、実釣を通じて確信している。

しかし1点だけ誤算もあった。横風に弱いのだ。

過日、南房総の某所へヒラメを釣りに行った際のことだが、当日の関東地方はかなりの強風であった。当然、釣りを行うポイントはしっかり「風裏」を選んでいたため、釣り自体に影響を及ぼすものではなかった。が、道中の高速道路では車体が右に左にとけっこう揺さぶられ、正直緊張し、そして疲れた。

後日「やや強風の日」にも釣りに出かけてみたが、その際は特に左右に振られることもなく安定した走行が可能だったので、旧型カングーが「極度に横風に弱い」ということはない。普通程度の強風であれば、まったく問題ないのだ。しかし「かなりの強風」である場合は、運転していてけっこう疲れるのは事実である。これはカングーのせいというよりも、こういったボディ形状を持つ車の宿命なのだろう。過日試乗したフィアットのパンダ4×4も「素晴らしい車だ! 特に釣り車にはもってこいだ!」と思ったものだが、しかし横風には弱かった。

▲現行フィアット パンダに過日追加されたパンダ4×4。素晴らしい車だが、横風にはやや弱い ▲現行フィアット パンダに過日追加されたパンダ4×4。素晴らしい車だが、横風にはやや弱い

以上の事実を勘案すると、旧型ルノー カングーは「非常に素晴らしい釣り車」ではあるが、「究極の釣り車」ではないのだろう。「究極」と名乗るには、やはり長距離移動にはある程度付き物である横風にも強くあってほしい。筆者は今後も旧型カングーとともに走行20万kmを目指して釣行に励む所存だが、“究極”を名乗るのだけはやめておく。

輸入車党が選ぶべき“究極”の釣り車とは?

では「究極の釣り車」とは何かといえば、以前も当コーナーで推奨した4代目スバル レガシィツーリングワゴンなのかもしれない。

▲こちらが4代目スバル レガシィツーリングワゴン。いろいろ考えるとやはり素晴らしい! ▲こちらが4代目スバル レガシィツーリングワゴン。いろいろ考えるとやはり素晴らしい!

今や適度にボロく、適度なサイズで、道具類を載せるのにも便利で、走行性能の高さは言わずもがな。そして横風にも弱くない。……完璧である。すべての釣りビギナーは四の五の言わずに中古の4代目レガシィをとりあえず買っておけば、ほぼ間違いなく幸せな釣り人生活を送ることができるだろう。

だが、筆者のような極度のヨーロッパ車好きはどうすればいいのだ? けっして国産車が嫌いなわけではなく、また今どき「ヨーロッパ車の方が基本性能が高くてウンヌン」と考えているわけでもない。200km/h以上で巡航するならさておき、普通に走る分には「ヨーロッパ車ウンヌン」はまったくナンセンスだ。そうではなく単純に趣味嗜好の問題として、筆者はヨーロッパ車じゃないとダメなのだ。そういったタイプの人間は、少数だが確実に存在する。そういった人らは、果たして何を選べば良いのか?

様々な解答が考えられるが、筆者が今考えているのは「旧型フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント」だ。

▲旧々型VW ゴルフ(ゴルフV)ベースのステーションワゴン。写真は2009年10月までの前期型 ▲旧々型VW ゴルフ(ゴルフV)ベースのステーションワゴン。写真は2009年10月までの前期型
▲こちらは同じVW ゴルフ ヴァリアントの後期型。ゴルフVIに準ずるデザインに変更された ▲こちらは同じVW ゴルフ ヴァリアントの後期型。ゴルフVIに準ずるデザインに変更された

後期型はまだ少々高いが、前期型であれば中古車のボリュームゾーンは70万~120万円で、平均車両価格は約96万円。なかなかお手頃である。

前期型はおおむね6~8年落ちとなるので適度にボロく、しかしちゃんと点検および整備を受けてきた個体であれば走りは依然、実用車として高レベル。エンジンはフォルクスワーゲン自慢のTSIということで、活発にしてまずまず好燃費。このあたりからのフォルクスワーゲン車は内装の質感も高いので、移動中も非常に気分がよろしい。そして横風にも全然弱くない……ということで、これまた4代目レガシィ ツーリングワゴンに迫る「究極候補」なのである。

▲スクエアなラゲージは、折り畳むとフラットになる分割可倒式の後席と相まって広く使い勝手も良好だ ▲スクエアなラゲージは、折り畳むとフラットになる分割可倒式の後席と相まって広く使い勝手も良好だ
▲2.4Lエンジン並みの出力を発生する1.4L TSIエンジン。他に2L直噴ターボもラインナップされている ▲2.4Lエンジン並みの出力を発生する1.4L TSIエンジン。他に2L直噴ターボもラインナップされている
▲内装各部のデザインや質感もなかなか良好であるため、気分的にもかなり満足できるはず ▲内装各部のデザインや質感もなかなか良好であるため、気分的にもかなり満足できるはず

唯一の問題は「なんとなく華がない」という点だろうか。まぁ、このあたりは個人の好みに基づく話であり、筆者は個人的にそう思うが、そうはまったく思わない人も多いだろう。

ということで「残念ながら体質的に国産車に乗ることができない」というアングラー各位は、ぜひ旧型フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントに注目されたし。

text/伊達軍曹 photo/伊達軍曹、フィアット、スバル、フォルクスワーゲン