車の本質を追求。質実剛健なセダンを求める方に!

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コンセプト

ボディの拡大や新工場設立がオペルの意気込みを伝える

先代のベクトラB(何だか映画のエキストラの“役名”みたいな社内呼称だ)の登場から7年。おなじみの稲妻マークも一新し、ミッドサイズカー市場に再び打って出たモデルがこの新型ベクトラだ。

ボディサイズは全長で+115mm、全幅で+90mm、全高で+40mmと、1クラス以上拡大され、ホイールベースも65mm延ばされた。プレミアムセグメントを意識した点も、トレンドにのっとっている。生産が行われるのは、7億5000万ユーロ(約900億円)をかけたというリュッセルスハイムの新工場。ここでは全車両を対象に、最終検査の前段階で250項目の品質検査を行うなど、品質面でも従来以上に気を配っている、という。

まず日本市場に投入されたのは2.2モデルの標準車と、革シートなどを装備したプレミアムの2種。
室内&荷室空間

個性の光る外観フォルム。室内には新たなアイデアも

実車のスタイルは全体にプレーンだが、ライバル他車との類似点をほとんど見いだせない、うまいところを突いた個性が光る。先代のイメージを引きずる必要がない分、自由にデザインされた……そんな印象だ。フロントグリル内のエンブレムは相当に巨大だが、いいアクセントになり嫌みはない。 ルーフが後ろまで十分に延ばされた、4ドアセダンの見本のようなフォルムも好感がもてる。

インテリアもまずまずの高品質ぶりだ。インパネ中央のオンボードコンピュータの表示部は、まるでPDAのそれのような精緻な文字が並び、コンピュータ好きはソソられるかも。ただし、パワーウインドウは一つのスイッチを前後に切り替える必要があるなど、操作系の新しいロジックに、一部戸惑うところも散見される。
  • オペル ベクトラ 内装|ニューモデル試乗
  • オペル ベクトラ エンジン|ニューモデル試乗
ドライブフィール

滑らかな乗り味で実用面の完成度は高い

乗り味は非常に滑らかだった。2グレードあるうち、プレミアムは17インチの50偏平タイヤを履き、本来なら標準の16インチより乗り心地が損なわれるハズだが、装着タイヤ(グッドイヤー)の性能に助けられ、とくに低速時の音/振動の低さも含め、16インチ(BS)より、車とのマッチングは良いと思われた。

山道も安心して走ることができた。なかでもコーナーで内側が伸び切らず外側がジワッと沈む安定した姿勢は心強い。エンジン性能は、ここ一発!という加速感こそ穏やかだが、実用セダンとして日常的な使用シーンを想定すれば、納得のいく動力性能だ。

リアシートの抜群の広さ、スクエアな形状を確保したトランクなど、実用面もシッカリしていて、いいよね、といえるセダンである。
こんな人にオススメ
ブランドにこだわるなら、お好きな車を……。しかし車の本質である機能や実用性にプライオリティを置き、使いやすく快適なセダンがいい!という人にはオススメのできる車だ。なお日本仕様もスペックは本国仕様と同一なので、その意味でも“本物感”が味わえる。
SPECIFICATIONS
グレード 2.2プレミアム
駆動方式 FF
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4610×1800×1465
ホイールベース(mm) 2700
車両重量(kg) 1440
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 2198
最高出力 108kW(147ps)/ 5600rpm
最大トルク 203N・m(20.7kg-m)/4000rpm
車両本体価格 362.0万円
写真:芳賀元昌 文:島崎七生人