Honda e▲今年10月にデビューした電気自動車のHonda eに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライター・松本英雄がその様子をレポートする

ノスタルジーを感じるが最新技術を搭載

ホンダが初めて量産型フルEVモデルを販売した。ご存じの方も多いだろう“Honda e ”である。

Honda eは、既存モデルの延長線上のデザインではなく、日本の文化と欧米のデザインをうまく融合させた雰囲気だ。例えるならば、1973年に登場した初代シビックのようなオリジナリティがある。どことなくノスタルジーを感じさせながら、最新のテクノロジーをまとっている。

試乗前に外観をチェックするため近寄って眺めると、エクステリアの質感は思った以上にいい。ボディ外板を製造する金型のつなぎ目が全くわからず、高級なドイツメーカーのような手法を採用している。

小型EVモデルだからといって、ちゃちな印象を感じない。とてもうまい作り方をしている。高いコストがかかっているのではないか、と感じるほどの雰囲気だ。
 

Honda e▲丸みを帯びたかわいらしいデザインでもある

そしてインテリアは、エクステリアに劣らず質感が非常に高い。見やすさと扱いやすさに重点を置き、シンプルで飽きがきにくいデザインとなっている。

ミラーレスのサイドミラーは、カメラでとらえた映像を液晶画面に映し出している。これは、2017年にモーターショーで発表した、Urban EV Conceptと同じ最新技術だ。

ショーモデルは3ドアで、Honda eは5ドアと実用レベルは高くなっているが、デザインを見るとショーカーを忠実に再現して市販化したことがよくわかる。

そんなショーカーさながらのシティコミューターは、運転したときの雰囲気はどうなのだろうか。

Honda e▲カメラの映像がサイドミラー代わりとなる
Honda e▲大型のモニターや木目調のパネルを採用するなどコンパクトカーながら妥協がない
Honda e▲シート表皮も質感が高い素材を使用している

スイスイと楽しいハンドリングが好印象

では試乗に移ろう。我々が試乗したモデルは、上位グレードの“アドバンス”。

ホイールのデザインや装着されるタイヤのミシュラン パイロットスポーツというチョイスからスポーティな要素がうかがえる。これは走りに期待できる。
 

Honda e▲ブラック基調の17インチアルミホイールがスポーティ

ドアミラーレスのモデルは、視認性に違和感を覚えるのだが、Honda eは位置がいいのとカメラも良いモノを使っているせいか、奥行き感が感じ取れない以外はいい感じだ。

それではいよいよ試乗のスタートだ。アクセルを少し踏みこんでみると、飛び出すようなことはなく柔らかい発進が可能だ。

重量のあるモーターがリアに配置されているので、フロントに負担をかけず、発進もぐっと背中を押されるような、地に足の着いたトラクションを実現している。

そして静粛性がとてもいい。目の粗いアスファルトでも、ハードなタイヤを装着しているにも関わらず、サスペンションがいなしてくれる。

そして、重量物がないフロントは、しなやかに振動を収拾してくれるうえに、小回りが非常に利くのだ。

横浜元町の商店街はところどころ石畳がある。これもいい具合にいなす。そこから外人墓地方面に急な坂を上るが、3人乗車でも3L級のガソリンエンジンを搭載しているような感じだが、それよりも扱いやすく静かである。

タイトなコーナーも、スイスイとプラレールのように正確にトレースして曲がっていく。
 

Honda e▲このような石畳でも不快感はない

首都高速を試してみると、料金所からの加速はノーマルモードでも必要十分。シティコミューターには似つかない高パフォーマンスである。

高速コーナーも、性能が高いシャシーによってスタビリティも高い。その非常に楽しいハンドリングは、Honda eのカワイイスタイルからは想像がつかないだろう。

このアドバンスモデルは、フル充電で260km弱(WLTCモード)の走行が可能だという。実際は、もう少し低くなることを踏まえても、このサイズでこのパフォーマンスであれば、都内と周辺のお買い物程度なら文句はない。

これほど満足度の高いシティ派のEVは、正直いって初めてだ。こんなポテンシャルの高いモデルを作るホンダは、Honda eを作り続けてくれるのかが心配になってくるほどである。

このサイズにして最高の1台を提供したといえる。今度試乗するときは、旅行気分で遠くに行ってみようと思う。そう思わせる素晴らしいコンパクトEVである。
 

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●アドバンス

型式 ZAA-ZC7 最小回転半径 4.3m
駆動方式 RR 全長×全幅×全高 3.9m×1.75m×1.51m
ドア数 5 ホイールベース 2.53m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.51m/1.51m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.85m×1.39m×1.12m
4WS - 車両重量 1540kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.15m
マニュアルモード -
標準色

チャージイエロー、ルナシルバー・メタリック、モダンスティール・メタリック、クリスタルブラック・パール

オプション色

プラチナホワイト・パール、プレミアムクリスタルブルー・メタリック、プレミアムクリスタルレッド・メタリック

掲載コメント

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型式 ZAA-ZC7
駆動方式 RR
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 チャージイエロー、ルナシルバー・メタリック、モダンスティール・メタリック、クリスタルブラック・パール
オプション色 プラチナホワイト・パール、プレミアムクリスタルブルー・メタリック、プレミアムクリスタルレッド・メタリック
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 4.3m
全長×全幅×
全高
3.9m×1.75m×1.51m
ホイール
ベース
2.53m
前トレッド/
後トレッド
1.51m/1.51m
室内(全長×全幅×全高) 1.85m×1.39m×1.12m
車両重量 1540kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 MCF5 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 154ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
315(32.1)/2000
エンジン型式 MCF5
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 154ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
315(32.1)/2000
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。