Q.カタログほどの性能が出ないのなら
    店員から一言あってもいいのでは?

ガソリン代が高騰しているので、燃費のいい車への買い替えを決意。カタログに書いてある燃費を基準にして車を決めました。中古車販売店でさっそく購入したのですが、記載されているほどの燃費では走りません。店員からはなんの説明もなかったのですが、これって説明責任を果たしていないのではありませんか?

A.店員のセールストークにもよりますが
    基本的には自分で調べる必要があるでしょう

まず前提として、カタログには『10・15モードは定められた試験状況の下での値です。実際の走行時にはこの条件、気象、道路、運転、整備の状況が異なってきますので、それによって燃料消費が異なります』と明記してあります。カタログの燃費は、あくまでもテスト環境で測定された目安でしかないのです。
燃費の良し悪しは道路状況、運転方法で大きく変わります。運転者の運転の癖などの影響も強く受けます。ですから、燃費が悪いことで販売店に対してクレームをつけるのはお門違いです

ただ、たとえば、10・15モードで表示されている燃費が、ごく一般的な走行をしているだけなのに極端に悪い(カタログ値の3分の1にも達しない)場合などは、機関の故障の可能性が考えられます。エンジン等に問題があれば「隠れた瑕疵」として販売店と返品や賠償の話ができるかもしれません

これに対し、販売店に非があるケースは「不当表示」の場合です。明らかに性能を上回る燃費性能を表示するとか、セールストークに使うなどした場合は問題になるでしょう。また、ユーザーが10・15モードを誤解して、通常の一般走行でも高い数字が出ると勘違いしているところに便乗し「その数字は当たり前に達成しますよ」とか「ガソリン代が節約できますよ」と煽った場合も、店側の非を追及できる可能性があります。

ただ、店員が「燃費がいいです」や「ガソリン代が安くなります」という言葉だけで、具体的な数字を示していなければ、受け取りようによっては嘘ではありません。厳密にいうと状況を判断しながらセールストークとしての範疇を超えていないかを裁判で決着することになるでしょう。

そのようなことにならないためにも、自分が購入しようと思っている車については、ある程度自己責任で調べておくことが必要です。

第37回 法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

隠れた瑕疵(かくれたかし)
売買の対象とされた特定のものに見つかった、取引の時点ではわからなかった傷や欠陥のこと。責任は売り主に発生する。代替性があるものなら交換すればよいが、中古車は一物一価なので代替性がなく、損害賠償か契約解除によって事態の解決が行われることが多い。
不当表示(ふとうひょうじ)
品質・性能および整備状況について実際のものより優良であるかのように誤認されるおそれのある表示