「数百万円支払ってでも買いたい車」と「そうでない車」の決定的な違いとは?
カテゴリー: クルマ
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2014/10/31
男の買物の背中を押すのはいつだって「神話」と「伝説」だ
昨日、筆者は所用あって東京から仙台まで最新のトヨタカムリ ハイブリッド“レザーパッケージ”にて往復した。グイグイ走ってスーッと曲がるのに、燃費は手元の計器で16km/L以上。大変素晴らしい車であった。しかしわたくしは、車両本体とオプション装備だけで約432万円となるその車に対して身銭を切るかと問われれば、「否」と答えるだろう。
しかし本日は先ほど、過日注文し手付金のみを支払った2011年式ルノーメガーヌRSモナコGPの残金300万円を、男の一括払いにて近隣のみずほ銀行より販売店にバシッと振り込んだ。ちなみに手付金を含む支払総額は325万円であった。
約432万円と325万円というのは100万円以上の開きがあるわけだが、どちらも筆者のようなド庶民にとってはそれなりの大金であることに違いはない。前者は「否」で後者は「応」となった、その違いの本質はどこにあったのだろうか?
もちろん、そもそもの部分としては「メガーヌRSのことは大好きだけど、カムリはそうでもない」という単純な好みの問題がある。しかし仮に昨日のドライブによってカムリのことが超絶ウルトラ大好きになったとしても、わたしはたぶんカムリを買わないはずだ。その違いは何なのか、という話だ。
結論としては「神話や伝説の有無」なのではないかと思う。
人間は(というか“男は”かもしれないが)、車に限らずプロダクトの中になにがしかの強烈な神話や伝説を見いだすと、多少分不相応なプライスであったとしても、ついついそれを買ってしまう。というか「決断」するための背中を押されてしまうのだ。
筆者の場合でいえばメガーヌRSの「世界最速の量産FF車」という神話というか伝説というか事実が、325万円という分不相応な出費に対する背中を押した。
まぁ正確にはニュルブルクリンクの北コースで世界最速となったのはわたしが買ったグレードではなく「メガーヌ RSトロフィーR」というスペシャルバージョンなのだが、まぁモナコGPもそれの2つ下の弟みたいなものだ。肉親として鼻高々なのである。それゆえ、買ってしまったのである。
もしもメガーヌRSに「世界最速の量産FF車」という神話がなければ、わたしは325万円の2011年式モナコGPではなく32.5万円ぐらいの2代目メガーヌ2.0とかを買っていただろう。おサイフの観点から言えば、そのほうが筆者には断然合っているのだ。
そしてカムリには、それにあたる神話や伝説を筆者は知らない。もちろん世の中には、1980年代に国内向け中型車としてスタートしながら、いつしか北米市場を代表する人気車のひとつとなったカムリのヒストリーに対して、涙し、誇りに思い、そして愛する人がいるのだろう。しかし、わたしにとっては、カムリとは「よく出来た、やや上級な車」でしかないのだ。
ということで、筆者のような非富裕層の方々に申し上げたいのは「もしもわざわざ300万円とか400万円とか出して車を買うなら、思わず引き込まれてしまうような“神話”に共感できるやつにしましょうや」ということだ。
「思わず引き込まれてしまうような神話」というのも人それぞれかと思うが、例えばそれは1960年代から綿々と続いた空冷エンジンのポルシェ911だったり、世界ラリー選手権で5連覇を達成したランチア デルタであったりの「往年の名車系」がまずは考えられる。また「とにかく最新のブランド物輸入車でブイブイいわす」というのも一つの神話ではあるだろう。平成の世に車で「ブイブイいわす」というのが可能かどうかは不勉強にして知らないが、本人がそう思うなら、それはそれで素晴らしい選択肢となるだろう。
ということで今回のわたくしからのオススメは「何らかの神話性を備えた300万~400万円ぐらいの輸入車」だ。