Q.自分のブログに対応の悪い販売店を
    明記したら名誉毀損になるの?

自分がやっているブログに、中古車を購入するまでの流れや購入後の生活を書きました。対応が悪かった時にはその内容を記述。購入後のトラブルや自分が車に感じたデメリットなども写真入りで克明に記したのですが、そのブログを見た販売店から「うちで買った車のトラブルや対応の悪さを大々的に書くのは名誉毀損だ」とクレームを入れられました。僕は事実を書いただけなのですが、名誉毀損にあたりますか?

A.「公共の利害に関する特例」に該当すれば
    名誉毀損には当たらないでしょう

名誉毀損は「不特定多数の人に事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず処罰される」法律です。簡単にいえば、真実でも嘘でも、悪口や暴露で人を傷つけてはいけませんということ。このケースの場合、接客対応が悪いことを暴露や悪口と考えるかどうかは意見が分かれるところです。もしこれが暴露や悪口と判断されれば、名誉毀損にあたるでしょう。

しかし、名誉毀損には「公共の利害に関する特例」なるものが存在します。これは「暴露が公共の利益に関することで、もっぱら公益を図る目的で行った場合、真実であるとの証明があれば罰しない」というものです。この販売店は会社登記をしている法人です。公の存在なので、その商業活動に不都合などがあれば、それを告発するのは名誉毀損にはあたらない可能性があります。ただし、「公共の利害に関する特例」は内容が真実でありそれを証明できる証拠があることが前提です。

ちょっと接客対応が悪いだけで、腹を立て感情的になり、オーバーな表現で誹謗するなどした場合は、信用毀損罪にあたります。これは虚偽の風説を流布する(嘘の噂を流す)などで、相手の信用を毀損した場合に適用されます。また、この店に行くななどといったキャンペーンを行うなどしたら、業務妨害罪に問われる可能性もあるかもしれません。

今回のケースは、公共性も少なからず認められるかもしれませんが、車の故障をさも販売店の責任といった内容で書くと問題があるかもしれません。車の故障が販売店に関係がなかった場合には、信用毀損罪になる可能性もあります

いずれにしろ、社会正義のための告発などの大義名分がなく、軽い気持ちでやっているブログならば、クレームがあった個所に関しては削除するのが相当だと思われます。

第36回 法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

名誉毀損罪(めいよきそんざい)
不特定多数の人に秘密などを知らしめ、その人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず処罰される。この場合の人には、人間、会社、団体などが含まれる
信用毀損罪(しんようきそんざい)
不特定または多数の人に嘘の噂を流し、または偽計を用いて人の信用を失墜させる、またはその業務を妨害した場合に処罰される