円熟した高い完成度のセダン トヨタ マークX(試乗レポート)
2017/07/22
落ち着いた初代から上品なプロポーションの2代目マークXへ
いま、国産のFR車で最も成熟しているモデルはと問われれば、間違いなく「トヨタ マークX」と答えるだろう。2004年に登場した初代は、ゼロクラウンのアーキテクチャーを採用して落ち着いたスポーツセダンを作り上げた。
そして、2009年に早くもフルモデルチェンジを実施して2代目マークXへ。フォルムを塊感ある抑揚を強調したデザインへと変更したが、若々しさよりも上品さが感じられた。3年経過した2012年にマイナーチェンジを行い、フロントとリアの装いを大きく変更。時代の流れを感じとったデザインにした。ボンネットやフェンダーなど金属パネルの変更はなく、樹脂パーツのみの変更でまったく違う装いになったときに「素晴らしいデザイン力ですね!」と感激してデザイナーと話をしたことを思い出す。コストを抑えて最高のモノを提供するトヨタの底力を感じずにはいられなかった。
マイナーチェンジでスポーティなエクステリアに
今回試乗したモデルは、2016年11月にさらにスピード感ある装いに作り上げた「マークX 250RDS(Rakish Dynamic Sportsの略)」である。軽快で粋なダイナミック・スポーツモデルという意味だろう。いでたちは十分スポーティで、熟成した2.5LV型6気筒ユニットを搭載したモデルだ。
トゥルーブルーマイカメタリックという色なのだが、クリーンなイメージがする深みのある淡いブルーである。塗装の感じも厚みがあって質の良さも同時に感じられる。
エクステリアは今回も樹脂パーツのみの変更だが、ヘッドライトはアイラインを強調してバンパーもよりエモーショナルな造形にしたことで進化を感じさせる。テールランプもクロームのような透明感があり、2009年から基本的に変わってないボディとは思えない装いだ。高価なコストを省きながらこれ以上デザインの変化を得るのは難しいと誰でも感じる熟成度だ。
外観だけでなく、中身も充実した
ドライバーポジションを整えると、FRにも関わらずフロントの視認性がすこぶる良い。最近では次世代の安全性からフロントウインドウまでの距離が長くなっているが、マークXはセンタークラスターの奥行きが短くエンジンフードやフェンダーの先端部分までの距離がつかみやすい。シートポジションも潜り込んでいるわけでもなく不安感がない。
エンジンを始動すると、アイドリングの静粛性は申し分ない。2.5LNAエンジンなので、ドラマチックな加速は期待できないが、エンジン音は雑味なく心地よい。トランスミッションはこれ以上のチューニングは難しいとも言える熟慮を重ねた6速ATだ。アクセルを踏んでいくとスムーズに変速する。エンジンが粘り強いトルクなので6速でもビジーにならず大らかなシフトスケジュールだ。現在となってはワイドレシオなので力強い加速だ。パドルで任意に変速を選べばスポーティな走りへと誘う。
大きなうねりに対しても、ボディを大きく揺することなく心地よく静める。また道路のつなぎ目で「トン、トン!」という高い周波数でもこれまた心地よい。
サスペンションをきちんと動かすにはまずは骨格が大切だ。今回のマイナーチェンジは、ドアを閉めた瞬間から開口部の密着が向上していることがわかった。ボディを見直して強度を上げているのである。ドライブすれば成熟した質の高いシャシーになっていることがよくわかる。外観で判断するよりも中身の充実を評価したい。
アッパーミディアムのFRセダンでマークXほどアンダーステートメントを感じるモデルもないが、選ぶ人の堅実さを物語っている。派手さはないが300万円台のFRで、これほど完成度の高いモデルはない。円熟という言葉にふさわしいセダンである。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:250RDS ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHC ■総排気量:2499cc
■最高出力:149(203)/6400 [ kW(ps)/rpm]
■最大トルク:243(24.8)/4800 [N・m(kg・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4770×1795×1435(mm) ■ホイールベース:2850mm
■車両重量:1520kg
■JC08モード燃費:11.8(㎞/L)
■ガソリン種類/容量:レギュラー/71(L)
■車両価格:343万4400円(税込)
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