【名車への道】’06 BMW Z4 Mクーペ
2020/03/26
■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
細部を見ていくと実にBMWらしい希少なスポーツクーペだよね
――もう慣れましたけど……大変です。
――松本さんが好きなの知ってるので、今回はその遺伝子を受け継ぐZ4のMクーペにしました。どうですか?
――ありましたね。どうやってスムーズに運転すれば良いのか迷いました。急激にトルクが出てゆったりと運転ができないんですよ。運転代わったら松本さんはめちゃくちゃスムーズに運転してて。運転スキルの差を見せつけられたのをよく覚えています(笑)
――それを聞いて少し安心しました。あ、こちらの車両ですね。早速ですが基本的なことからいろいろ教えてください!
BMWのZコンセプトだけど、最初のモデルは1989年に登場したZ1(*3)。次に1995年のZ3、2000年に今ではプレミアムがついて価格が高騰しているけどZ8(*4)が発売されたんだ。
――あーZ8の存在を忘れてました……。
Z4 Mクーペは北米では少ないけど、わずか2年間で4280台弱が生産されたんだよ。Z3 Mクーペに比べるとおよそ4倍弱の生産台数だからスタイリングによる要素は大きいだろうね。
――結構売れたんですね……。というよりZ3 Mクーペが想像以上に売れてないんですね……。
――そっか。Z3はロードスターが先か。
エンジンはS54B32というM3と同様のユニットが搭載されていてね。シーメンス製のECUが使われていて特殊な感じがするんだよ。高回転での耐久性を考えて鋳鉄製のシリンダーブロックも特徴の一つだね。
――かなりガチなスポーツモデルですね。
――中身だけじゃなくて、クーペのルーフとか見た目も個人的に好きなんですよね。
――やっぱりZシリーズはオープンを好む人が多いんですかね? 耐候性も高いし、実用性もあっていい車だと思うんですが。
――知らないです……。
僕も断然クーペがカッコイイと思うよ。見た目、内容、ともに名車と呼ぶに相応しい車だと思うな。今後価値がどう変わっていくのか、注目したいよね。
■注釈
*1 Z3 Mクーペ
1998年に登場したZ3クーペをベースにしたMモデル。異形ともいえるクーペデザインが特徴で、前期、後期両方に設定されていた。
*2 S54
E46 M3をはじめとする同年代のMモデルが搭載していたエンジンで正式名称はS54B32。343ps、37.2kgmというスペックを誇っていた。
*3 Z1
Zコンセプトの最初のモデルとして1989年に登場。特徴は垂直に格納されるドア。国によってはドアを下げたままの走行も可能だった。
*4 Z8
2000年に発売されたオールアルミニウム製ボディをもつオープンスポーツ。映画「007」にボンドカーとして登場したことでも有名。
BMW Z4 Mクーペ(初代)
クーペとロードスターが用意されたZ4の最上位モデル。名エンジンと賞される3.2Lの直6ユニットを搭載し、Z4では唯一のMTモデルの設定となっていた。2006年から2009年まで生産され、2009年にフルモデルチェンジされるが、Z4の2世代目モデルにはMモデルの設定はされなかった。
※カーセンサーEDGE 2020年5月号(2020年3月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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