日産自動車大学校の学生たちによる今年のスーパー耐久シリーズ参戦も残すは1戦。ツインリンクもてぎで開催された第2戦から10月20日~21日に鈴鹿サーキットで行われた第5戦まで、学生たちは多くのことをサーキットで学んだ。学生たちに素晴らしい機会を与えた近藤真彦監督に、このプロジェクトにかける思いを聞いた。

--このプロジェクトの意味について教えてください
若い子の車離れってレースをやっていると感じるところがあって、なんとか若い子に、レースはもちろんですけど、普段乗る車、その前の免許証を取るところから興味をもってもらいたいと思ってました。今回、学生たちが生き生きとレースを楽しんでくれているのを見て、僕が考えていたことは間違いじゃなかったんだなと実感しています。

我々のチームはスーパーGTとフォーミュラニッポンという日本のトップカテゴリーでやっています。プロ集団の中で、学生たちがどこまで働けるのか、どこまで力になってくれるのか不安要素はあったんですが、いざスタートしてみたら、うちの若手のメカニックが学生たちにあおられるくらいで、彼らのやる気と元気に圧倒されています。僕たちプロも負けていられないなと話をしています

--これまでの学生たちの活躍をどう見ていますか?
すぐに実戦で活躍できる学生さんとそれを目指している学生さんがいます。時間が経てば自動的にポジションが与えられるのではなく、努力しなければポジションが得られないというカリキュラムになっているので、頑張って信頼を勝ち取った学生から、いい仕事が与えられるんです。そういう意味でとても良い緊張感があります。

レーシングドライバーやレース関係者は世界の舞台に出て行く人が多いんですが、今やメカニックもF1のような世界的なレースで働く時代になってきていますから、世界に出て行くチャンスだって十分にあるんです。スーパー耐久での取り組みは、その入り口になるはずですから、学生たちにはもっと競争してほしいですね

--近藤監督が考える車の魅力とは?
ボクは子どもの頃から車が大好きで今に至っているわけです。やっぱり、ボクは車のなかでもスポーツカーに魅力をもってほしいと思っています。ここ数十年、スポーツカーが減ってファミリーカーばかりになってしまいました。僕らが子どもの頃の夢ってスポーツカーに乗ることだったはずです。車好きのなかでも、特にスポーツカーを好きになってもらいたいなと思っています

--最後にファンにメッセージをお願いします
長いことレースをやっていますが、レースの魅力を知ってもらうには、やはりテレビで見ているよりサーキットに来てもらうのがいちばんです。音とニオイ、スピードを人間がもっている五感すべてで感じてもらえるはずです。ぜひサーキットに足を運んでもらいたい、レースを見てもらいたいと思っています

※カーセンサーS耐プロジェクトについて
若者の車離れを食い止めたい、そんな思いからKONDOレーシングを率いる近藤真彦監督と国家整備士を育成する日産自動車大学校のコラボレーションが実現し、学生達によるスーパー耐久シリーズ参戦が始まった。カーセンサーはこのプロジェクトに賛同し、今シーズン彼らのレース活動をサポートしている。

学生たちにクルマの楽しさ、レースの面白さを伝えたいとプロジェクトを立ち上げた近藤真彦監督

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ピット裏でタイヤの管理を行う学生たち。彼らの表情に、その真剣さがにじみ出る

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KONDOレーシングのスタッフと連携し、ピット内で活躍する学生たち。任せられる作業も増えてきた

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いよいよ次は今シーズンの最終戦。オートポリスでもう一度表彰台のてっぺんを目指す

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