▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

アメリカでこんなに良くなるなんて!

今回は、「高輪自動車」で出合った米国スバル レオーネGLについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。

~語り:テリー伊藤~

1981年式の2代目レオーネGL。しかも米国スバル製の左ハンドルモデル。こんなレアな1台、めったに出合えるものではないですよ!

それにしても、どうやったらこんな珍しい車が入庫するのでしょうか……。

こちらのお店はもともとメーカー問わず珍しい車を多く扱っています。そういう車に興味を示して来店するお客さんはやはり希少車に乗っていることが多く、下取りでその車が入庫する。

するとまた希少車に乗っている変わった車好きの人が訪れる。こういうおもしろい連鎖が起きているそうです。

このレオーネも、スバルマニアがアメリカで見つけて日本に持って帰ってきたもの。その方は、ナンバーを付けず屋内保管していたので、こんなにキレイな状態で残っているのだそうです。

いかにもアメリカ人が好きそうなシャンパンゴールドにメッキのルーフレールがハマっていますね。

しかも塗装も特徴的なデカールも驚くほどキレイ。これは迷わず買いです!!

▲日本のライトバンがこんなにカッコよくなるなんて! 当時のアメリカ人のセンスに脱帽です ▲日本のライトバンがこんなにカッコよくなるなんて! 当時のアメリカ人のセンスに脱帽です
スバルレオーネ(Photo:柳田由人)
▲ルーフレールがキレイ! グリル内のエンブレムがひっくり返ってフォグランプが出てくるのもおもしろいですね ▲ルーフレールがキレイ! グリル内のエンブレムがひっくり返ってフォグランプが出てくるのもおもしろいですね

1970年代後半までの日本では、まだワゴンが最高にカッコ悪い存在でした。

とくに車に詳しくない女の子にとって、この形=おじさんが仕事で使うライトバン。モテるのはスタイリッシュなクーペという時代です。

そんな中、スバルの初代レオーネエステートバンはツウな男性から支持されていましたよね。

1970年代に入ると日本にもスキーブームが到来。学生も冬休みになるとこぞって雪山に繰り出していました。

そんな人たちの間で「スバルの車は雪に強い」となかば伝説のように語られていたのを思い出しました。

スバルレオーネ(Photo:柳田由人)

そして1970代中盤からアウトドアブームが湧き起こり、ダウンジャケットやニットキャップ、デイパックなどを街で使うようになりました。

ヘビーデューティーなアウトドアファッションだと、セダンやクーペが似合わない。でもランクルは高い。

そう考えたときに、ちょうど良かったのがレオーネでした。

テリー伊藤なら、こう乗る!

ステーションワゴンは、アメリカでも都会で乗られることが多いはず。

そして自然に憧れる都会暮らしの人が月曜から金曜までスーツで過ごし、土日は100km、200km離れた湖などに出かけてキャンプ。ステーションワゴンは街で自然のにおいを漂わせるような使い方が似合います。

▲2WDと4WDはこのレバーで切り替えます ▲2WDと4WDはこのレバーで切り替えます

僕がこの車を手に入れたら、あえて普段の足として使いたい。

走りにも定評があった車ですから、毎日を爽快な気分で過ごせるでしょう。MTの運転さえ問題なければ、サイズ的に奥さん用の車にしてもよさそうですね。

そして週末は助手席に女の子を乗せてリゾートに出かけます!

今通っている大学の友達を誘ったら楽しいでしょうね。考えるだけでワクワクします。

スバルレオーネ(Photo:柳田由人)
▲チェックのシートのおしゃれ感がたまらないです! 荷室も使いやすいですよ ▲チェックのシートのおしゃれ感がたまらないです! 荷室も使いやすいですよ

デカールもキレイだしホイールもカッコいいから、基本的にはこのまま乗れそうです。ただ、せっかくルーフレールなどのメッキがキレイなので、ドアミラーもメッキタイプに替えたいですね。

高輪自動車の小林代表によると、日本にはメーカーを含めてほとんどパーツが残っていませんが、アメリカだと今でも簡単にパーツが出てくるのだそうです。

この車に貼ってあるデカールも新品のものがあったらしいですよ。きっとメッキのミラーも見つかるのではないでしょうか。

▲アメリカにはまだパーツがゴロゴロしているとか。詳しい専門店がいると安心できます ▲アメリカにはまだパーツがゴロゴロしているとか。詳しい専門店がいると安心できます

このレオーネが現役だった時代、アメリカにはブラットというレオーネベースのピックアップトラックがありました。ご存じでしょうか?

ブラットのすごいところは、荷台に後ろ向きの座席が2つ付いているものがあったこと。

僕がアメリカに行ったとき、ここにビキニのかわいい女の子たちが乗って海岸線を楽しそうに走っているのを見かけました。まるでクルーザーのような感覚なんですよね。とても羨ましい文化です。

今はSUV全盛の時代。長年ボルボのワゴンを愛していた人もスッと大きなSUVに乗り替えています。

でもワゴンにはワゴンのよさがあって、とくにこれくらいのサイズだと街でもリゾートでも使い勝手が抜群です。

こういう車は、ぜひ若い人たちに乗ってほしいです。

これからの季節、隣にキレイな女の子を乗せてキャンプを楽しんだり、ビキニの女の子と海沿いを走ったりして、大きなSUVを気取りながら乗っている人たちを羨ましがらせてください!(笑)

▲日本のライトバンがこんなにカッコよくなるなんて! 当時のアメリカ人のセンスに脱帽です ▲日本のライトバンがこんなにカッコよくなるなんて! 当時のアメリカ人のセンスに脱帽です

米国スバル レオーネGL(スバル レオーネ)

1971年にデビューした初代は、翌年、エステートバンに乗用車タイプで世界初となる4WDを設定。これは東北電力からの依頼で宮城スバルが開発した独自開発のシステムを富士重工が量産化したもの。2代目レオーネは1979年に登場。エステートバンの他、4ドアセダン、2ドアクーペ、3ドアハッチバックのスイングバックが用意された。4WDには副変速機が設けられ、FFと4WDをレバーで切り替える仕組みに。1981年には後にスバルの代名詞となるステーションワゴンを追加。今回の取材車両はレオーネの北米仕様で左ハンドルになる。

text/高橋満(BRIDGE MAN)
photo/柳田由人

■ テリー伊藤(演出家)
1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『ビビット』(TBS系/毎週木曜金曜8:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。単行本『オレとテレビと片腕少女』(角川書店)が発売中。現在は多忙な仕事の合間に慶應義塾大学院で人間心理を学んでいる。