アストンマーティン V12ヴァンテージS【ニューモデル試乗】(島下泰久)
カテゴリー: アストンマーティンの試乗レポート
2014/05/26
婦女子が喜びそうな快適性やら何やらには目もくれず、動力性能の向上と走りの刺激だけを徹底的に追求したこんな車を選ぶ事が我儘でないわけがない。でも乗る人は、あくまでスタイリッシュであることを忘れないように。だってアストンマーティンなんだから。
本気で攻めたくなる英国流リアルスポーツカー
走りが刺激的でないワケがない
本来はV8エンジンの搭載を前提とした車体に、半ばムリヤリV12を押し込んだV12ヴァンテージSの走りが刺激的でないワケがない。
先代に対して5psと50N・mを上乗せした6L自然吸気エンジンの、例によって反時計回りの回転計の針が4000rpmを超えたあたりから先の回転上昇の一気の勢い、そしてあふれるパワーには笑いが止まらず、むさぼるように全開を繰り返したくなる。
6速MTに代わって搭載された7速スピードシフト3はDレンジでは始終ギクシャクしているけれど変速は速いから、パドルでマニュアル操作した方が気持ちイイ。とにかく乗っている間中、運転に集中して楽しめるという車なのだ。
それだけの動力性能を与えられながら走りが破綻していないのは、優れたシャシーのおかげである。
リアルスポーツカーへと大幅な進化を果たした
大きく重いV12をフロントに積むにも関わらず、操舵応答性はシャープ。サスペンションもハードなのに、イギリス車らしく少ないストロークの中にしなやかさも宿っているおかげで、容易にタイヤが路面から離れたりはしない。このあたり、V8ヴァンテージとはまったくの別物という感すらある。
ゾクゾクするほどのパワーと切れ味鋭いのに安定感も抜群のシャシーを得て、走り全般がグッと磨き上げられたV12ヴァンテージS。
一般道でも楽しいけれど、せっかく足元にはドライグリップ最優先のピレリ Pゼロ・コルサを履くことだし、一度はサーキット走行に臨みたくなる1台である。それはつまり本気で攻められるリアルスポーツカーへと大幅な進化を果たしたということだ。
SPECIFICATIONS
グレード | V12 VANTAGE S | ||
駆動方式 | FR | ||
トランスミッション | 7SCT | ||
全長×全幅×全高(mm) | 4385×2022×1250 | ||
ホイールベース(mm) | 2600 | ||
車両重量(kg) | 1665 | ||
乗車定員(人) | 2 | ||
エンジン種類 | V12DOHC | ||
総排気量(cc) | 5935 | ||
最高出力[ps/rpm] | 573/6750 | ||
最大トルク[N・m/rpm] | 620/5750 | ||
車両本体価格(万円) | 2303.7943 |
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