横浜市港湾局はみなとみらい21地区のトンネル「みなとみらいトンネル」を3月より供用開始した。1986年に着工、1999年に完成していたが、開通させれば年間8000万円ほどの管理費がかかる一方で、これまでは付近の交通量が少なかったことから、費用対効果の観点から供用が延期されていた。

みなとみらいトンネルは横浜ワールドポーターズ近くの新港ふ頭サークルウォークから、帷子川にかかるみなとみらい橋までの約1.3kmを結ぶ。自動車専用道路で原付も通行できるが、徒歩や自転車での通行はできない。片側2車線の幅は用意されているものの、当面は1車線に規制される。

完成したものの開通に至っていないトンネルとしては、JR羽越本線のあつみ温泉~小岩川駅間など、鉄道用のトンネルにいくつか例がある。また、道路用では、首都高速新富町ランプ先(築地川公園地下)など完成途中で中断しているトンネルの例がある。だが、完成したのに開通していなかった道路用トンネルはあまり前例がない。

みなとみらい地区は埋め立て地であるため、交通量が増えてからトンネルを造成することが物理的に難しい。建設費も莫大なものになるため、保守費用がかかることを考慮しても、あらかじめ作っておくほうが安上がりという判断があった。

本来、みなとみらいトンネルは神奈川区恵比須町から本牧ふ頭まで続く横浜港臨港幹線道路の一部として計画されたもので、南東側にあたる新港ふ頭から本牧ふ頭までの区間についても建設計画はある。しかし、大さん橋や海の下を進む難易度の高いルートとなっているうえ、今回開通部分よりも交通量が見込めないため、横浜市港湾局によると着工の見通しは立っていないとのことだ。

みなとみらいトンネルの周辺は赤レンガ倉庫やパシフィコ横浜など、大型の展示施設や商業施設が建ち並ぶエリアだ

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2013年6月に大型商業施設がオープンする予定もあり、1日約5000台の通行が見込まれる

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