▲1867年に31歳という若さで暗殺された龍馬。日本初の自動車「山羽式蒸気自動車」が製作されたのが1904年なので、もし生きていたら68歳の龍馬は車好きになっていたかも ▲1867年に31歳という若さで暗殺された龍馬。日本初の自動車「山羽式蒸気自動車」が製作されたのが1904年なので、もし生きていたら68歳の龍馬は車好きになっていたかも

ソフトバンクにも影響を与えた坂本龍馬

好きな歴史上の偉人アンケートでは、常にトップを争う坂本龍馬。一般の支持はもちろん、政財界人や芸能人にも人気が高い人物です。例えば、ソフトバンクの孫正義社長はかなりの龍馬好きで、同社のロゴマークは龍馬が率いた海援隊の旗印がモチーフとなっています。

現代に生きる希代の経営者まで虜にする坂本龍馬。もし彼が現代に生きていたら、この社会をどのように思うのか。といった難しい話はさておき、今回考えてみたいのは「龍馬にどんな中古車をオススメするか」です。

まずは、坂本龍馬がどのような人物だったかを整理しましょう。龍馬は、幕末の志士。土佐藩に生まれ、江戸遊学などを経て脱藩。その後、幕閣の勝海舟に弟子入りし海軍操練所で蒸気船の操縦を修学しつつ、各地の志士と交流をもちました。

海軍操練所の解散後は、日本初の株式会社ともいわれる亀山社中(後の海援隊)を設立し、蒸気船で日本全国を駆け巡ります。薩長同盟成立や大政奉還などに奔走し、明治維新の立役者の1人となりますが、大政奉還が成った1ヵ月後、京都近江屋で暗殺。龍馬、31歳の誕生日のことでした。

蒸気船で日本全国を巡った龍馬ということで、ストレートに考えると、ハイドロニューマチック・サスペンションにより船のような乗り心地を実現したシトロエン C5セダンを薦めたいのですが、今回はもうひと捻りしてみたいと思います。

▲大型船にも例えられる乗り心地のシトロエン C5セダン。エアスプリングと油圧シリンダーおよび油圧ポンプを組み合わせたハイドロニューマチック・サスペンションが採用されている ▲大型船にも例えられる乗り心地のシトロエン C5セダン。エアスプリングと油圧シリンダーおよび油圧ポンプを組み合わせたハイドロニューマチック・サスペンションが採用されている

日本中を駆け巡った龍馬だから燃費にこだわりたい

龍馬にぴったりの1台を考えるのに、参考になるエピソードがあります。長い刀が流行っているときに短刀を持つ龍馬。曰く「短い刀の方が実戦に向いている」。友人が短い刀に変えると、龍馬は銃を見せながら「拳銃の前に刀は役に立たない」とのこと。ならばとその友人は拳銃を手に入れたのですが、龍馬は洋書を見せ「これは万国公法。これからは世界を知らなければいけない」と言ったそうです。時代に合わせて常に新しいものを取り入れる龍馬の性格をよく表しています。

今、最も新しい車といえばトヨタの水素自動車MIRAIだと思いますが、まだ中古車市場には流通していません。では、中古車で考えられる新しい車とは? それはEV(電気自動車)とPHV(プラグインハイブリッド車)ではないでしょうか。

しかも、龍馬は各地の志士と意見を交わしたり、倒幕の工作に全国を精力的に駆け巡ったりしています。一説には、勝海舟に弟子入りして暗殺されるまでに船で移動した距離は約2万km、土佐を出奔してから暗殺するまでの移動距離は4.6万kmなんて説もあります。そう、燃費が節約できるEVとPHVは龍馬にうってつけなのです。

また、龍馬は超のつく合理主義者として知られています。例えば、仲間である土佐勤王党を弾圧した土佐藩の重役、後藤象二郎とも手を組みます。現実を見据えて現状で最善の選択ができるのも、当時としては珍しかったことでしょう。そう考えると、インフラ整備が完全ではないEV車より、ガソリンと併用するPHVの方が龍馬向きかもしれません。

龍馬が気に入る1台は、龍馬とも関係が深いあの大企業の車?

さらに龍馬の性格や人生を読み解きながら、オススメのPHVを探してみましょう。

龍馬と切っても切り離せないのが、黒船です。江戸遊学中、土佐藩士として品川沿岸の警備にかり出された際に目にしたかもしれない巨大な船(来航した4隻のうちミシシッピ号は江戸湾内に入っているので、龍馬が見たとしたらこの船かも)。日本にあったどの船とも違う圧倒的な力を感じさせる船は、龍馬に大きな影響を与えました。そして、その船で世界中を駆け巡ることを夢見て、海軍操練所に籍を置き、後に海援隊を創立するのです。

そう、龍馬はデカい乗り物が好きなんです。それに、龍馬は身長170cmオーバー(諸説あり)で当時としては大男でした。それを踏まると、軽自動車やコンパクトカーはちょっと手狭かもしれません。

さて、デカいPHVですぐに思いつくのは、M・ベンツ S500プラグインハイブリッドです。土佐でも指折りの裕福な商家「才谷屋」を実家にもつ龍馬なら手が届くでしょうし、海援隊の隊長としての威厳にもピッタリではないでしょうか。しかし、残念ながらS500 PHVもカーセンサーnetでは掲載されていませんでした(2015年2月13日現在)。

原稿執筆時点では、掲載されているPHVの多くがプリウスPHV。そして、ちらほらアウトランダーPHEVがあるといった程度です。ん、アウトランダー……。SUVで車格も大きく、龍馬もラクに乗れそうです。それに龍馬好きの人なら、ピンと来たかもしれません。

そう、アウトランダーPHVは三菱車。そして、三菱といえば創設者は岩崎弥太郎。土佐藩出身で一時期は海援隊で経理を担当していました。「弥太郎の会社が作った車ぜよ。こりゃ、乗らんといかんき」 と満面の笑みで語る龍馬の声が聞こえてきそうです。

ということで、私が坂本龍馬にお勧めしたい1台は、三菱 アウトランダー PHVです。龍馬ファンのあなたも、少し考えてみてはいかがでしょうか?

▲アウトランダーPHEV。充電電力使用時の走行距離は60.2km(JC08モード)。日常生活はほぼEVとして使用できる ▲アウトランダーPHEV。充電電力使用時の走行距離は60.2km(JC08モード)。日常生活はほぼEVとして使用できる
▲京都市東山区の京都霊山護国神社の霊山墓地中腹にあるお墓。中岡慎太郎と同じ場所に祀られている ▲京都市東山区の京都霊山護国神社の霊山墓地中腹にあるお墓。中岡慎太郎と同じ場所に祀られている
text&photo/コージー林田