完全2シーターのミニ・グランツーリズモ

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中央に構えるスピードメーター&インフォメーションパネル、ステアリン グ奥のタコメーター、スイッチ類などはMINIお馴染みのインテリアを踏襲
現代のミニは、人生において楽しめるステージが限られているからこそ、価格ヒエラルキーから脱したスペシャルなモデルであった。ところが昨今、クロスオーバーなる“家族向け”ミニが登場し、大人気を博すに至って、現代版オリジナルの魅力、どころか存在理由まで損なわれつつあると危惧していた。

そこへ、ファッショナブルなデザインの2シーター・クーペが登場。中身は、多少の専用チューニングこそあれ、ミニクーパー&クーパーS、JCWのまんま。だが、ノーマルモデルより50mmも低い車高に、13度も寝かしたAピラーをあたえ、ノッチ付きハッチゲートをもたせた。

そのうえ、8km/hで立ち、60km/h以下で寝るリアスポイラーも装備。もともとスペシャルな存在であるミニの、さらにスペシャルモデル。ミニのバリエーションはこうでなきゃいけない。拍手喝采である。

帰ってきた、ゴーカート走り

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  • ミニクーペ 荷室|ニューモデル試乗
エッジの利いた大胆なスタイリング。ホイールベースは3ドアハッチの MINIと同等で全高がさらに低められた。可変式のリアスポイラーを装備
まるでハードトップをあとから被せたロードスターのようだ。流れるルーフの後端やその内側の処置を見て、思わず“外れるんじゃないか”と、ラッチかなんかを探してしまう始末。あとからロードスター正式発表の報を聞き“なるほどなぁ”と思ったものの、外したくなるのに外れやしないトップに、最初のうちはしばらく、狐に摘まれたような気分だった。

試乗したのはクーパーSだったが、旧型ミニのようなゴーカートな走りが復活している。“アァ、これがあったからフツウのミニは少し乗用車風に振ったわけね”と、またまた納得。重心が下がったこともあり、板の上に載っかって動く感覚が何ともユニークだ。

はっきり言って乗り心地はハードだし、特に運転しない助手席は相当に辛いが、ここまでデザインを割り切ってくれれば“そうゆうもんだネ”と覚悟もつく。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード クーパーS
全長×全幅×全高(mm) 3745×1685 ×1380
車両重量(kg) 1270
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1598
最高出力[ps/rpm] 184/5500
最大トルク[N・m(オーバーブースト時)/rpm] 240(260)/1600~5000
車両本体価格 352.0万円
Tester/西川 淳 Photo/ビー・エム・ダブリュー