Q.メーターが壊れていてスピード違反。販売店に責任は?

納車後に運転して帰る途中、スピード違反で捕まりました。どうやら、スピードメーターが壊れていたみたいで、気づかないうちに法定速度を超えていたようです。百歩譲って違反点数はガマンするにしても、反則金分くらいは販売店に賠償してもらえないでしょうか?

A.速度を大幅にオーバーしていたら自己責任でしょう

納車後に見つけた故障は壊れた時期が問題になります。もし、購入後相当期間が経過しており、乗っている過程で故障を見つけたのならば、販売店に責任を問うことは難しいでしょう。販売店の整備に問題があり、引渡し時点で故障していたことを立証できないからです。

また、自分の運転が原因ではなく、販売店側に原因があると言い張る場合は、購入者側に立証責任が生じます。しかし、素人が証明するのは現実的には難しいでしょう。

これに対し、相談のケースでは納車後すぐという話なので、損害賠償を受けることができるのか? 実は、それも難しいと思われます。速度違反に関してはタコメーターや景色の流れ方などである程度の速度を推測できるので、大幅にオーバーをしていたら気づいてしかるべきと判断される可能性が大きいです。

とはいえ、メーターがまったく動かない状態ではなく、10kmの誤差が出てしまうという場合などは、非常に判断が難しいところでしょう。この場合だと、メーターを信じて走行していたわけで、反則金に相当する額の損害賠償金を払ってもらえる可能性があります。逆に、このメーターを信じて走行していたら、メーターのスピード表示が高めに出ていたため、いつもよりも時間がかかって納品が遅れたという実害があれば、そのぶんの損害賠償は可能かもしれません

もちろん、壊れていたメーターに関しては、納車後すぐ判明したのであれば、無料での修理を要求することはできると思われます。

このケースは非常に判断が難しいと思います。こういったトラブルにならないためにも、中古車を購入するときには動作確認を忘れずに行ってください。購入時だけでなく、納車時にも行えば、ある程度のトラブルは回避することができると思います。
第65回:メーターが壊れていたせいでスピード違反を起こしたら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

立証責任(りっしょうせきにん)
民事訴訟法上は、原則として権利関係の発生、変更、消滅等の法律効果を主張する当事者が証明責任を負い、裁判において事実の真偽がわからない場合、その当事者が不利益を被る。買い主が販売店に対して損害賠償を請求する場合は、買い主が立証責任を負担することになる。