フィアット 500 VS ミニ ミニ PART1:走行性能が優れているのはどっち?
2008/06/10
PART1 走行性能が優れているのはどっち?
フィアット 500
ミニ ミニ
気取らないチンクエチェント、BMWらしいミニ
500(チンクエチェント)とミニ。誰がどう考えても十分にベタなライバル同士だ。ところが実際の走りの味となると、両車の方向性に違いがあるのがおもしろい。 フィアット500は、ベースがパンダということもあり、ロッテリアのハンバーガーのような気取らなさ。2300mmとホイールベースが短く、185/55R15のややファットなタイヤを履くせいもあり、乗り心地はザバザバとした感触。
現行パンダの乗り味をご存じなら、“あの感じ”とお伝えすれば通じるだろう。カジュアルというか、肩のチカラが抜けているというか、そういう乗り味。首都高のジョイントを通過するとリアが飛び上がるように跳ねたり、凹凸のある路面では、路面の形状がわかるような揺れ方もする。滑らかさ、しなやかさを期待すると、足はもう少し動いてほしい場面があるのは事実。ちなみに別の試乗で数100kmほど走ったが、その間、タイヤの空気圧を標準よりコンマ1~2落したところ乗り味がかなり改善された(確認の場合は自己責任にて!)。
エンジンは1.2Lで、スペックは69ps/10.4kg-m。ところが生き生きと快活に走ってみせるのは、MTベースの2ペダル「デュアロジック」が動力性能を無駄にせず伝えてくれるから。しかもこの2ペダルの制御は、アルファロメオのセレスピードよりシフトチェンジがスムーズなのも嬉しい。
一方でミニは、500(チンクエチェント)と比べ、グッとスポーティな味わい。運転ポジションが500(チンクエチェント)より圧倒的に低いのが大きな要因だ。また走行中に重めの操舵感を保つステアリングは、切るとただちにクルクルと向きが変わり「ああ、FFのBMWだね」と思わせてくれる。
走りのフィールは、「ONE」同士の比較なら、CVTだった先代より、すべてが洗練された。とくに加速時やアイドリング中の音、振動が気にならなくなったのは評価していいところ。乗り味は500(チンクエチェント)より引き締まっているも、減衰力をしっかり出しながらストロークするところがスポーツカー的。乗用車的な500(チンクエチェント)とは大いに印象が異なる。
多人数では、跳ねるけどチンクエチェントのほうがいい
エンジンは、ONEでは1.6Lではなく1.4Lを搭載。95ps/140N・m(1.6Lは120ps/160N・m)の性能をもち、実際のところコレで十分!と思える性能を発揮してくれる。試乗車は6速AT車だったが、100km/hは6速で2300rpm、5速で2800rpm、4速で3000rpmを切る程度・・・と、ギア比も適切。日常領域なら非力さなど一切感じることなく、快活なパワー感を披露してくれる。一方でフル乗車時の走りはどうか? まず500(チンクエチェント)。そもそも「男4人が乗っているのは外から見て不気味でしょうね!」の声から試乗開始。着座感はやや高めの視点が特徴だが、後席はさすがに「座面が真っ平らで前後に短い。車のシートというより“椅子”の感じ」との意見。「痛い!」(車が揺れ、後席スタッフが頭をCピラーにぶつけた)の声もあがった。硬いヘッドレストも好みが分かれる。
乗り味も「普通に走っているとミニより快適」の声が。ロードノイズが耳障りな音質ではないこと、乗り心地が“優しい”点などが理由なはずで、それはおしなべてイタ車の多くで実感する特徴でもある。ただ、細かな振動、大きな入力時の大袈裟な車の揺れは「長距離ではつらいかも」との意見も。とはいえ「インパネなど考えられたデザインが良い」と、個性派の車が好きなスタッフからの支持があった。
ミニは、乗り心地について「国産同クラスと比べると世界が違う」の声。実際、乗り心地は70km/h程度以上で俄然フラットになるが、それ以下での"硬さ"を指摘するスタッフがいた。ただし「正直(=リポーターが先代オーナーのため気を配ったとの前置きをして)先代から比べれば乗り心地はずっと良い」との声もある。大きな入力は伝わるも「ザラついた路面でもサラッと走ってくれる」との声も。
■今回の燃費計測結果
平均燃費 | 参考燃費 (一般道) |
参考燃費 (高速道路) |
|
---|---|---|---|
フィアット 500 | 17.6km/L | 16.5km/L | 19.9km/L |
ミニ ミニ | 14.8km/L | - | - |
燃費計測ルートは・・・
東京・青山→神奈川・大井松田(ここまで一般道)→東名・静岡IC→東名・海老名SA
総走行距離 310.5km
東京・青山→神奈川・大井松田(ここまで一般道)→東名・静岡IC→東名・海老名SA
総走行距離 310.5km
今回のまとめ
外観同様、走りにもそれぞれの個性が十分表れている2台。だから好みで選んでまったく問題ないが、ここでは「日常で気軽に乗れるコンパクトカー」として優れているのは?とすると、500(チンクエチェント)の勝ちとしておく。だからと言ってミニが日常で気軽に乗れないかというとそんなことはないが、500(チンクエチェント)には肩に力の入らない乗り味がある、これが勝ちの理由。次回予告
居住性と実用性&積載能力をチェックするぞ!
居住性と実用性&積載能力をチェックするぞ!
今回のテスト車両
フィアット 500 | |
---|---|
テスト車両 | 1.2 8V ラウンジ 225.0万円 |
駆動方式 | 2WD(FF) |
トランスミッション | 5速デュアロジック |
全長×全幅×全高(mm) | 3545×1625×1515 |
ホイールベース(mm) | 2300 |
車両重量(kg) | 1010 |
最小回転半径(m) | - |
乗車定員(人) | 4 |
エンジン種類 | 直4SOHC |
総排気量(cc) | 1240 |
最高出力 [kW(ps)/rpm] |
51(69)/5500 |
最大トルク [N・m(kg-m)/rpm] |
102(10.4)/3000 |
使用燃料 | 無鉛プレミアム |
燃料タンク容量 | 35L |
10・15モード燃費 (km/L) |
- |
タイヤサイズ | 185/55R15 |
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