▲軽自動車の比率が圧倒的に少ない”見栄の街”東京だが、道路は狭く、混雑し、渋滞も多い街だからこそ、経済性が高く、コンパクトな軽自動車が実はマッチするはず!? ▲軽自動車の比率が圧倒的に少ない”見栄の街”東京だが、道路は狭く、混雑し、渋滞も多い街だからこそ、経済性が高く、コンパクトな軽自動車が実はマッチするはず!?

「東京スマート軽ライフ」、1台目はアルトワークスに

5月某日、新橋のスズキ東京支店を訪ねた。軽自動車に約1ヵ月乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」の記念すべき1台目を迎えるためだ。その車とは、軽自動車界で今一番ホットなモデルであるアルトワークス(FWD・5MT)。今後、約半年にわたり、複数の軽自動車を試乗し魅力を伝えていくが、その最初の1台はアルトワークスと決めていた。

皆さんご存じのとおり、軽自動車の車両の規格は、全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下と定められている。これは小型自動車(5ナンバー車)の規格より全長が1300mm短く、全幅は220mm狭い(全高は同じ)。当然、普通自動車(3ナンバー車)とはもっと大きな差になる。そしてこの差が日常生活で大きな力を発揮するのだ。

▲新車発表会やメディア向け試乗会など、首都圏のあちこちで開かれるイベントにも積極的にアルトで向かう ▲新車発表会やメディア向け試乗会など、首都圏のあちこちで開かれるイベントにも積極的にアルトで向かう

日常で使って分かる軽の実力

これまで仕事として軽自動車には何度も試乗したことがあるが、数時間の試乗というのがほとんど。長期にわたり、買い物や家族の送迎など、日常的な使い方をすることはあまりない。まだ数日間ではあるが、日常的な使い方をすることで、これまで気づかなかった軽自動車の実力が少しずつ見えてきた。

その実力の一つがサイズの小ささからくる機動性の高さだ。軽自動車は狭い東京の一般道や首都高を広く見せてくれる。ほとんどくせになるレベルなのだ! 本来は、軽自動車こそ総じて道路が狭く、混雑した都市部に最適な車なのではないか。けれど、実際には大きな都市であればあるほど軽自動車の割合は少なくなるのが現状だ。

▲全長3400mm以下、全幅1480mm以下のコンパクトボディは圧倒的に運転が楽。東京の道路が広くなったかのように思える! ▲全長3400mm以下、全幅1480mm以下のコンパクトボディは圧倒的に運転が楽。東京の道路が広くなったかのように思える!

東京は見栄の街?

軽自動車は小さいだけではなく、価格が安い。元々、軽自動車規格は性能やサイズを制限する代わりに税制面で優遇し、広く国民が車を所有できるようあと押しする政策によって生まれたものだ。都市部、特に東京都心での軽自動車比率が低いのは、軽自動車=低所得層の乗り物というイメージのためかもしれない。東京は見栄の街という側面もなくはないのだろう。

はたして、見栄っ張りな東京都民がもっと軽自動車に魅力を感じる日がくるのか、または見栄っ張りの東京都民が気にいる軽自動車はどんなものなのか……。僕自身、まだ気づいていない軽自動車の魅力があるのかもしれない。そんなふうに軽自動車を多面的に見て、使い、考え、これからリポートしていこう。

まずは1台目のアルトワークス、その実力を最大限伝えていきたい。

▲台形を横に寝かせた形のヘッドランプユニットがアルトの外観上の最大の特徴。遠くからでもすぐに「あ、アルトがきた!」とわかる ▲台形を横に寝かせた形のヘッドランプユニットがアルトの外観上の最大の特徴。遠くからでもすぐに「あ、アルトがきた!」とわかる

【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ JAPAN」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。

text/塩見智
photo/塩見智、篠原晃一