【福祉車両ニュース】「普通のクルマ化」を実現していくトヨタの福祉車両
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2014/04/03
トヨタが2014年1月20日に発売し、1ヵ月で約61,000台を受注するなど、新型ノア・ヴォクシーが人気です。もちろん福祉車両の設定もあり、これもなかなかスバラシイ工夫がされています。具体的にどんな機能が盛り込まれたのか、開発の担当主査である中川茂さんに話を伺いました。
トヨタ自動車の調べによると、杖や車椅子を利用している人は全国に約500万人いるそうです。しかし、そのうち家庭に福祉車両があるのは、わずかに1%。つまり、残りの99%が家の中にこもっているか、デイサービスを利用しているかということです。
こうした現状を変え、より多くの人が家族との外出を楽しめるようにしたいという思いのもと、「普通のクルマ化」というテーマで開発された車がヴォクシー、ノアのスロープ車なのです。
実は、新型ヴォクシー/ノアのスロープ車では、車椅子の人を、まるで荷物のように最後部に乗せるのは嫌だ、運転者とすぐ近くで会話を楽しめる車内であってほしいという思いから、2列目に車椅子の人を乗せるようにできています。
「通院などでは、運転手と車椅子の人だけということがよくあります。その時に、運転席と3列目とでは、寂しいじゃないですか」と中川さん。
また、同車の特長の1つに、スロープを前方向に倒し、3列目シートの下に格納できるという機能があります。一般的にスロープを使う車いす仕様車の場合、スロープは立てたまま格納することになります。それでは、スロープが壁になってしまうため、わざわざスロープを出してから荷物を積み降ろししなければならないといった手間がありました。これを3列シート下に格納できるようにしたことで、日常での使い勝手が大きく改善されています。
もう1つの特徴は、「後付けシート」です。ご高齢で車椅子を利用している場合は、現実的な話、いつまで車に乗れるかわかりません。そういった場合に、また車を買い替えるのは大きな負担となりますし、福祉車両の普及が進まない要因のひとつでもあります。そこで、車椅子用のスペースだった2列目の助手席後ろに後から取り付けられるシートを用意し、最終的には普通のヴォクシー/ノアとして乗り続けることができるようにしたのです。
新しいヴォクシー/ノアの福祉車両は、車椅子の人のことはもちろん、運転する人のこと、毎日の生活のこと、そして未来のことなど、あらゆる場面を考えて開発された優しい車となっています。
■ヴォクシー/ノア 車いす仕様車(タイプI)
乗車定員/7名
スロープ角度/9.5度
スロープ長/1450mm
スロープ幅/750mm
開口部高/1380mm