普段から車いすを利用する人のために、車いすごと乗れる車はやはり便利。しかし、そのためだけの車を購入するとなると、ためらう人も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、日常のお買い物から車いす搭載もこなせる、いわば兼用車の中からトヨタ ラクティスの車いす仕様車をご紹介したいと思います。

ベースのラクティス(2010年11月~)はコンパクトなサイズながら広々とした室内空間を持っていることで人気の1台。

その車いす仕様車は一見しておわかりのように、専用のルーフを備えることによって1585mmの全高を1705mmにまで高め、その自慢の室内空間をさらに広くして、車いすの人の乗降性や居住性にゆとりを持たせているのが特徴です。

また、車いすの乗降時には車両後部を電動で低くして、スロープの角度を緩やかにしてくれるので、介助する人も楽に車いすを乗降させることができます。

車いすの搭載位置によって2つのタイプに分けられます。1つは後席の一部を畳んでそこに車いすを乗せる「タイプⅠ」。もう1つはあらかじめ後席の半分が取り外されていて、後席部分か、運転席の斜め後ろ部分のどちらかに車いすを乗せることができる「タイプⅡ」です。

タイプⅠは車いすが乗らない場合、他のラクティス同様5人まで乗車が可能です。車いすの人が乗る場合も、車いすの人の横(後席の一部)に介助者が座って見守ることができます。一方のタイプⅡは最初から後席が半分しかないため、車いすの人を乗せない場合の乗車定員は3名となります。

タイプⅡは、ドライバーと車いすの人しかいない場合に、運転席の斜め後ろに車いすを乗せることができるため、ドライバーと車いすの人とコミュニケーションが取りやすい特徴があります。

原稿執筆時点でカーセンサーnetを見ると、タイプⅠは11台、タイプⅡは2台見つかりました。価格は約130万円~180万円といったところ。走行距離はいずれも3万km未満で、1万km未満の車もありました。

他のラクテイスよりも多少価格は高めですが、コンパクトサイズの車いす仕様車は人気が高いだけに、今後の値落ちも緩やかだと思われます。だとしたら、走行距離の少ない車がたくさん見つかる今のうちに検討してみてはいかがでしょうか。

乗車定員/5名(タイプⅠ)、4名(タイプⅡ)
スロープ角度/9.5度
スロープ幅/625mm
スロープ長/1275mm
乗降部の開口高/1295mm

Text/籠島康弘

タイプⅠは1.3Lと1.5L車がある。タイプⅡは1.5L車のみ。いずれもノーマルタイプにはある4WDの設定はない

タイプⅠは1.3Lと1.5L車がある。タイプⅡは1.5L車のみ。いずれもノーマルタイプにはある4WDの設定はない

通常のラクティスの室内高が1310mmなのに対し、車いす仕様車は1410mmと100mm高められている

通常のラクティスの室内高が1310mmなのに対し、車いす仕様車は1410mmと100mm高められている