インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

クロスオーバー車と呼ぶにふさわしいSUVとステーションワゴンを掛け合わせたような車

トヨタ ヴェンツァ フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 トヨタ ヴェンツァ リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑サイズ的には、ワゴン以上SUV未満のヴェンツァは本当の意味でクロスオーバーと言えるかも!? ルックスはチューニングしたSUV車っぽくてなかなか格好良いです。正面から見ると成長したカムリという印象
2008年のデトロイトショーでデビューをしたトヨタ ヴェンツァは、クロスオーバー車と呼ぶにふさわしく、SUVとステーションワゴンを掛け合わせたような車です。ちなみにこのヴェンツァという車名は、ヴェンチャー(冒険)と、イタリアGPが行われるサーキットのモンツァを意味しています。
スタイル上で厳密なライバル車といえる存在はありませんが、販売で競合となるのはフォード エッジや日産 ムラーノからアウディ A4アバントやスバル フォレスターまで多岐にわたっているようです。エンジンには2.7Lと3.5LのV6モデルがあり、共にFFと4WDが選べます。その中から今回ご紹介するのは、FF車の2.7Lエンジンを積んだベースモデルです。

トヨタ ヴェンツァ インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 トヨタ ヴェンツァ 後部座席|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑内装は意外とシンプルですが、もう少しスポーティさが欲しいところです。シートに乗り降りするのも、車高がちょうど良い高さに感じて便利
プラットフォームはカムリと同様のものが採用されています。ルックスに関しては、車高短にしてドレスアップしたSUV車という雰囲気で、なかなかスタイリッシュ。さらに19インチのホイールが車全体のデザインをまとまらせています。デトロイトショーのステージでヴェンツァを目にした時は、意外に大きく見えましたが、実際にアメリカの公道で目にするとSUV車よりもコンパクトでスポーティな印象を受けます。
車内空間は広々としていて、家族向けと言えるでしょう。オプションで内装を革にすることも可能ですが、子供や荷物を乗せることを考えると、布素材でも十分な気がします。実際に外見ほどインテリアはスポーティに感じませんが、ゆったりとした空間やライディングクォリティはファミリィタイプな車であることを証明するような内容になっています。
なお、3列目シートの設定はありませんが、トランクスペースは広いのでアウトドアライフに活用できそうです。

トヨタ ヴェンツァ エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 トヨタ ヴェンツァ 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑ベースモデルには2.7Lの1AR-FEエンジンを搭載。スムーズに加速してくれて、パワーには全く不満を感じません
2.7Lエンジンからは182馬力のパワーを発生。燃費を気にする人にはピッタリなパッケージとなっています。V6エンジンモデルはプラス1800ドルで20インチホイールが装備されているので、さらなるパフォーマンスを求める人を満たしてくれるでしょう。
現在、SUVブームにかつてほどの勢いはありませんが、これこそ、その勢いを取り戻させるようなニュータイプのクロスオーバーSUVと言えます。ヴェンツァに乗れば、旦那はセダン/ワゴン派、妻はSUV派という家族の車選びの悩みも解決されることでしょう。そう考えると、一人に一台のアメリカよりも、一家に一台の日本のほうが需要はあるのでは…、と感じますが、日本で販売するのにはネーミングにちょっと違和感がありますね!?

主要諸元のグレード:Venza 駆動方式:FF トランスミッション:6AT 全長×全幅×全高:4801mmX1905mmX1610mm ホイールベース:2776mm 車両重量:1706kg 乗車定員:5名 エンジン種類:DOHC 直列4気筒 VVT-i 総排気量:2.7L 最高出力:182ps/5800rpm 最大トルク:25.2kg-m/4200rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛レギュラー/67L 車両本体価格:25975ドル(約240万円)

(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)