【オンリーワンを探せ】スーパーカーの生みの親たちのノウハウが詰まったベルトーネX1/9
カテゴリー: クルマ
タグ:
2013/11/12
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年11月5日に発見したのは「ベルトーネ X1/9」です。「X1/9ってフィアットじゃなかったっけ」と思った方、立派な車オタクです(笑)。そう、これはイタリアのカロッツェリア(デザインから生産までを引き受ける外部工房)、ベルトーネがフィアットのためにデザインした車です。
1972年からベルトーネがボディとインテリア製作を行い、フィアットの工場へ納品していました。1982年、フィアットは販売も下火になったX1/9を絶版としたかったようですが、ベルトーネは工場稼働率の維持、ならびに「まだ売れる」との考えから生産・販売の権利をフィアットから譲り受け、1989年まで「ベルトーネ X1/9」として世に送り続けたんです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、この車、生い立ちが物凄いんです。カウンタック ミウラを手掛けて以降、お手ごろ価格のミッドシップスポーツカー作りを模索していたヌッチオ・ベルトーネは、FR車とFF車のコンセプト作りをフィアットから発注されました。しかし、それにとどまらずミッドシップまで提案。それが採用されX1/9となりました。
さらにX1/9には、ランボルギーニ ミウラやカウンタックの生みの親と言ってもいいマルチェロ・ガンディーニがチーフデザイナーとして参画。サスペンションやパワーユニットの開発では、フェラーリ、マセラティ、デ・トマソなどのスーパーカーメーカーを渡り歩いたジャンパオロ・ダラーラをコンサルタントに起用。ミシュラン3つ星シェフを集めて、コンビニ弁当をプロデュースしたような感じです(笑)。
今回見つけたベルトーネ X1/9はオリジナルエンジンではなく、もっとパワフルなフィアット ウーノに搭載されていた1.4Lターボエンジンに載せ換えられています。要はヒストリーを受け継ぎながら、現代の車とそん色ない走りを味わえるよう、前オーナーが手を加えた1台です。オリジナルにこだわるか否かで、当該物件への思いは大きく左右されると思います。
個人的にはスーパーカーマイスターたちが生み出したX1/9のルックスや足回りに惹かれますし、エンジンが現代版なら“儲けもん”な気がします。車両価格258万円は安くありませんが、同程度のパフォーマンスで、これほどストーリー性を持ったミッドシップオープンカーは希少だと思います。
Text/古賀貴司(自動車王国)