ポルシェ カイエン ▲ポルシェというと真っ先に思い浮かぶのはスポーツカーの「911」ですが、実は最近のポルシェは911以上に「SUV」が大人気。新車販売台数も、なんと6割以上がSUVなのです。そんなポルシェ製SUVの中古車を買う場合は、どの世代をいくらぐらいで探すのが得策なのでしょうか? いろいろと考えてみました!

もはやポルシェは「SUVの会社」なのか?

2月27日発売の雑誌「カーセンサーEDGE 4月号」では、「ポルシェは911だけに非ず。」と題した“911以外のポルシェ”にまつわる大特集を展開した。

ここでは、同特集内に掲載された「911以外のポルシェの中古車相場情報」をweb用に加筆再編集した特別バージョンをお届けしながら、圧倒的な人気を誇る「ポルシェのSUV」について考えてみたい。
 

ポルシェ カイエン▲なんだかんだでカッコよく、そして販売の面でも最近のポルシェ社の「主力」を担っているのが各種のSUVモデル。写真は現行型ポルシェ カイエンの運転席まわり

もちろん911が、ポルシェAGのイメージリーダーであることは間違いない。しかし、同社の屋台骨を支えているのは今や「SUV」だ。

2020年上半期におけるポルシェAGの新車総販売台数は11万6964台だが、最量販モデルは3万9245台のカイエンで、第2位がマカンの3万4430台。

つまりポルシェAGが世界で売っている新車の約63%はSUVなのだ。

そのポルシェ製SUVを日本の中古車マーケットを通じて入手する場合、候補となるのは――ご存じのとおり――フルサイズSUVである「カイエン」の計3世代(初代/2代目/現行型)と、グローバル目線ではコンパクトSUVに相当する「マカン」の計4モデル。

それぞれの相場状況の詳細については下記に譲るが、結論だけをここで申し上げるなら、それは「ポルシェのSUVを中古車として狙うなら“中間世代”に限る」ということになる。
 

ポルシェ カイエン▲写真上は、ポルシェ製SUVの主力である「カイエン」の、まさに中間世代にあたる2代目・前期型

最新世代の中古車価格は「新車以上」の場合も

中間世代ではなく、「最新世代」に相当するカイエンの現行モデルあるいはマカンの後期型は、当然ながら魅力的なSUVではある。

しかし、その中古車相場は新車とほとんど変わらないというか、豊富なオプション装備が付いた中古車であれば、新車の車両本体価格を軽く上回っている。

それでも新車を買うよりはいささか安価ではあり、「即納である」という美点も確かにあるわけだが、そこまでのマネーを拠出するのであれば、いっそ自分好みの新車をオーダーする方がQOL(Quolity Of Life=人生の質)は上がるだろう。

また、初代カイエンの前期型であれば、それこそ車両価格65万円ぐらいから探すこともできるわけだが、1000万円級だった高級車が50万円になったモノのコンディションが正直どうであるかは……説明するまでもない。

初代カイエンであっても、後期型の良質物件であればなかなかのコンディションではあるのだが、そういった個体には400万円前後の値札が付く場合が多い。

このあたりは人それぞれのご自由ではあるが、今さら初代カイエンに400万円を投じるという行為には「微妙……」との感慨が付きまとうはずだ。

ということで、ポルシェのSUVを新車ではなく中古で購入したいのであれば、注目すべきは「2代目カイエン」「マカンの前期型」なのだ。

その中で、「大柄なカイエンか、それとも日本の道で使いやすいマカンか?」「2代目カイエンの前期型と後期型、果たしてどちらにするべきか?」というのはいささか微妙な問題であり、「絶対にこう!」という答えは出しにくい。

そのため、このあたりについては各自の美意識や使用目的、あるいはご予算などに基づいて決めていただく他ない。

だが、とにかく言えるのは、「狙うは中間世代!」ということである。

ポルシェ マカン▲こちらは2014年11月に発売された、ポルシェの中では「コンパクトSUV」の部類に入るマカンの前期型。ただしコンパクトといってもそれは世界基準での話で、全長は4681mmで全幅は1923mmだ

現在中古車として狙えるのはこの4モデル!

ということで以下、現在中古車として狙えるポルシェ製SUV4モデルの概要と、それぞれの中古車相場を記す。

まずは狙い目の中間世代2モデルを、後半にそれ以外のモデルを紹介しよう。

●ポルシェ カイエン(2代目)
注目相場:350万~500万円

ポルシェ カイエン▲2010年に登場し、途中2014年にマイナーチェンジを受け、2018年まで販売された先代(2代目)のポルシェ カイエン。写真はマイナーチェンジ前の前期型
 

2010年から2017年11月まで販売された2代目のカイエン。

途中2014年7月にマイナーチェンジが行われ、車体前後のデザインを変更するとともに、カイエンSとターボのエンジンを刷新している。

マイナーチェンジ前の前期型であれば車両230万円付近から探せるが、このあたりの個体はほとんどが多走行車。満足できる状態の個体は380万円スタートというイメージだ。

後期型は500万円付近からいい頃合いの1台を探すことが可能だが、500万円というのは、中古車としては少々考えてしまう値段かも。また流通量もやや少なめではある。

実際問題としては「前期型の中からコンディション良好な物件を探す」という選び方になるだろう。

▼検索条件

ポルシェ カイエン(2代目)×前期型×全国

▼検索条件

ポルシェ カイエン(2代目)×全国

●ポルシェ マカン(現行型)
注目相場:450万~650万円

ポルシェ マカン▲カイエンよりも一回り小さなSUVであるポルシェ マカン。日本では2014年11月に発表され、2018年12月にマイナーチェンジを実施。写真はマイナーチェンジ前の前期型
 

2014年4月に発売された(カイエンと比べれば)コンパクトなSUV。

ベースグレードの搭載エンジンは2L直4ターボで、上級グレードは3L V6ターボまたは2.9L V6ツインターボとなる。

2018年12月にフェイスリフトを行って後期型となったが、後期型の中古車価格は(オプション装備代の関係で)新車価格より高い場合が多いため、「即納である」という以外の魅力は薄い。

しかし、フェイスリフト前の前期型は、上級グレードであればまずまずの割安感がある。ただしベースグレードの場合は、新車より安いは安いが、実は新車価格とそう大きくは変わらない場合も多い。
 

▼検索条件

ポルシェ マカン(現行型)×前期型×全国

▼検索条件

ポルシェ マカン(現行型)×全国

●ポルシェ カイエン(現行型)
注目相場:900万~1700万円

ポルシェ カイエン▲日本では2017年12月に予約受け付けが開始された現行型(3代目)ポルシェ カイエン

2017年12月に上陸したカイエンの現行型。

3L V6ターボのベースグレードと2.9L V6ツインターボのS、最高出力550psの4L V8ツインターボを搭載するターボ等々、車として魅力的であることは間違いない。

だが、「中古車として魅力的」かどうかは若干微妙だ。

一例としては、新車価格1030万円だったベースグレードの中古車は約900万円スタートで、コンディションとオプションのレベルが高い個体は950万円はくだらない場合がほとんど。

こういった高額中古車にも「即納である」「法人が社用車として減価償却するうえでは中古車の方が有利」という利点は確かにある。だがあくまで一般的には、中古車ならではの「うま味」は若干薄いと言わざるを得ない。

▼検索条件

ポルシェ カイエン(現行型)×全国

●ポルシェ カイエン(初代)
注目相場:250万~350万円

ポルシェ カイエン▲2002年にポルシェ初の5ドア車としてデビューした初代ポルシェ カイエン。写真は2006年12月のマイナーチェンジを受け、内外装デザインとエンジンなどが変更された後期型

2002年から2010年にかけて販売されたカイエンの初代モデル。

2006年12月にエンジンの排気量アップと直噴化、ならびに外観を変更するマイナーチェンジを行い、型式が「955」から「957」に変更された。

マイナーチェンジ前の前期型はグレードを問わず格安で、車両50万円ぐらいから探せるが、コンディション的にはハッキリ言って難ありなものが大半。

また、後期型であっても車両80万円ぐらいから探すことはできるが、こちらも同様にあまりオススメはしない。

だが、車両250万円以上を見ておけば、まずまずいい感じの後期型ベースグレードは見つかるだろう。

▼検索条件

ポルシェ カイエン(初代)×全国
文/伊達軍曹、写真/ポルシェ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。