日刊カーセンサー

カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年恒例の中古車注目度&競争率ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。

今年2020年の発表は、12月15日(火)を予定しています。

発表を間近に控える中、日々多くの車に触れている自動車業界の方たちに、2020年のランキングTOP3を予想していただきました!

今回予想いただいたのは、SUBARU系評論家のマリオ高野さんと自動車ライターの伊達軍曹さん。

お二人で相談しながら、最終的にTOP3にランクインするであろうモデルを決めていきます。

果たして2人は何を選ぶのか? みなさんも、ぜひ一緒に予想してみてください!
 

マリオ高野

SUBARU系評論家

マリオ高野

1973年大阪生まれ。スバル ヴィヴィオを買ったことにより運転の楽しさに目覚め、インプレッサWRXも立て続けに新車で購入(弱冠ハタチ)。新車セールスマン、車両回送員、ダイハツ期間工、自動車雑誌の編集部などを経てフリーライターとなる。27年目のWRXと、GJ3型インプレッサG4 1.6i(5速MT)の2台が愛車の生粋のスバリスト。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XVだが、2020年12月半ばからは新型スバル レヴォーグ STIスポーツ。

先攻、マリオ高野!

伊達軍曹 まずはマリオさんの見立てから聞かせてもらおうか。今年のTOP3にはどれが入ってくると思うかね?

マリオ高野 まぁ今年モデルチェンジされて、なおかつたくさん売れた車が入ってくるのかなとは思います。すなわちそれはトヨタ ヤリスだったりホンダ フィットだったり、あるいはトヨタ ハリアーだったりするわけですが。

軍曹 ほう。

マリオ でも新型のフィットはデザイン的に好き嫌いが分かれる車だと思うんですよね。ヤリスは、前のヴィッツより今のヤリスの方がカッコいいと思う人が多そうですが、フィットは「デザインは先代の方が良かった」と感じている人が多いのではないかと。

軍曹 ふむ。

マリオ さらに先代のフィットには、車好き各位が好きな「MT車」も存在してましたので、自分は先代のホンダ フィットがTOP 3に入るのでは? と思うのであります。
 

日刊カーセンサー▲ホンダ フィット(先代)

マリオ あとは先代のトヨタ ハリアーも入ってくるでしょう。もちろん現行型と先代を並べて見ればぜんぜん違うわけですが、大まかなイメージは変わらない気がするのです。

軍曹 なるほど。

マリオ で、「似たような形でこれだけ安いなら、先代でいいじゃん!」という感じで、先代ハリアーの中古車を問い合わせた人は多いはず。それゆえ、先代ハリアーの入賞を確信するのであります。
 

日刊カーセンサー▲トヨタ ハリアー(先代)

マリオ そして3車種目はスバル WRXでしょう。

軍曹 はい?

マリオ 昨年10月の終わり頃に「ファイナルエディション」の予約注文が始まり、あっという間に完売してしまったのですが、それと同時に普通のWRXの方も「2019年いっぱいで販売終了」とアナウンスされ、「うわっ! 名機EJ20エンジンを搭載するWRXもついにおしまいか!」ということで、かなりの注目を集めたんです。

軍曹 そうなの?

マリオ そうなんですよ! その中古車も、いまだにほとんど値落ちしてないぐらい、一部では超絶盛り上がってるんです!

軍曹 知らなかった……。

マリオ あの盛り上がりを肌で感じますと、これはもうTOP3に入ってくる予感しかありません!
 

日刊カーセンサー▲スバル WRX(最終型)

軍曹 マリオよ……。

マリオ はい?

軍曹 先代のフィットとハリアーについては「俺はまったくそう思わない!」という感想しかないが、スバル WRXについては、もしかしたら「来る」かもしれないな!

マリオ 軍曹もそう思いますか!

軍曹 うむ。だってこのランキングはさ、あの「カーマニア以外は絶対買わないでしょ!」って車の代表格であるマツダ RX-8(初代)が、2年連続で1位を取った“実績”があるじゃない? つまり世間一般の人気ランキングと、このランキングはぜんぜん違うんだよ。
 

日刊カーセンサー▲実は2015年も1位で、計3回の首位実績があるマツダ RX-8(初代)

軍曹 そういう意味で、スバル WRXが来る可能性はけっこうあるね! まぁ世間一般の人気ランキングでは、WRXはTOP20にも入らないと思うけど!

マリオ そういう軍曹は、何がTOP3に入ってくると考えているのですか?

軍曹 うむ、ズバリ「新しい車」だろう。

マリオ へ?
 

後攻・伊達軍曹が考える「新しい車」とは?

軍曹 つまりだね、今、車の運転支援システム系の技術って日進月歩の世界じゃない? 3年ぐらい前のシステムならまだ普通にいい感じで十分使えるけど、それより古い7年前とか10年前とかのそれって、正直かなり見劣りがする。

マリオ ……そういうものですかねえ?

軍曹 キミはそういうのが何も付いてない先代インプレッサ G4に乗っているから気にしてないかもしれないが、世間一般としてはそうなのだよ。例えて言えば「DVDのカーナビ」みたいなものだ。

マリオ そういえば昔はありましたね、DVD方式のナビって。

軍曹 うむ。世の中がHDD方式のナビへと完全に変わった後に、中古車販売店の展示場で古くさいDVDナビが付いてる中古車を見て、キミはどう思ったかね?

マリオ 正直「取っ払いたい! これならカーナビなんて付いてない方がいい!」と思いましたね。
 

日刊カーセンサー▲モニター越しでも伝わってくる熱気……!

軍曹 それと同じだよ。今となっては中途半端な、例えば30km/h以下でしか作動しない自動ブレーキについて、「まぁこれでも無いよりは安心だし」という見方はできるが、同時に「ええい邪魔くさい! こんなモノなら逆に無い方がスッキリするぜ!」とも感じてしまうのが人間だ。

マリオ さようですか。

軍曹 だからこそ今、中古車の購買行動は二極化していると思う。「最新に近いものを、新車より安く買う」というスタイルと、「最新の車とはまったく異なる味わいをもつ“古い車”をあえて選ぶ」というスタイルだ。

マリオ はあ。

軍曹 その意味で、キミが挙げた先代のホンダ フィットと先代のトヨタ ハリアーは、いささか中途半端なのである。こう言っては失礼だし、実際はそこまでではないのだが、いささかの「DVDナビ感」を抱いてしまうのである。

マリオ では結論として何がTOP3に入ってくると?

軍曹 具体的な順位はわからぬが、まぁ現行型のトヨタ アルファードは確実に入ってくるだろう。
 

日刊カーセンサー▲トヨタ アルファード(現行型)

マリオ コ、コロナ禍により「多人数乗車」が避けられている世相にあって、7人乗りのミニバンが入ってきますか? しかもミニバン人気は、以前と比べれば没落傾向ではありませんか!

軍曹 まぁそうなんだけどさ、でも「家族」にとっては多人数乗車うんぬんなんてまったく関係ないんだよ。

マリオ 関係ない?

軍曹 例えばキミにもしも子供がいたとして、「お父さんはウイルスが怖いから、お前やお前のお友だちをウチの車に乗せたくないんだ」なんて言う? 絶対言わないでしょ? だから関係ないんだよ。

マリオ 確かに。

軍曹 あと、ミニバンというカテゴリー自体はSUVに押されてるのかもしれないけど、現行型のアルファードは……。

マリオ 依然として大人気ですね。我が家の近所を走ってる車の5台に1台は白の現行型アルファードです……というのは言いすぎですが、まぁそれに近いモノはあります。

軍曹 うちの近所も同じだよ。まあ現行型アルファードは流通量も多いから「競争率」という点でやや弱いかもしれないけど、たぶん入ってくる。間違いない。

マリオ その他は?

軍曹 トヨタ ハリアー。それも、キミが挙げた先代じゃなくて「現行型」が来るでしょう。発売されて間もない車種ではあるけど、すでに登録済未使用車の数はけっこう多い。で、新車よりはそこそこ安く買えるし、運転支援システムにも「DVDナビ感」は当然なくて、ばっちり最新世代。これは人気が集まらないはずがないよ。
 

日刊カーセンサー▲トヨタ ハリアー(現行型)

マリオ 失礼ながら変わり者である軍曹が、ハリアーほどのメジャー車種を激賞するとは思ってもみませんでしたが?

軍曹 いや、俺個人は買いませんよ。なぜならば、自動車に関しては変態ですから! でも、もしも私が自動車変態でなかったならば、黒いメタリックの現行型ハリアーを買って、どこかに白い一軒家を建てたいね! それが働く男の夢ってもんですよ!

マリオ ふむう……。して、もう1車種は?

軍曹 F30こと先代のBMW 3シリーズかな。BMWの3シリーズは毎年、常に上位に入ってるんだけど、いつもE90こと先々代のやつなのよ。

マリオ E90は確か、昨年第3位でしたね。

軍曹 E90が悪いとは思わないけど、もはや若干の「DVDナビ感」が出てることは否めない。でも先代のF30ならDVDナビ感はほとんどないし、まだまだ普通にカッコいいし、そしてここ最近はずいぶん安い。
 

日刊カーセンサー▲BMW 3シリーズ(F30型)

マリオ 走行距離3万km台までの2014年式が、総額160万円ぐらいで狙えちゃいますね。

軍曹 そうなんだよ。だから、今年はさすがにE90(先々代)からF30(先代)への「代替わり」が起きるというか、お願いだからさすがにそろそろ起きて! と祈念しているのだ。

マリオ 整理しますと、軍曹の考えは現行型のハリアーとアルファード、そして先代BMW 3シリーズがTOP3を占めるであろう……ということですね?

軍曹 うむ、そのとおりである。だがしかし……。

マリオ しかし?

軍曹 自分で言っておいてアレだが、私の予想は弱いような気もする。

マリオ と言いますと?

軍曹 「車好きの熱」が、私のランキングには反映されていないのだ。
 

議論はいよいよ終盤へ! 2人が予想する今年のTOP3は?

軍曹 先ほども言ったとおり、カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤーとは一般的な人気ランキングではなく、その車種の中古車についての「競争率ランキング」みたいなものである。

マリオ ふむ。

軍曹 となれば当然、世間的にはさして人気車ではなかったとしても、アツい車好きが「絶対にこの車種の、この物件が欲しい!」と熱望する際の“熱”が、ランキングには確実に反映されるはず。
 

日刊カーセンサー▲ぐ、軍曹……!

マリオ マツダ RX-8が2年連続3度目の1位に輝いたなんてのは、その好例なんでしょうね。

軍曹 うむ。であるならば、キミが先ほど言ったスバル WRX。アレが、来るような予感もなくはない。

マリオ そうなんですよ! 自分は何も「スバルマニアだからWRXを推してる」ってわけではぜんぜんなく、人々の熱気を肌で感じているのです! だからこそ冗談やウケ狙いではなく、本気で「スバル WRXがTOP3に入るかも」と言っているのです!

軍曹 さようか?

マリオ そうですとも! 2019年秋に開催された第46回東京モーターショーで、自分はせんえつながらSUBARUのブースに案内係としてベタ付きしておりました。で、そこでWRXのファイナルエディションを展示していたのですが、本当に多くの方が足を止め、「えっ? インプレッサって終わっちゃうの? 残念だなーっ!」みたいな反応を示されていたのです!

軍曹 それを言っていたのは、いわゆるスバルオタクの各位ではないのか?

マリオ 違います(キッパリ)。
 

日刊カーセンサー▲キ、キッパリ……!

マリオ いやもちろん「スバヲタ」もいらっしゃいましたが、ほとんどの方は、WRXがもはや「インプレッサ」という車名を使っていないこともご存じない人で、「え~、“インプ”ってなくなっちゃうんだ?」「インプレッサって、ラリーに出てた頃大好きだったんだよね。いやあ、本当に残念だなぁ……」みたいなご反応だったのです。

軍曹 そうだったのか……。

マリオ 決してカーマニアではないのかもしれませんが、ほどほどに車がお好きな、主に男性の多くが、これほどまでに「インプレッサWRX」に愛着のようなものをおもちであったことを、自分も先のモーターショーで初めて知りました。それゆえ本日、失礼ながら「スバル WRXのTOP3圏内入り」を予想させていただいたのです!

軍曹 うむ! マリオよ、私も完全に納得だ!

マリオ 軍曹!

軍曹 カーセンサーを利用している車好き各位の“熱”は今期、RX-8に代わって「スバル WRX」を押し上げることだろう! たぶん! ということで……順位予想を変えよう。ズバリ、

1位:スバル WRX(最終型)
2位:トヨタ ハリアー(現行型)
3位:BMW 3シリーズ(F30型)

ということでどうだ!

マリオ 異議なしであります!

軍曹 よし、ではこれで行こう! 決定だ!

マリオ 押忍! ところで軍曹、このランキング予想を的中させると、我々に何か褒美のようなものは出るのでしょうか?

軍曹 特にないと聞いている!(キッパリ)
 

日刊カーセンサー

【カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー2020結果発表について】
12月15日(火)にWeb上の特設ページで発表されるだけでなく、カーセンサー2021年2月号(2020年12月19日発売号)でも総特集! Webでは100位までのランキング結果や動画コンテンツを楽しむことができ、雑誌では今年のランキングを“とある”切り口で徹底考察。どちらもお楽しみに!

文/伊達軍曹、写真/尾形和美、向後一宏、篠原晃一、伊達軍曹、マリオ高野