総額50万円以下から狙える! 見た目は似てても走りは別物の姉妹車、フォード エスケープ&マツダ トリビュート。あなたはどっち派?
2020/06/19

日米合作で生まれた2つのモデル
多様性の大切さが共有されてきつつある中での新型コロナ。
生命の危機に立ち向かうという明らかな正義の下、それこそ日本で感染が抑え込めたのは同調圧力のおかげなんて考察まであるそうで、「みんな違ってみんないい」と言いづらい世の中になってしまうのは残念だな……と思っていました。
そんな弱気な違和感を、やっぱり違いを認め合ってこその成熟だと確信に変え、勇気づけてくれる、2台の車をご紹介します。
それが、フォード エスケープとマツダ トリビュート。
スズキ エスクードが先鞭をつけ、トヨタ ハリアーがブレイクさせ、メルセデスやBMWが追従した当時の言葉でライトクロカン、今もって熱いクロスオーバーSUV市場に打って出たモデルです。
2000年に発売されたエスケープとトリビュートは、フォードとマツダの日米“合作”が話題となりました。
合作というのがまさに共同開発を意味しており、どちらかの製品にもう一方のバッジを貼り付けただけのOEM、いわゆるバッジエンジニアリングではないところに注目です。
フォードとマツダが共同開発したユニフレーム
共同開発されたシャシーは、フォードが歴代オフローダーで培ったタフなラダーフレームと、ハンドリングマシンを作り続けるマツダらしいモノコックボディを掛け合わせた「ユニフレーム」。
フォードのSUVとしては初めてとなる四輪独立懸架のサスペンションが奢られ、オンロードでの操舵性と快適性を高めています。
オフロードとオンロードの頑固おやじ2人が、頭を突き合わせて汗をかいている様子が目に浮かぶじゃありませんか。
いやあこれ、ちょいちょいケンカになったであろうことは想像に難くありません。
車体は共通ながら、ボディ外板で共有しているのはルーフだけ。
とはいえ、トリビュートはマツダとして実質初めてのSUVとあって(プロシードレバンテはエスクードのOEM)、あまり攻めたデザインではありません。



一方のエスケープは、フォードらしいコンサバな道具っぽいスタイルをまといます。
右ハンドル仕様のエスケープとトリビュートは、山口県のマツダ防府工場で生産されました。つまりエスケープは日本製のアメ車。
「本場アメリカのBBQがケータリングでいただける!」といったところでしょうか。
日本市場をしっかり見据えての国内生産だけに、通常ベースが左ハンドルだとコラム左側に位置するウインカーレバーが、きちんと日本流にのっとって右側にあるのも特徴的です。



見た目はそっくり、走りは別物
そしてこの両車、驚くべきことに走りが全然違います。
筆者は残念ながら両車ともに3L V6エンジンの4WD車だけしか試乗しておらず、トリビュートはオンロードのみしか走っていないのですが、違いは明瞭でした。
エスケープはストロークのたっぷりとした足で、さぞや悪路でも底つきすることはなかろうという安心感があります。
いい意味で入力に対しておうような身のこなしのステアリングもまた、アメリカのファミリーコメディよろしく家族とにぎやかに会話しながら、片手運転で荒野を踏破して行けそう。
一方トリビュートは、やはりマツダらしくワインディングを駆け上がる気満々のスポーティさが印象的。
こんなにしゅんしゅん気持ちよくハンドル切れちゃって、オフロードで大丈夫なんだろうかと心配した記憶があります。
頑固おやじの両者とも、違いを認めながらお互いを高め合ってベースを作り、仕上げではそれぞれの流儀で「らしさ」を存分に表現。
そうして生みだされた異なる魅力をもつ2台の車に、多様性って大事だなぁと感慨もひとしおです。

どちらも総額50万円以下から狙える
エスケープは、2003年に2Lエンジンをマツダ製2.3Lエンジンに変更し、2006年には化粧直しと合わせてコラムシフトからフロアシフトに変更するマイナーチェンジを受け、2013年12月まで生産されました。
原稿執筆時点(2020年6月11日)で平均本体価格は50万円ほど、マイナーチェンジ後のモデルでも総額100万円以下と、フォードのSUV入門としても魅力的。

トリビュートは、デビュー時には2Lモデルにのみ用意されたFFが2001年4月からは3Lモデルにも設定され、エスケープと同じく2003年に2Lエンジンがマツダ製2.3Lエンジンに変更されたのと合わせて、サスペンションセッティングを見直すマイナーチェンジを受けています。
そしてエスケープよりかなり早く、2005年に生産を終了しました。
そのため中古車掲載台数は少な目ですが、半数以上がお手頃感満載の総額50万円以下というお値打ちっぷり。
スポーティな走りを楽しめるSUVという新しい道は開いたけれど、売り上げがついてくるとは限らないという厳しい現実を見るようですが、ニッチなものは刺さる人にはドンズバに刺さるという真理があります。
どちらも大きすぎないサイズと見切りのいいボディ形状で扱いやすく、リアゲートはガラスハッチだけでも開けられるなど使い勝手も上々。
エスケープはアメリカの荒野を、トリビュートは日本の峠を気持ちよく越えていく景色をドライバーの脳内に投影しながら、日々の生活のいい道具になってくれるはずです。
違いがあるからこその豊かさを、お手頃価格で手に入れてみてください。


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自動車ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してから次期愛車を物色しつつ、近年は1馬力(乗馬)に夢中。
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