※この記事はカーセンサー関東版18号2000年5月18日発売号に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

アストラワゴン並みのコンパクトなボディに機能と実用性を凝縮

  • オペル ザフィーラ 走り|ニューモデル試乗
  • オペル ザフィーラ リアスタイル|ニューモデル試乗
↑1.4tのボディに115psでは非力に思うかもしれないが、トルクが太くて頼もしい(左)アストラワゴンとほぼ同じサイズ。全長は高いがCd値は0.328と優秀だ(右)
アメリカのミニバンをヨーロッパで仕立て直すとどうなるか。ザフィーラはオペルが出したその一つの答えだ。 コンセプトとしては今や特に斬新ではないが、ザフィーラの魅力はアストラワゴンとほぼ同サイズ、トヨタ イプサムより20cmも短いコンパクトなボディの中に、フレックス7シートシステムと呼ばれる多彩なアレンジの可能な3列7人乗りシートをはじめとした、機能と実用性を見事なまでに凝縮していることだ。

まず際立つのはシートシステムだ。シートを取り外すことなく様々なシートアレンジを可能にしているのだが、特にフロアにすっきりと収まるサードシートは実に巧み。しかも畳み込むときの感触はよくできたスーツケースのようにしっかりとしていて無理な力を必要としない。いかにもドイツ製品といった印象だ。

RVに特有なネガティブな要素がほとんど表面化していない

  • オペル ザフィーラ インパネ|ニューモデル試乗
  • オペル ザフィーラ エンジン|ニューモデル試乗
↑基本的にはアストラを踏襲するインパネは新鮮ではないが、わかりやすい(左)115ps/17.3kg-mを発生する1.8Lエコテック、トルクが太く頼もしい(右)
こうしたユーティリティもさることながら走行性能も悪くない。1.8Lの115psで、1.4tのボディでは非力に思うかもしれないが、このエンジンは実にトルクが太くて頼もしく、ザフィーラの正確を考えると大きな不満はない。むしろ驚かされるのは軽快なハンドリングだ。もちろん基本はスタビリティ重視だが、ロールはよく抑えられているし、不快なアンダーステアを感じることはない。セダンに近いフィーリングで粘り強く曲がっていく、とでも言おうか。要するにこの手のRVに特有なネガティブな要素がほとんど表面化していないのだ。

このところのオペルは、品質向上とともに走行性能へのこだわりに並々ならぬものがあるが、それがザフィーラにも十分に生かされているのである。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード CDX
駆動方式 2WD(FF)
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4315×1740×1675
ホイールベース(mm) 2695
車両重量(kg) 1420
乗車定員(人) 7
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1795
最高出力[ps/rpm] 115ps/5400rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 17.3kg-m/3400rpm
10・15モード燃費(km/L) 10.6
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/58
車両本体価格 288.3万円

中川和昌の責任採点

コンセプト 2点 取り回し 5点 加速性能 3点 ブレーキ性能 4点
フィニッシュ 4点 操作系の使い勝手 4点 乗り心地 2点 環境対策 5点
前席居住性 3点 ラゲージルーム 4点 操縦安定性 4点 燃費 3点
後席居住性 3点 パワー感 2点 高速安定性 4点 ステータス 2点
内装の質感 3点 トルク感 3点 しっかり感 4点 コストパフォーマンス 2点
得点合計 66/100
(Tester/中川 和昌 Photo/桜井 健雄)