Q.販売店が芳香剤でにおいを消していたため購入後に
    悪臭に気がつきました。これって返品できますか?

購入してしばらくたった車から動物のにおいが。そういえば、購入したときには結構きつめの芳香剤の香りが充満してました。もしかして、あれは動物臭を隠すためのものだったのでは?これって悪質な気がします。返品理由にはならないのですか?

A.においは主観的なものなので
    原則として返品は難しいと思います

芳香剤でにおいを隠したと言っていますが、そもそも芳香剤は良い香りをさせるものです。それを車に使うこと自体にはなんら問題はありません。ワックスを塗ってぴかぴかに見せるのと同じ考えです。

においに対する感じ方は主観的なものなので、普通にペットを乗せていただけなら、それを理由に契約を解除することは難しいでしょう。販売店が「私たちは気にならなかった」と言えば水掛け論になります。こうなると、裁判でしか決着しません。厳密な話をすると、においの原因物質を化学的に解析して、数値やデータとして裁判所に提出しない限りは、販売店から損害賠償を受けることは難しい事例です。

あとは程度の問題でしょう。例えば、大型犬を何匹も乗せているような一般的でない状態で、においをはじめとして内装の汚損などが発生しているのに「きれいに使っていた」と告げられて購入をした場合。これは明らかに購入者に事実と異なることを告げているので、不実告知にあたると考えられます。

最初にも言いましたが、においはキズや修復歴とは違い主観的なものなので、判断が難しいものです。神経質な購入者がにおいに鈍感な店員につめよっても、理解してもらえないでしょう。トラブルにならないためには、購入前にしっかりと確認すること。エアコンを一定時間つけっぱなしにして異臭がないかなどを見極めましょう。また、どうしても気になる場合はオゾン消臭などを行ってみるのも良いかもしれません

第45回:購入後しばらくしてから悪臭が… これって!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不実告知(ふじつこくち)
消費者契約法では、勧誘に際して目的物の質などの重要事項に関し、事業者が事実と異なることを告げた場合には、誤認した消費者は申し込みを取り消すことができる。