ドイツツーリングカー選手権|伊達セレクション
写真上は1989年のDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)にて激走中の初代BMW M3およびM・ベンツ190E2.5-16エボリューションⅠ。後のM3は初代と違い、レース参戦を目的に生まれた車ではないが、素のモデルとはやはり次元の違う「エボな走り」を堪能できる。写真下はE46型M3の軽量版であるM3CSL。
BMW M3CSL|伊達セレクション
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エボリューションモデル=隣の美人説

車関係で「エボ」というと主に連想されるのは三菱 ランサーエボリューションだが、ここで言うエボとはランエボではなく広義のエボ、すなわち「パフォーマンス向上のため、ベースグレードに様々な強化を施した市販車」全般のことを指していると思っていただきたい。例えばそれはBMWのM3であり、VW ゴルフのR関係だったりする。ランチア デルタHFインテグラーレもまさにエボだ。

で、その「エボ」であるが、男子は一般的にエボが好きである。「いや、俺はそうでもないけど?」という方もおられようが、とりあえずここは男子=エボ好きという前提で話を進めさせていただきたい。恐縮です。

なぜ、男子は一般的にエボを好むのか? それについて考えを巡らせていた筆者はひとつの結論に至った。市販エボモデルとは「隣の美人」なのだ。

説明しよう。例えば「隣の美人」は確かに美人だが、雑誌グラビアなどに登場する「本職の美人」と比べてしまうと、顔の造作などの点でよく見れば微妙である場合が多い。しかしそれでも我々は、本職の美人さんが面積の小さい水着姿で微笑むグラビアよりも、隣の美人さんがごく普通の衣服を着て、しかしふとした瞬間に見えてしまう足のラインなどに、より一層の興味を覚える(女性読者の皆さま、下世話な話で大変恐縮です……)。

それと同じで、運動性能だけを見れば、市販のエボよりも、最低ランクのフォーミュラマシンのほうが断然上である。しかしフォーミュラマシンとはグラビアアイドルのようなもので、たしかに素晴らしいが、一般的に言って自分とは関係ない世界のものなのだ。で、関係ないものには萌えられないのが人間なのだ。

中古車なら輸入エボも決して高嶺の花ではない

しかし市販のエボモデルはその真逆である。エボとはいわば「隣の美人さんが、脱いだらじつは凄かった」というようなもので(重ね重ね下世話な表現にて大変恐縮です……)、自分と関係がある、自分の生活と地続きであると心の底から思えるゆえ、多少なりとも車に興味のある男子は、それに多大なる興味を覚えるのだ。それはいわば隣の美人が……いや、もうやめておこう。

そのようなエボモデルは、エボであるがゆえに(様々な部分が特別あつらえであるがゆえに)、安くはない。車種にもよるが新車価格はベースモデルの1.5~2倍ほどになるのが一般的で、例えばBMWの2013年モデルで言うと、素の328iが570万円であるのに対してM3は1018万円。筆者のようなパンピーにはなかなか手が出せない金額である。

だが中古であれば話は別だ。アルファロメオのGTA系であれば100万円台から、BMWのM3でも200万円台からという大変現実的かつ庶民的な予算で十分探すことができる。

「でも中古のエボは故障が大変でしょ?」と思う方もおられよう。確かに、そういうこともなくはないかもしれない。しかし、まさに「エボリューションⅡ」という車名を持つイタリア製の中古エボモデル(購入価格245万円)に毎日フツーに乗っている筆者としては、さほど心配する必要はないんじゃないですか? とも心底思うのだ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
魅惑の「お手頃エボリューションモデル」、ぜひご検討を!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE