Q.購入した販売店よりも高値で売れるお店を発見!
    差額は慰謝料として請求できるの?

購入した店舗で車を下取りしてもらう契約を交わしましたが、買い取り専門店で買い取ってもらったほうが高値であることがわかりました。もし、販売店が買い取り専門店のほうが高いことを知っていて、意図的に伝えなかったとしたら悪質だと思います。いずれにしろ、買い取り専門店との差額を慰謝料でもらうか、買い取り契約を解除してほしいです。

A.販売店が虚偽の事実を伝えて契約を結ばせたなら
    解除することは可能です

このケースが問題になるかどうかは、買い取り契約を結んだときに販売店からあった説明によります。例えば、「他店と比べてもうちが一番高値だから」などと根拠のないウソをついて買い取ろうとした場合には、不利益事実の不告知となり消費者契約法に抵触する恐れがあります

また、明らかに価値のある車で、高値が予想されることを知りながら「これは不人気車だから買い取り価格は安い」などと騙して買い取り契約を結んだ場合も問題でしょう。車の価値に関して事実を伝えなかったということで、不実告知に問われる可能性も考えられます

ただし、販売店は事実として純粋に買い取り額を伝えただけで、ユーザーが比較検討を怠ったケースは微妙です。もし、友人や知人などから「他の買い取り店のほうが高く買い取ってくれるはず」と聞いたというだけなら、販売店の非を責めるわけにはいかず、一方的に買い取りの契約を解除することは難しいでしょう。

そもそも、企業努力や独自のノウハウ&ルートなどによって、利益を得る努力をしている店とそうでない店では、買い取り価格に差があるのは当たり前です。また、その店が専門に取り扱っている車種やボディタイプなどによっても、買い取り額は変わってきます。結論として、価格を調べる行為は自己責任。明らかな嘘をつかれて騙されたケース以外では、契約をくつがえすことは難しいと考えられます。

第33回 法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不利益事実の不告知(ふりえきじじつのふこくち)
事業者が消費者にとって利益となる旨を告げ、デメリットとなる部分を故意に消費者に説明しないこと。それによって誤認した契約は取り消すことができる
不実告知(ふじつこくち)
重要事項について事実と異なることを告げること。消費者が事実であると誤認して契約を締結した場合、契約を取り消すことができる