▲車にまつわるあるあるって、どんな心理が働いているのか? 心理学者の晴香葉子先生に聞いていきます ▲車にまつわるあるあるって、どんな心理が働いているのか? 心理学者の晴香葉子先生に聞いていきます

香りが心理状態に直結するわけは、脳の構造にあった

自動車用品店に行けば、山のように並んでいる車内用芳香剤。

フルーツ系やフラワー系、香水系、はたまた無臭など、香りの種類は様々。あなたは、どんなフレグランスを使っていますか?
 

▲実は、香りをうまく利用すれば、渋滞のイライラを抑えたり、より楽しいドライブにすることができるかもしれません ▲実は、香りをうまく利用すれば、渋滞のイライラを抑えたり、より楽しいドライブにすることができるかもしれません

晴香先生:アロマセラピーのように、ハーブから抽出した香油の香りを健康や美容、精神リラックスに活用できるのはよく知られた話。香りは心理に直結します。

と教えてくれたのは、心理学者の晴香葉子さん。しかし、なぜ、香りと心理は親和性が高いのでしょうか。

晴香先生:視覚や聴覚は視床を経て整理され、大脳新皮質の知覚野に到達します。一方、嗅覚は視床や大脳新皮質ではなく、大脳辺縁系と呼ばれる部位に直接伝わります。ここは、人が今のような状態へ進化する前から存在する脳の中でも原始的で、情動・感情をつかさどる部位。つまり、匂いは瞬時に本能的に処理されます。そのことから、香りは感情などの人の心理と直結するといわれています。

晴香先生いわく「香りは心の状態をすぐに変えてくれる」とのこと。では、ドライブではどんな香りを使えばいいのでしょうか。シーン別に教えてくれました。
 

デートに旅行、通勤、スポーツ走行まで、シーン別のオススメフレグランス

◆デートの場合

晴香先生:デートでは、甘すぎないフローラル系や強すぎないエキゾチック系などがいいのではないでしょうか。長く付き合っていてハッピーな関係なら、幸福感を高めるフローラル系。これから恋愛が始まりそうだったり、大人の落ち着いたデートだったりするときであれば、エキゾチック系の香りもオススメです。恋愛感情を高める効果があるといわれています。


◆旅行の場合

晴香先生:族旅行のときには、オレンジ系やレモン系がオススメです。気分を明るくしてくれる効果があり、なにより、この香りを嗅ぎながら経験したことは、明るい思い出として残りやすくなります。非日常の楽しみであるイベントなどに向かうドライブでは、マリン系やココナッツ系がオススメ。特に夏にこの香りを使えば、開放的な気分になりテンションを高めてくれます。


◆通勤の場合

晴香先生:通勤時はグレープフルーツ系がオススメです。気分のムラを抑えて、やる気をアップさせる効果があります。リラックスしたいなら、清涼感があり疲労をやわらげてくれるウッド系がいいでしょう。気分転換したいときは、神経の疲労回復効果があるペパーミント系。爽やかな香りが爽快な気分にしてくれます。


◆スポーツ走行の場合

晴香先生:最後に、もしスポーツ走行などをする場合は、精神の鎮静効果があるスパイシーな香りを選ぶといいでしょう。また、スパイシーな香りはストレスの発散効果もあります。これは、スポーツ走行におけるストレス発散効果とも相性が良さそうですね。

ちなみに、ドライブ中にオススメでない香りは「ラベンダー系」。

理由は「眠気を誘うから」だそうです。納得。

確かに、某外資系有名ホテルは、枕元にラベンダーのアロマを常備しています。
 

香りで甦る記憶はワクワクやドキドキといった感情も思い出す

香りと感情のつながり示す心理学用語にプルースト効果があります。

これは、嗅覚から過去の記憶が呼び起こされる心理現象。

誰しも一度は経験があるでしょう。

香りがきっかけになり幼少時の記憶が甦る描写のある小説『失われた時を求めて』の作者「マルセル・プルースト」の名から名付けられました。

ちなみに、嗅覚で呼び起こされる記憶は、視覚や触覚で呼び起こされる記憶よりも感情を伴うことが多いのだとか。

当時のワクワクやドキドキなども思い出すということです。

また、比較的幼少期の記憶まで思い出すのも特徴のひとつだそうです。

ということは、子共が小さかったときの家族旅行でオレンジ系やレモン系の香りをうまく活用すれば、反抗期になったときに同じ香りを嗅がせることで、楽しかった記憶を思い起こさせることができるかも。

また、デートの時に嗅いだフローラルな香りは、夫婦になって喧嘩したときに、初々しい気持ちを思い出させてくれるかもしれません。

みなさんも、自分の車に芳香剤を設置するときの参考にしてみてください。
 

【プロフィール】晴香葉子:作家・心理学者。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、様々な角度から情報を提供。執筆、講演、テレビ、雑誌などメディアでの心理解説、監修実績などの活動を続けている。著書は、人生には、こうして奇跡が起きる(青春出版社)、2回目からは、スーツのボタンは外しなさい(潮出版社)、言葉って不思議だと思いませんか?(彩雲出版)など30冊以上 【プロフィール】晴香葉子:作家・心理学者。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、様々な角度から情報を提供。執筆、講演、テレビ、雑誌などメディアでの心理解説、監修実績などの活動を続けている。主な著書に、『人生には、こうして奇跡が起きる』(青春出版社)、『2回目からは、スーツのボタンは外しなさい』(潮出版社)、『言葉って不思議だと思いませんか?』(彩雲出版)など30冊以上
text/コージー林田
photo/すしぱく