日本のコンパクトカーはとにかく万能で、実用性の高さでいったら世界一かもしれません。ただし、車は実用性がすべてではありません。見てワクワクするようなスタイルは、それだけで大きな価値があります。今回はそんな1台、イタリアのフィアット500をご紹介します。

「チンクエチェント(イタリア語で500の意)」とも呼ばれる同車には、1957年に登場した同名の先祖がいます。これは当時のイタリア市民に広く受け入れられ、大衆車としてイタリア自動車界の象徴的な存在であり続けました。

その登場からちょうど50年後に、イタリアで新型(現行型)のフィアット 500が発表されたわけです。最大の特徴は、誰が見てもオシャレと思えるスタイルでしょう。しかし、それだけで終わらないのが同車の真骨頂です。

コンパクトなボディながら、大人4人がしっかり座れる室内をもち、ラゲージ容量は185Lを確保(最大550L)。さらにリアシートは分割可倒式を採用するなど、使い勝手も優れています。安全面においても、7つのエアバッグを備えるほか、ESPやASR(駆動輪空転防止機能)を備えるなど、高い安全性を実現しています。

エンジンは、1.2Lの直4がまずリリースされ、その後1.4Lと、875ccの直列2気筒ターボエンジン「ツインエア」を追加。ミッションは「デュアロジック」と呼ばれる5速の2ペダルMTを搭載しており、これはAT限定免許でも運転することができます。

さて、そんなフィアット500も登場から5年がたち、いよいよ100万円以下の中古車が登場してきました。最安値の1台は1.2 V8 ラウンジ SSで、価格は88万円(原稿執筆時)。走行距離は9.1万kmですが、修復歴はありません。当時の新車価格が233万円なので、半額以下どころか、1/3近い価格で買えるわけです。

これがもう少し予算をアップすると、118.8万円で走行0.9万km+修復歴なしといった中古車も存在します(原稿執筆時)。相場のボリュームゾーンは100万円台が中心ですが、流通量は200台前後あるので、じっくり選べばきっと気に入った1台が見つかるはずです。デビュー時に「欲しいけどコンパクトカーに200万円はなぁ…」と考えていた方、今なら新車の国産コンパクトの予算で、程度の良さそうなチンクエチェントが狙えますよ!

Text/金子剛士

エクステリアは、オリジナルの個性を損なうことなく、当時のフォルムを継承。柔らかく丸みを帯びたボディラインが、見る者を引きつける

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インテリアも外装に負けじとオシャレさ全開。クロームのアクセントやインパネのシフトレバーのほか、スイッチ類がオリジナルを想起させる

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シート自体は小ぶりながら、しっかり腰や背中をサポート。この見た目だけで終わらないところが、フィアット500の魅力をより高めている

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