外観、スペック、ブランド……。車選びのこだわりポイントで深層心理がわかる

▲車にまつわるあるあるって、どんな心理が働いているのか？ 心理学者の晴香葉子先生に聞いていきます

人の価値観は、どこにお金と時間を使うかに現れる

あなたは、車を購入するとき、なににこだわりますか？

ボディカラーや外観などの見た目？ エンジン性能や燃費などのスペック？ それとも、メーカーのブランド力？
 

▲車選びの価値観は人それぞれですが、そこを重要視する深層心理にはどういったものが潜んでいるのでしょうか

心理学者の晴香葉子さんは「人の価値観は、どこにお金と時間を使うかに現れがちです。そういった意味では、車にお金を出すときに、外観、スペック、ブランドのどこを重要視するのかは、まさにその人の価値観が出やすい」と語ります。

こだわりポイント、スペックは論理的、ブランドは社会性が高い、外観は移り気？

晴香先生：『外観を重視する人は、見た目や視覚情報に価値を感じやすいといった特徴があります。第一印象から得られる情報に心を奪われやすく、パッと見の印象で気分も上下するので、オシャレなどにも気をつかいます。一概には言えませんが、移り気な人も多い傾向があります』

確かに、中古車購入者の取材をしていても、スタイルにほれて購入したという人は、オシャレさんが多いイメージ。そして、結構、何台も乗り継いでいる気がします。

晴香さん：『スペックにこだわる人は、論理的で分析好き。自分で情報を集めて分析し、納得することに価値を見いだします。それだけに、ちょっとしたことでも矛盾や行き違いがあると、気になって、やり過ごすことができず、確認の手間を惜しみません。中には、なにげない雑談中でも誰かの発言に矛盾を感じると会話の腰を折る人もいますね。その場の空気よりも矛盾を解決してスッキリしたくなってしまう』

では、ブランドにこだわる人はどんな人なのでしょうか。やっぱり見えっ張り？

晴香先生：『ブランドといっても、高級ブランドだけとは限りません。例えば、購入に失敗したくないという思いからメーカーの評判や信頼性に価値をおく人も、ある意味、ブランドにこだわっているといえます。彼らは、自分の買った車が、世間ではどう捉えられているかといった他者視点を重視しやすい。間違いなく評価の高い高級ブランドを選ぶ人も、総合的に評価されている人気ブランドを選ぶ人も、他者の意見に流されやすいという面もありますが、一方で人の意見に耳を傾け、そつなくコミュニケーションができるという面もあります。ブランドを重視する人は、社会性が高い人が多いですね』
 

あえてこだわりが違う人と付き合えば、違う視点で補完し合えるかも

意外なところでは、「乗り心地」にこだわる人には面白い心理があるのだとか。

晴香先生：『乗り心地を重視するのは、体感覚を重視する人。肌触りや体に馴染む心地よい感覚です。こういった人は、身振り手振りを使って話す傾向があります。また、比較的、人との距離が近く、自然と肩をたたいたり握手をしたり、ハグなどをするのもこのタイプです。五感を使った感覚を重視するので、家電を購入したときなどは説明書などを読まず、とりあえずスイッチを入れたりもします。五感という意味ではにおいに敏感な人も多く、そういった人は車内の香りにこだわります』

確かに、スペック重視型の人は、家電や家などを購入するときにも、性能やその性能がコストに見合っているかを気にするでしょう。そんな人が、外観を重視する人と家庭をもったら、意見がぶつかることは間違いありません。

とはいえ、あえて自分がもっていない視点で補完し合うということも考えられるので、悪いことばかりではないのかも。

晴香先生：『どういった車に乗っているかには、その人の性格が出やすい。こだわりのポイントなどを聞けば、内面を垣間見ることができます』

意中の人にさりげなく「この車はどこにこだわって買ったの」と聞いてみては？
 

【プロフィール】晴香葉子：作家・心理学者。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、様々な角度から情報を提供。執筆、講演、テレビ、雑誌などメディアでの心理解説、監修実績などの活動を続けている。主な著書に、『人生には、こうして奇跡が起きる』（青春出版社）､『2回目からは、スーツのボタンは外しなさい』（潮出版社）、『言葉って不思議だと思いませんか？』（彩雲出版）など30冊以上