▲イベント中の店内。子供たちが楽しく学べるコンテンツを用意するなど親子で楽しめる会となった。営業もメカニックも総出でお菓子を振る舞うなど子供たちと一緒に楽しんだ ▲イベント中の店内。子供たちが楽しく学べるコンテンツを用意するなど親子で楽しめる会となった。営業もメカニックも総出でお菓子を振る舞うなど子供たちと一緒に楽しんだ

地域のために『販売だけではない何か』を提供するためイベントを開催

8月18日に埼玉県春日部市にある中古車販売店(カーメイトサクセス春日部店/代表取締役 鷹林康裕)が、店舗敷地内で親子を対象にした交通安全イベントを実施した。

自動車は楽しく便利な道具である一方、全国で悲しい交通事故が起きていることも事実。

このイベントは地域の子供たちがそのような事故にあわないために、交通安全について楽しく学んでもらおうというテーマで実施された。

▲イベントを開催したカーメイトサクセス春日部店。社員の地域貢献意識が高く、地元の中学生の職業体験などにも積極的に協力しているそうだ ▲イベントを開催したカーメイトサクセス春日部店。社員の地域貢献意識が高く、地元の中学生の職業体験などにも積極的に協力しているそうだ

イベントを企画した手束さんにお話しを伺った。

―― イベント開催のきっかけを教えてください

「他の中古車販売店さんもそうだと思いますが、その地域で商売ができているのは地域のみなさまあってこそです。ですので、地域のために販売だけではない何かを提供したいと考えたことがきっかけです」
 

▲今回のイベントを企画した手束さん。開店とともに来店してきた数組の親子連れをお迎えしつつ、「この企画は店舗の仲間全員で考えたんです」とうれしそうに話してくれた ▲今回のイベントを企画した手束さん。開店とともに来店してきた数組の親子連れをお迎えしつつ、「この企画は店舗の仲間全員で考えたんです」とうれしそうに話してくれた

―― イベントに招待したお客さまは御社で車を購入された顧客なのでしょうか?

「もちろん近隣の弊社お客さまへもお知らせはしておりますが、地域貢献の意味合いからも、弊社とまだご縁のない方たちにも参加いただけるよう、地域のフリーペーパーでも告知しました。また、活動内容に賛同いただいた地元のコンビニやパン屋さん、駅前にある居酒屋さんやBarのオーナーさんなどにも協力いただき、チラシの貼り出しや配布もしてもらいました」

▲地元のフリーペーパーでもイベント告知を行った。これを見た親子が自転車で来店してくるなど、近隣の方にも催しを楽しんでもらうことができた ▲地元のフリーペーパーでもイベント告知を行った。これを見た親子が自転車で来店してくるなど、近隣の方にも催しを楽しんでもらうことができた

―― 交通安全がテーマですが、狙いはどんなところにあるのでしょうか

「やはり子供たちの交通安全への意識向上です。特に未就学の小さなお子さまへは“道路に飛び出しては危ない”とか“自動車は危険なのだ”という基本的なことです。また親御さん用に運転評価が確認できるコンテンツも用意したことで、普段の運転を親子で見直すきっかけにもしていただいています」
 

▲運転シミュレーションの診断結果はその場で印刷される。子供に結果を説明しながら苦笑いするパパさんなど、交通安全をテーマに親子のコミュニケーションも生まれていた ▲運転シミュレーションの診断結果はその場で印刷される。子供に結果を説明しながら苦笑いするパパさんなど、交通安全をテーマに親子のコミュニケーションも生まれていた

街のインフラになることで地域に貢献する

今回のイベントには投資に対する収益の回収が簡単に計算できるビジネス的要素はほとんど感じられない。

いや、地域住民への広告宣伝になっているとも言えるが、それに投資した手間や時間を考えると、とても効率的とは言えない感じがする。このあたりについて、代表取締役の鷹林氏に聞いたところ。

「弊社は創業32年を迎えますが、ここまで会社を続けてこられたのは間違いなく地域のみなさまの支えがあってこそなのです。多くの方は数年に一度くらいしか“車屋さん”に用はないでしょう。それ故に、車屋さんに対しては “ハードルが高い”と感じているはずです。このイベントをきっかけに地域の方とコミュニケーションを取り、ハードルを下げてもらうことでこの街に必要なインフラとなる、そんなカタチで地域貢献していきたいんです」と説明してくれた。

本当の便利を突き詰めて行くと……

現在はスマートフォンの普及により誰でもいつでも必要な情報を入手できる時代になった。中古車も全国の物件を閲覧し、どこからでも選んで買うことができる便利な時代だ。

ただ、買うことを最終目的にしている人などほとんどいない。買う目的は間違いなく“使う”ためだ。

車が機械である以上、使っていれば不具合や故障に見舞われ修理が必要になることがある。また車検や定期的なメンテナンス、任意保険など、買った後もこまごまと考えたり調べたりすることがたくさんあるのが自動車という道具だ。

車が趣味という人ならばそれも含めて能動的に行動できるだろうが、そうでない人にとっては、いくらインターネットで情報を集められるとはいえ、安心して相談できるお店を調べること自体がストレスに違いない。

そう、調べるまでもなく気軽に相談できるプロが近所にあることを知っていたらどんなに便利だろう。

古いけど新しい『地域貢献』のカタチ

情報やサービスの利便性が高まる一方、人と人、売り手と買い手の関係は淡泊になってきたように思う。その代わり、対面の煩わしさが排除されたことで、売り手も買い手も“ラク”を手に入れたのかもしれない。

ところが、今回のイベントでは、地域住民と対面するという非常にウエットなコミュニケーションを取りにいった。しかも、自社サービスの広告宣伝というニオイはほとんど見せない切り口で。地域に見せようとしていたのは、お店とそのお店で働く社員そのものだったように思う。

企業にとっては、商品をたくさん売りたくさん納税することも地域貢献だ。ただ、地域に対して『気軽さ』や『安心』というお店の信頼残高を作っていくという商売の原点とも言えるこのスタイルが、ある意味新しい地域貢献のカタチに映って見えた。

「今日、当店にお越しいただいた地域の方のほとんどが、近々車を買おうと思っている人ではないでしょう。しかも車を買うときは他店さまで購入することになるかもしれません。別に最初はそれでもいいんです。この街の人がもし困ったときに、この車屋さんに相談すればいいやという気軽で便利なお店と思ってもらうことがインフラになるという意味なので。でもウチで買ってくれたらうれしいですけどね(笑)」

そんな鷹林氏の話を聞いて、いつだったか誰かに聞いた“ある言葉”を思い出した。

『お店がお客に提供できる最大のサービスは、そこにお店があり続けることだ』

▲普段は整備車両でいっぱいの工場は臨時の自転車置き場に ▲普段は整備車両でいっぱいの工場は臨時の自転車置き場に
▲メカニックもこの日ばかりはぷよぷよボールコーナーの維持メンテナンスに追われた ▲メカニックもこの日ばかりはぷよぷよボールコーナーの維持メンテナンスに追われた
▲好きな色を塗った紙の車をこの画面の中で走らせることができる。子供用の免許証の発行もしてくれるなど、順番待ちができるほどの人気コンテンツとなっていた ▲好きな色を塗った紙の車をこの画面の中で走らせることができる。子供用の免許証の発行もしてくれるなど、順番待ちができるほどの人気コンテンツとなっていた
text&photo/編集部