▲写真をよく見ないとストレッチされていることに気づかないかもしれません ▲写真をよく見ないとストレッチされていることに気づかないかもしれません

バブル期だから投入することができた?

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年11月11日に発見したのは「トヨタコロナ」です。1957年に登場し、11代にわたって作られ続け2001年に絶版となったマイカーブームの屋台骨みたいな存在です。“たくさん流通していそうな車なのに1台?”とお思いになった読者の方は鋭いです。

発見したコロナはタダモノではありません! 1990年、トヨペット店(コロナ取扱店でした)累計販売台数1000万台を記念して投入された、500台限定の「スーパールーミー」というグレードです。ベースになっているのは9代目コロナです。

失礼ながら何の変哲もないファミリーカーなのに、リムジンのごとくBピラー部分が210㎜“ストレッチ”された車なんです。すべてはリアシートのためにあてがわれていて、コロナの“車格”に似つかわしくない不思議な快適空間が広がっています。

カタログにうたわれているキャッチコピーもイカしています! ブカブカなサイズの靴を履いている、半ズボン姿の男性(男の子?)の脚を背景に“お隣のコロナより、うちのは、大きい”とうたわれているんです。誰がターゲットだったのかとても難しいんです(笑)。

▲Bピラー部分にご注目ください! この部分が210㎜延長されているので、後席の足元スペースは広大です。後ろに座れば自然と笑みがこぼれますね ▲Bピラー部分にご注目ください! この部分が210㎜延長されているので、後席の足元スペースは広大です。後ろに座れば自然と笑みがこぼれますね

1990年を振り返ってみるとバブル景気真っ只中、リムジンの並行輸入も流行りましたし、人気コミックで映画シリーズにもなった「静かなるドン」では主人公がリムジンで移動していた時代です……。にしても、やっぱり理解できないのがファミリーカーベースであることです。いや、バブル期だから突拍子もないことができた、と解釈できなくもありません。

「珍車」「迷車」「バブルカー」など、様々な異名で呼ばれるかもしれませんが、本気で唯我独尊の世界を突っ走っている車であることは間違いありません。外装色は白とシャンパンゴールドのツートンカラーのみの設定でしたから、当該中古車は前オーナーが塗り替えたんでしょう。

▲ストレッチされていても全長は4690㎜しかありませんから、取り回しはフツウの大型セダンよりも楽です。気ままに改造するベース車両にもうってつけ ▲ストレッチされていても全長は4690㎜しかありませんから、取り回しはフツウの大型セダンよりも楽です。気ままに改造するベース車両にもうってつけ

走行距離14万㎞ですが、写真を見るかぎり24年前の車としては上々のコンディションに見受けられます。車両本体価格38万円が高いか安いかは人それぞれでしょうが、もうこんな“凄い”車は登場しないことを鑑みれば個人的には「即買い」物件だと思います。

ストレッチされているとはいえ全長は4690㎜しかありませんから、日常使いで取り回しに苦労することはありません。新車時登録から24年ですから手直しが必要なことも出てくるでしょうが、あくまでもコロナですから修理代を不安がる必要もないでしょう。

そういう意味では38万円が安く感じてきます。500台しか生産されていない、という点ではフェラーリF40よりも少ないわけです(笑)。ファミリーカーベースのリムジンって“冗談”のような存在ですが、嫌味のない差別化の図り方として最良の選択肢にも感じます。

とにもかくにも、まずは物件、ご覧になってみてください!

■本体価格(税込):38.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:14万㎞ ■年式:1990(H2)
■車検:無 ■整備:別 ■保証:無
■地域:三重

text/古賀貴司(自動車王国)