【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、あえてのド定番輸入車を勧める
カテゴリー: クルマ
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2014/03/13
男は(女も)黙ってベンツかビーエム。人間、そんな時期も必要だ
歳を重ねることで初めてわかる、笑点や水戸黄門の魅力
いつの頃からか、気がついてみれば日曜日の夕方はテレビで「笑点」を見るのが筆者の恒例行事となり、またふと気がついてみれば、「水戸黄門」のDVDボックスをひたすら見まくっていたりもする。
ニッポンの大定番である笑点と水戸黄門だが、若い時分の筆者は両者を忌み嫌っていた。予定調和な笑いと、ナイーブすぎる勧善懲悪。……そんなものはクソだ! ……若かった筆者はそのように思い、不条理で暗くて不幸なフランス映画などばかりを見ていた。
しかし今、冒頭のとおり笑点と水戸黄門を観ている。
なぜそうなったかといえば、「大人になった」ということなのだろう。青年時代は不条理に憧れたが、いざ大人としてのリアルライフを生きてみれば、世の中とは映画以上の不条理だらけであった。そこで誰しも気づくのが「……生きてるってだけで不条理なのに、なんで金払ってまで不条理なモノを見なけりゃならんのだ?」ということだ。
現実社会では正しい者が必ずしも勝利するわけではないことをよく知っているからこそ、せめてフィクションの世界では正しい者が勝ってほしい。祖母は、そんな思いで一心不乱に水戸黄門を見ていたのだろう。筆者も、四十にして迷いっぱなしではあるが、少なくとも「定番」の良さは知るに至った。
世界的定番商品には、やはり定番になるだけの魅力がある
これとは若干話が違うかもしれないが、車においても似たような流れはある。若い時分というのは「ベンツのE」や「ビーエムの3」のような世界のド定番に対して、正直「ケッ!」みたいな気持ちも抱くものだ。「……長いモノに巻かれやがって。オレはそんなオッサンにだけはならないぜ!」とばかりにルノーに乗る、シトロエンを買う、あるいは英国バンデンプラ・プリンセスなどの変態世界に旅立つ。それが、青春だ。
そういった血気を悪いものとは思わない。しかし、それはそれとして、むやみやたらと「定番」を避けるのも愚の骨頂であるはずだ。「定番」とされている車には、やはり定番になるだけのパワーというか素晴らしい魅力があるもので、それを知るのは決して悪いことではない。いや「悪いことではない」どころか、筆者が初めてBMW 3シリーズを所有したときは「こ、こんなにイイものを、無駄に突っ張って敬遠していた俺はなんてバカなんだ!」と、自分の愚鈍さを心底呪ったものだ。
カーセンサーnetおよびカーセンサーEDGEnetをご覧の諸兄は、データによれば、いわゆる「大人の男性」が多い。よって、今さらこんなことを筆者に言われなくても、とっとと世界の大定番に乗っているのかもしれない。
だが、もしも、何らかの信念ではなく「無駄な突っ張り」のせいで定番を避けている人がいるとしたら、ひと言だけ申し上げたい。「……もったいないですよ」と。
前述のM・ベンツ EクラスでもBMW 3シリーズでも、はたまたVW ゴルフでも何でもいいのだが、「世界のド定番」にはぜひ人生一度は乗ってみていただきたいのだ。乗ってみれば、なぜ、世界中の雑誌やWEBサイトが、それらモデルの特集を年がら年中やっているのか、すぐにわかるはずだから。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「世界のド定番輸入車」だ。
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日本で一番売れている輸入車の一つ、BMW 3シリーズ。写真は12年からの現行型。ハンドリングや全体のバランスなど、売れているだけのことはある
こちらはまさに日本で一番売れている輸入車であるVW ゴルフで、写真は13年3月までの旧型。これ1台あればほかに何もいらない、真のド定番だ
ド定番輸入車の新世代といえば、やはりアウディか。中でも最も売れ筋モデルであるA4/A4アバントは、良い意味での最大公約数的な魅力がある
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中