Q.販売店が倒産してしまった場合
       購入した車とお金はどうなるの?


中古車を現金一括払いで購入しました。納車まで1週間ほどかかるということなので、準備ができたら電話をしてもらう約束をしていたのですが、待てど暮らせど連絡がありません。こちらから連絡をしてもつながらないし、悪い予感がして直接店に行ってみると、なんと倒産していました。僕の車とお金はいったいどうなってしまうのですか?

A.名義変更が済んでいれば問題はないが
       名義が販売店のままの場合は要注意


この相談の場合、いくつかのケースが考えられます。

まず、車の名義変更が済んでおり、所有者があなたの名義になっている場合です。この場合は、当然ながら車はあなたの所有物です。もし、破産管財人などが管理していても、名義があなたになっていれば、すでに倒産した販売店の資産ではないので、返却してもらう権利があります。

次に、車の名義変更が終わっておらず、販売店の名義になっている場合です。

まず、破産管財人などが正式な手続きを経て車を管理している場合は、事情を説明して領収書などの証拠を見せれば、優先的に救済してもらえる可能性が高いでしょう。車が残っていれば、手続きを済ませて自分の名義に、車が残っていなければ、補償の対象としてわずかながら支払ったお金が戻る場合があります。

もしも、車の名義が販売店のままで、かつ破産管財人ではなく債権者が裁判所に申し立てて、正式に販売店の資産として差し押さえている場合には、話が少し複雑になります。この場合は、あなたが販売店に購入代金の全額を支払っていたとしても、差し押さえが優先されます。あなたは領収書を持って、債権者の一人として債権者集会などに参加し、車購入で被った損害賠償の交渉をする必要が出てきます。

ちなみに、夜逃げ的な倒産で車自体を販売店が持ち去って、別の場所で売り払うなどしている場合、その販売店は背任罪に問われる場合があります。倒産することがわかっていて販売した場合も同じでしょう。

一般の消費者にはなかなか難しいかもしれませんが、倒産しそうな販売店では買わない。また、万が一倒産の事実を知ったら、どの債権者よりも早く裁判所に仮押さえや仮処分の手続きを申請して、自分が購入した車、あるいは他の資産を確保することがトラブルを防ぐ方法です。



illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

破産管財人(はさんかんざいにん)
破産者の財産を管理する人で、裁判所が破産手続きの開始を決定すると同時に選任される。法律関係の処理が必要なので、弁護士が選任されることが多い。
 主な業務には、1.破産財団の占有・管理 2.破産原因と破産財団の調査 3.破産債権の調査 4.破産財団の換価 5.別除権・取戻権・財団債権への対応 6.契約関係の処理 7.訴訟関係の処理 8.否認権の行使 9.経理関係の処理と税金の報告 10.債権者集会での報告等の業務、などを行う。
 破産管財人は裁判所の監督のもと、破産者の財産を管理し売却、現金化して、すべての債権者に対して、債権の種類や債権の額に見合う内容で財産を分配する仕事をする