スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

若手俳優のホープ、弓削智久が脚本家デビュー

サクゴエ|映画の名車
(C) 2007「サクゴエ」製作委員会
立川を舞台にした昭和のツッパリ映画『ワルボロ』ではラスボスのパーポン役。歌舞伎町のスカウトマンにスポットを当てた連続ドラマ「新宿スワン」では主人公を手ひどく裏切るヒデヨシ役と、存在感あふれるヒール役として引っ張りだこの役者、弓削智久。その彼が、弱冠27歳にして脚本家デビューを果たした。

ヤミ金からの激しい取り立てを苦に飛び降り自殺を図ろうとしたサラリーマンの森田(中村靖日)は、空港の見えるビルの屋上で謎の若者トミー(弓削智久)と出会う。初対面の森田をタモさんと呼び、不適に笑いながら「明日一日つき合ってくれ。一緒に富士山へ行こう」と誘うトミーの真意は? 果たして二人はルノー メガーヌで富士山へと向かうのだが…。

なにげない言葉の端々に伏線を張り巡らせ、時系列を少しずつ解きほぐしながら運命の輪を絡ませていき、最後までイッキに見せてしまう構成力はお見事。「3年間あたためてきた」と言う脚本だけあり、数分に1回はハッとさせられ、否応ナシにグイグイと引き込まれていく。

役者としても弱冠27歳(撮影当時26歳)とは思えぬ不適な佇まいにゾクゾク。キシリッシュのCMなどでおなじみの中村靖日との凸凹タッグもいい味を出している。もちろん、脚本も演技も荒削りな部分はあるが、そこもまた魅力的。未来の日本映画界を背負って立つ若手俳優の心意気がビシビシ伝わる渾身の一本だ。

サクゴエ|映画の名車
(C) 2007「サクゴエ」製作委員会
DVD『サクゴエ』好評発売中! 07年・日本 監督=本田隆一 脚本=弓削智久 出演=弓削智久、中村靖日、萩野崇、李鐘浩、清水ゆみ、大口兼悟、永山たかし、ジェリー藤尾ほか 発売元:AMGエンタテインメント 販売元:ジェネオン エンタテインメント 3,990円(税込)

+++映画に登場する車たち+++

ルノー メガーヌ

ルノー メガーヌ|映画の名車 サクゴエ
トミーと森田が富士山へ向かう際に使用したレンタカーが紺色のルノー メガーヌ。ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した現行モデルだ。ユーロNCAP(欧州の自動車衝突安全性テスト)で5つ星評価を得るなど、安全性、信頼性は抜群に高く、洗練されたデザインとあいまってベストセラーとなっている。ちなみに森田がメガーヌを選んだことが、トミーの“とあるツッコミ”を誘発するので、お聴き逃しなきよう。

ルノー カングー

ルノー メガーヌ|映画の名車 サクゴエ
トミーが森田と別れ、単独で富士山を目指すときに乗り出したのが、鮮烈なイエローのルノ ーカングー。ルノー エクスプレスの後継として開発され、1997年に登場。斬新なデザインと、拡大型荷室の使い勝手の良さで、あっという間にヨーロッパのベストセラーカーとなった。日本には2002年に登場。商用車としての実用性を備えながらも、見た目もラゲージ部分の使い勝手も日本車にはないおしゃれな味があって、スマッシュヒットを記録。劇中で使われたのは、2006年にマイナーチェンジされた現行型だ。
Text/伊熊恒介