VOLVO XC40 ▲XC40にプラグインハイブリッドモデルを導入したことで、ボルボは全ラインナップにPHEVを用意したことになる。さらに年内にすべてのモデルから内燃機関のみの車両をなくし、プラグインハイブリッドもしくは48Vハイブリッドとすることを発表した

ボルボが電動化戦略を発表

電動化と自動運転、これがすべてではないが、日々進化を続ける自動車業界において、この2つのキーワードが語られる機会は多い。今回はそのひとつ「電動化」がテーマ。

8月25日にボルボがXC40にPHEV(プラグインハイブリッド)モデルを追加発表したこと、さらに9月1日にはプジョーが新型3008をグローバルで発表、これにもPHEVが設定され、「PHEVが今後は増えてくるのか?」というシンプルかつ素直な疑問が生まれた。

電動化に関していえば、やはり忘れることができないのが2015年の欧州メーカーにおける「ディーゼルゲート事件」だろう。

少なくとも見た目上はEUも各メーカーも一気に電動化に舵を取ったように見えた。

あえて「取ったように」と書いたのは、そう言いながら内燃機関を継続し進化させているメーカーは多く、熱効率50%超えはもちろん、その寿命自体もまだまだ長いはずだ。

要はマスコミも含め、このようなこと(事件)があると「これからはBEVの時代だ」とか大げさに騒ぐことが問題であり、事実EUが自ら厳しい環境規制を打ち出し、これからBEVが中国市場をはじめ展開する中、投資に見合ったビジネスになるのか、要は自分で自分の首を絞めている部分も感じ取れるのだ。

確かにEUも2050年までに温暖化ガスの排出量をゼロにする「欧州グリーンディール」を打ち出し、公共の急速充電設備を拡充すると発表しているが、実際このコラムでも過去に触れた「充電難民」の問題も含め、インフラ整備がプランどおりに行くかどうかで特にBEVの普及にブレーキをかけるのではないかと気になっている。

話をボルボに戻すと「電動化」というキーワードだけで見れば2017年7月に「2019年以降の全モデルを電動化する」と宣言、アクション自体は早く、今回のボルボの日本におけるロードマップも確実性が高いと感じている。

一方でディーゼルの販売は在庫で終了、今後は48VのISGMを搭載したハイブリッド、今回のPHEV、さらにXC40には同社初のフルEVである「P8」の導入も予定されている。

筆者個人としてメルセデス・ベンツやBMW、国内メーカーで言えばマツダとともにディーゼル市場をけん引してきたボルボが離脱することには、寂しさと同時に従来までのディーゼル顧客をどう繋ぎ留めるかが心配だが、実用燃費が従来型に比べ約2割向上している48Vハイブリッドであれば、燃料代の差額なども補助金などをプラスすることでスムーズなユーザー移行が行われるのではないかと予想している。

充電に関しても200Vの普通充電器はボルボディーラーに設置済みだし、チャージ機能により自車で充電も可能だ。

ボルボは2025年まで世界販売台数の50%をBEVにすると言っているが、日本では現在10%程度のPHEVも2020年には2倍くらいの販売比率になると予想している。

その点でもBEVの普及以上に実用性が高く、環境負荷の少ないPHEVは当面の主役になりそうだ。
 

VOLVO XC40 ▲ボルボ XC40 Recharge Plug-in Hybrid T5|上位モデルとは異なるコンパクトサイズ向けプラットフォーム「CMA」を採用。元々PHEVやBEVに対応しており、XC40も10.9kWhのリチウムイオン電池をセンター部に縦置きに搭載する
VOLVO XC40 ▲本国で発表されたプジョーの改良型3008。そのラインナップにはPHEVが設定されている。なお、プジョーは2023年までに、すべてのラインナップに電動モデルを設定する
文/高山正寛、写真/ボルボ・カー・ジャパン、グループPSAジャパン

※カーセンサーEDGE 2020年11月号(2020年9月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています