▲6気筒のままターボ化された911カレラのエンジンと違って、4気筒になるとフィーリングは別物。しかしながらシャシーの熟成ぶりは、それでも……と思わせるほど高く、結局他には目が向かないのも確かなのだ。ただしスポーツエグゾーストは付けないけれど ▲6気筒のままターボ化された911カレラのエンジンと違って、4気筒になるとフィーリングは別物。しかしながらシャシーの熟成ぶりは、それでも……と思わせるほど高く、結局他には目が向かないのも確かなのだ。ただしスポーツエグゾーストは付けないけれど

ボクスター誕生20周年での大改革

初代ボクスター登場から20年の節目で行なわれたフェイスリフトは、まさに大改革と呼ぶべきものとなった。車名が往年のレーシングスポーツに由来する718ボクスターに改められ、エンジンが水平対向6気筒自然吸気から水平対向4気筒ターボに変更されたのだ。

気になるエンジンはベースモデルが2Lターボで最高出力300ps、Sがバリアブル・ジオメトリーターボ付きの2.5Lで、同350psを発生する。いずれも特に低中速のトルクの厚みが増して、扱いやすさが増しているのが印象的。速さも確実に高まっている。

では肝心のフィーリングはと言えば、アイドリングから低速域ではドッドッという脈動感が強く、やや荒っぽさも感じられる。それでも回していくと音の粒が揃ってくるから、引っ張り気味に走った方が気持ち良い。よって個人的には、断然MTを推したいと思う。

インパクトがあったのがシャシーの進化だ。構造やスペックはほぼ変わらないのに、快適性は明らかに高まり、それでいてステアリングレスポンスにはキレが増して、ミッドシップらしい自分を中心に旋回するような感覚も、ますます強まっているのだ。本当に見事な調律ぶりなのである。

他にも、ほとんどの外板が刷新された外装はさらに独自性が強まっているし、ナビなどをスマホ感覚で操作できるPCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント)の搭載も嬉しい。718ボクスター、まさにフェイスリフトらしからぬ全方位的進化を遂げている。エンジンフィーリングが気に入れば即買いだし、仮に気に入らなくても……トータルで見れば、やはり説得力は高く、結局納得させられてしまいそう。まったく、ポルシェのこの自信のほどが憎たらしいほどなのだ。

▲外観はよりワイドで力強いデザインに。立体構造のLEDを用いたテールライトを結ぶ、ロゴ入りのアクセントストリップも特徴的 ▲外観はよりワイドで力強いデザインに。立体構造のLEDを用いたテールライトを結ぶ、ロゴ入りのアクセントストリップも特徴的
▲パワーステアリングは10%ダイレクトに設定。オプションでPASMスポーツサスペンションなども採用される ▲パワーステアリングは10%ダイレクトに設定。オプションでPASMスポーツサスペンションなども採用される
▲ダッシュボード上部は外観デザインを反映、ステアリングは基本デザインを918スパイダーと同じくする。インテリアカラーは5種類が用意された ▲ダッシュボード上部は外観デザインを反映、ステアリングは基本デザインを918スパイダーと同じくする。インテリアカラーは5種類が用意された

【SPECIFICATIONS】
■グレード:718 Boxster S ■乗車定員:2名
■エンジン種類:水平対向4DOHCターボ ■総排気量:2497cc
■最高出力:350/6500[ps/rpm]
■最大トルク:420/1900-4500[n・m/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4379×1801×1280(mm) ■ホイールベース:2475mm
■車両価格:904.4万円

text/島下泰久
photo/ポルシェ ジャパン