Q.他の店よりお得の言葉。もし他店より高かったら差額を返してもらえる?

中古車を購入したところ「うちで販売しているカーナビを付けるとセット販売価格でお得になる」と購入を勧められました。お得ならと思い、購入して装着してもらったのですが、後日、大手家電量販店で見ると、そのカーナビがもっと安い価格で販売されていました。納得がいかないのですが、差額を返してもらうことは可能でしょうか?

A.希望小売価格よりも高ければ差額の請求は可能かもしれません

もしも、希望小売価格よりも高い金額で販売されていた場合には差額分を請求することも可能でしょう。しかし、希望小売価格より安ければお得という言葉は嘘ではありません。それなのに他にもっと安い店があるから、その値段に合わせて差額分を返せというのは筋が通りません

話がややこしいのはオープン価格の場合です。この場合は、メーカーが金額を設定していないので、なにを基準にお得という表現を使ったかによって対応は変わってきます。

例えば、実在する店舗名をあげてそこよりも価格が安いと断言した場合は、その時点で実在する店舗のほうが安かった証拠があれば、差額分を請求することは可能でしょう。ただし、固有の店舗名などを出していない場合には、「購入と装着が一緒に行えて時間的にお得」「熟練した整備士が装着してくれるのでお得」というようにいろいろな意味が考えられます。

こうなると話は水掛け論です。お得な部分や製品の優位性をアピールすることは、なんら法律違反ではありません。しかし、消費者に不利益になることを隠すのは、重要事項の告知義務違反なので消費者契約法違反になります。ただこの場合、自分の店よりも他店のほうが安く売っている事実を伝えなければ不利益を隠したということになるかというと、やや厳しいような気がします。

このような事態を避けるためにはお得だという表現をされたときには、具体的になにと比較してどう得なのかを質問することです。また、購入するのは自分なので、他人任せにするのではなく量販店の相場を調べるなどの努力も必要でしょう。
第64回:お店の謳い文句に騙された場合は!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

オープン価格(おーぷんかかく)
販売する商品にメーカー側が希望小売価格を定めず、小売店が市場動向を見て独自につける価格のこと。「希望小売価格から○%引き」といった表現は、市場の相当部分でメーカーの希望小売価格と小売店の売値の乖離が大きくなると二重価格にあたることもある。消費者の混乱を避ける意味でも、家電類に関してはこの制度への移行が進んでいる
重要事項の告知義務違反(じゅうようじこうのこくちぎむいはん)
消費者契約法では、勧誘に際して目的物の質などの重要事項に関し、事業者が消費者の利益になる旨を告げ、不利益な事実を故意に告げなかった場合、誤認した消費者は申し込みを取り消すことができる。